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「この子はいつ小学生になるの?」

みなさま、いつもnoteをご覧くださりありがとうございます。
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今月のテーマは「子育て」について

このnoteでは私たちが出会った日本に住む外国人の方々のエピソードをいくつかご紹介させていただいます。外国人の孤立は日本社会から可視化されづらく、「見えない孤立」となってしまっています。また特に外国人女性は、子育ての悩みや家庭内のトラブル(DVや離婚)などにより一層支援が必要となるケースがあります。

孤立の解消を目標に彼女たちの活躍の場、そして日本社会との繋がりを持つ機会を創出しています。
好きを生かして、新たな仕事を創出! SOL LUNA(ソルルナ)って?|Adelante Inc. (note.com)

今月から、noteにて私たちが出会った在日外国人、外国人女性や外国にルーツを持つ子どもたちについて、エピソードをテーマに分けてご紹介したいと思っています。今月のテーマは子育てに関するものです!


「この子はいつ小学生になるの?」

ペルー出身のお母さんから、ある相談が私たちのところに来ました。シングルマザーとして一人息子を育て、簡単な意思疎通ができる日本語レベルの方からの相談内容は「私の子どもの小学生入学はいつになる?来年?」というものでした。

「学校に問い合わせてくれませんか?私は日本語できないから、、、。」

『わかりました!小学校に問い合わせてみますね!』

『問い合わせました。お子さんは再来年小学校に入学です。
 入学が近くなったら入学案内が郵便でお家に届くそうです。』

「ありがとう!来年かとおもってたけど、2年後ね。ペルーといろいろ違うからわからなくて」


日本と海外の義務教育制度はちがう、、?


国によって学校体系って異なるの?

日本で学校教育は6~7歳の年に小学校1年生になりますが、小学生になるタイミングが分からないってどういうこと?と思う方もいるかもしれません。こどもの教育に関心がないお母さんなのかな、と誤解されてしまう方もいるかもしれません。

しかし、今回相談があった南米ペルーでは、以下のような学校体系になっていることがわかりました。

ペルーの学校体系って?
ペルーの教育段階は、基礎教育(就学前教育・初等教育・中等教育)と高等教育の2つに大別される。義務教育は、就学前教育1年間(5~6歳)、初等教育6年間(6~12歳)、中等教育5年間(12~17歳)の計12年間である。(ただし、就学前教育の義務化は厳密には実施されてないとの報告がある)。

peru.pdf (jica.go.jp)

jica横浜によると、ペルーの義務教育は就学前教育が5~6歳で実施されることとなっています。しかし、これらは厳密には行われていないとあります。
また、就学手続きをみると保護者が学校を選び、入学可能かを問い合わせをすると書かれています。

ペルーの就学手続きって?
公立学校の場合、保護者が学校を選び、定員に空きがあるかどうかを確認する。空きがある場合、諸手続きを行う。私立学校の場合は、学校に空きがあれば、保護者、子ども、校長で三者面談をし、入学試験を受ける。

学校区域指定はなく、保護者が自由に決められる。公立学校の場合は空き状況にもよるが、基本的に居住地あるいは保護者の職場の近くに子どもを就学させることが多い。私立学校の場合は、学校により学費が大きく異なるため、保護者の収入に応じて選択する。

peru.pdf (jica.go.jp)


こうした学校教育制度や学校文化の違いに沿うと、私たちのもとに相談してくれたお母さんの悩みも理解できると思います。

ペルーでは学校に入学したければ保護者が学校に問い合わせをする。
また、5歳から就学前教育も受けられる可能性があるため確認が必要である。

お母さんは自国の文化をもとに、子どもの入学について問い合わせてほしいと相談してくれました。日本での当たり前はペルーとは全く異なっていました。

子の成長とともに生まれる悩み

また、こうした文化背景の違いは高校進学や大学・専門学校進学の際にも大きく影響します。小学校入学に関してはお母さんが問い合わせをしなければなりませんが、子どもが成長するにつれて、進路に関して子どもが親に相談しなくなるケースも生まれています。

コロンビア出身の母を持つ弊社代表の堀口は、自身の進路相談に関してこう振り返っています。

学校の書類などは自分で読んで手続きしていました。慣れると自分でやった方が早いという感覚になってきて、進路の相談もしなくなって。勝手に全部進めることを母は「しっかりしている子」だと捉えていたみたいだけど、本当はいろんなことを相談したり話したりしたかったな、とたまに思い返す時もあります。

堀口安奈 / SOL LUNA on X: "「子ども以外にお願いできる人がいない」まさにここが問題。ヤングケアラーにならざるを得ない環境下にいる外国ルーツの子どもはすごく多いんです。 私は父が日本人だけど、自営業で夜遅く帰宅することが多かったので、学校の書類などは自分で読んで手続きしていました。→" / X (twitter.com)


言語や文化の壁などにより社会からも孤立してしまいがちな彼女たちがいる、ということは日本ではまだまだ知られていません。

その一因として、長く日本で生活をしていても、子どもが通う保育所や学校では日本人の保護者と交流することも難しく、狭い外国人コミュニティの中で生活が完結することが多いため、日本社会から見えない孤立となってしまう現状があります。

もし、誰かが子どもたちの保護者と日本の学校制度や選択肢について話し合う機会が十分に持っていたら?
今回のペルー出身のお母さんのように、進学に関する疑問を気軽に相談できる相手がいるのは大切なことだと思います。

子どもだけに頼らず保護者も、子どもの進学や進路の相談に参画する機会があってもいいのではないでしょうか。それは学校や行政だけでなく、私たちにもできることはあるのではないでしょうか。

日本で暮らす外国人数が過去最高になっているなかで、教育制度や文化を理解することは互いを尊重し共に生きる社会において重要です。そうしたことは子どもたちの将来にもつながると信じています。


【相談事業】妹たちのおたよりを読むのは私の役割|Adelante Inc. (note.com)

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