eSIMの価格の悩ましい問題
eSIMについていろいろと調べていたら、根本的な問題にぶつかってしまいました。結論から言いますとeSIMが従来の物理SIMと比べてそれほど、というかほとんど安くないということです。
例えばアメリカ合衆国でいうとこんな感じです。
これは非常に安いので相手が悪いといえば悪いのですが、eSIMで探してみると……
Simply Prepaid 10GB / 30 days $40.00
倍以上の価格差があります。
ヨーロッパ周遊ではどうでしょうか?
eSIMの場合。
ヨーロッパ 10GB / 30 days $43.99
やはり倍以上の差が付きました。
このような金額設定のeSIMを擁護するとすれば、まだeSIMサービスそのものが過渡期あるいは黎明期にあるので長い目で見てほしいということになるでしょうか。そもそもeSIMの機能がついている端末自体の数が絶対的に少ないのです。技術的にはすでに確立したものですが、ハード営業的な観点から見るとそれを大々的に売りにできるかというと、それはまた別の問題になるでしょう。iPhoneじゃないと嫌だという人はいても、iPhoneにeSIMがないと嫌だという人はほとんどいないでしょう。
移動体通信事業者側(MNO)としてもeSIMはあまり歓迎できるものではありません。なにせ物理的なSIMの入れ替えをしなくてもMNOの移動できてしまうわけです。せっかく獲得したユーザーが値段だけ見てあっさりとほかに移られたらたまったものではありません。日本のMNOがどこも採用していないのはそんなこところに理由があるのかもしれません。
また国としても、安全保障上の観点からeSIMを認めていないところもあります。スマートフォンのユーザーがその存在を隠すためにeSIMを活用する…… そんな事態を懸念しているのでしょうか。
ところで物理SIMについても考えてみると、海外でのデータがこのように安くなったのはここ5,6年のことです。周遊SIMも大々的に出回るようになったのはもっと新しいでしょう。海外SIMの環境は近年急激に変化したのです。それとeSIMを比べるのは酷なことといえます。
とまあ、御託を並べましたが個人的には「面白い!」これにつきます。だってこれまではいちいちあの細かい部品を抜き差ししないと駄目だったんですよ。あれをしなくていいのは本当に楽で新鮮です。だいたいあの小さいSIMトレイ周りを見てみるとわかると思いますがあれは頻繁に抜き差しするようには作られてはいません。
山根博士の記事では香港の海外向けSIMは非常に安いとか。そのため海外に出かけるときに毎回SIMを買うとの内容でした。そのような状況であればSIMの抜き差しを行うのはもはや日常ともいえるでしょう。しかし格安スマホならまだしも、日本ではハイエンド端末がほとんどでしょうからその端末のSIMトレイが毎回のSIM交換のためにぶっ壊れたなんて想像もしたくありません。
そして日本のローミングと比べてみれば今でも十分すぎるほど安いのは事実です。皆さんが頻繁に使うようになればeSIMの価格も安くなる…… かも。
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