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嘘つきの社会的意義(大人になるためにすべきこと)

なんの問題もなく生きている人はこの世にほぼいません。悲しいですが私もあなたもどこかで、突然曲がり角で悪意をぶつけられる可能性があります。

ほんとうにいきなりの悪意であり、私もあなたもすっとんきょうな声をあげてしまうほどに。

「そんな世の中で生きていくなんて辛すぎませんか?」

そうですね。しかしながら、過去に比べればまだマシなレベルなのです。過去と聞けば牧歌的な、自由なと枕詞がつきそうに感じますが、過去というのはうつ病はやる気がないと断じられ、精神的に弱い人は軟弱者と罵られる。

弱さというものがそのまま生きにくさに繋がる時代です。それに比べて今の時代というのは幾分生きやすさというものは上がっています。

しかしながら私もあなたもびっくりするような悪意を突然ぶつけられる。この事実だけは曲がり角からやっぱりやってきます。しかし大人はこの十字路で悪魔と契約を交わします。ロバート・ジョンソンのように。

その契約というのは「汝、一生のうち外出時は仮面をつけるということを誓うか?」という契約内容なのです。

マナーとは何か?

「それは自分を偽りつづけろ!というとんでもない契約内容ですね。」

そうでしょうか?実際あなたも、そして私も嘘をついて生きています。会社でみんなの面前で鼻くそをほじったり、オナラをしたりしていませんよね?(してたら見直すべきです。)

マナーというものは基本的に嘘である。これは断じても構わない基本原則です。このマナーというものは人によって違います。

当然ですがアイドルも私も人の前でウンコの話をしませんし、irohaの話もしませんよね?しかしそれは人によって人前でどうどうとする話しであったりします。

つまりはマナーという嘘は人によって範囲が違うのです。

それに外出時の仮面というのはあなたもつけています。なぜならパジャマで出かける人もいないし、女性なら化粧、男性なら髪を整える無ければ髭を剃る、という行為を必ずします。

それもある意味うそ、仮面とも捉えられますよね。仮面は誰しも被ります。そしてその前段階としての、準備としての学校があるのです。

学校=権力者から小突き回される経験

学校というのは、そもそも権力者から無駄に小突き回される(内田樹風に言うとですが。)場所です。理不尽というものを初めて受ける場所であり、初めて公というものに触れる場所です。支配構造を学ぶ場所とも言えます。

つまりは無垢なものが初めて《公的な嘘》に触れる場でもあります。学校では皆が平等であり公平であると言う嘘を学びます。努力をすれば良い、先生の言うことを聞けば良い、皆と仲良くすれば良い、という嘘を学びます。

「嘘、ではなくてほんとであったら良いことですよね?」

ほんとであれば良いことというのは、平たく言えば嘘です。この社会は平等でも公平でも無いですし、先生の言うことを聞いても正しく生きられるかはわかりません。

つまりそれは社会に出ていくソルジャー養成所でもあるのです。会社の社長を偉いとする価値観、課長、部長の言うことを聞くことが正しいという価値観をたった一つの真実として植え付けます。

昔、つまり学校がない時代はみんな親が先生であり師匠でした。親が漁師なら漁師になるし、農家なら農家になるのが当たり前です。だってなんでも教えてくれるのが親なのですから。

だから突然「はい!今日から工場で働いてください!コンベアから流れてきたらチェックしてください!」と言われたところで会社に遅れてやってくるし、雨が降ったら休むし、疲れたら休んでしまうのです。だから使いにくくて仕方ないのです。

だから学校で親の代わりに、先生という突然目の前に現れた大人を師匠として崇めることを価値観として植え付けたほうが楽なのです。突然目の前に現れた大人である社長や上司を師匠として崇められるように。

そして私やあなたは、いつのまにやら学校で大人から小突き回されたり、友達だと思っていた人から唾を吐きかけられたりしながら仮面をつけることを覚えます。逆に覚えられない人は学校が辛い場所になってしまいます。

アナもありのままではいられない

「それはそうなのでしょうが、やっぱりありのままで生きるのが一番人間らしい、そして何より正しい生き方のように感じます。」

ほんとうにそうでしょうか?アナと雪の女王は、あなたも視聴済みのはずです。あの「ありのーままのー」と言っていたエルサですら最後は力の抑え方を覚えます。

ありのままの剥き身の状態のエルサは誰も幸せにしません。力を抜けばスケートリンクを作れるエルサの力もありのままだと、周囲を凍らせたり雪を永久に降らせ続けたり迷惑でしかありません。

この力の抑え方を覚えるというのは、人間誰しもすることです。子供の頃はフルパワーで親を殴りますが大人になればそんなことはしなくなります。無垢というのは剥き身の状態です。

昔、障害者施設に見学に行った時「さぁ!みんな歯磨きをしてあげてください!」と促されやってみたのですが、これがほんとうに骨が折れる作業でした。

嫌がる人は本気で嫌がるのです。軽く手を抑えようとしたら全力、まさに無垢な子供のように全力で殴りかかってきたりするのです。

上からちょっと抑えただけで「あぁー!」と言いながら振り解き、体当たりをしようとしてくるのをかわしたりしながら「いつもやってるよね?」などとやんわりと伝えながらなんとか歯磨きを終えたのを思い出します。

今思えば「そんなこと学生にやらせるなよ。」と思いますがいい経験にはなったと思います。

つまり剥き身の状態の力、制御を覚えていない力というのは危険なものなのです。それは大人になればなるほどです。

つまりはエルサの話に戻りますが、エルサの手袋というのは優しさなのです。「ありのーままのー」姿は力のない人には迷惑なのです。エルサの手袋を外すことは他人を傷つけるのと同じです。

このエルサの手袋というのは、私が最初から述べている仮面のメタファーです。今の時代SNSは唾を吐きかけられるのが当然の場所です。

そんな場所に剥き身、仮面をつけずに存在することは裸で戦場に出かけるのと同じです。「こいつ、できる!」と思う人は居ないのです。

唾をよしんば吐きかけられたところで、仮面ならば拭けば終わりですし、そもそも不快にはなりますがダメージはありません。

ありのままって素晴らしいことでは?

「ですが世間ではありのままでいい、とか、ありのままで素晴らしいなんて言うじゃないですか?あれは嘘なのでしょうか?」

もちろん嘘です。大人になるとは小さい嘘、仮面を被ることです。ではPV稼ぎのためだけにその「ありのままのあなたも素晴らしい!」と言っているのかと言うとそうではありません。

ありのままのあなたにも生きる権利、幸せになる権利、恋人や家族を作る権利があります。それらは誰も奪うことのできない尊い権利です。何人たりともそれを脅かすことは許されません。

当然ですよね?そのままのあなたは素晴らしいですし、特別です。そこに異論はありません。しかし社会に出ていきたいのであればありのままというのは間違いになります。

正直不動産というドラマがありますよね。あれは確かに不動産業界の嘘を正しているから受け入れられていると捉えられるかもしれません。しかしながらダメな嘘と大丈夫な嘘があるだけなのです。

ダメな嘘というのは人を不幸にする嘘です。良い嘘は他人を勇気づける嘘です。

「努力できるできないというのは遺伝である程度決まっていますので無理なものは無理です。つまり、努力できないというのは遺伝の素養ですので諦めるしかありません。」というのは本当かもしれませんが私を不幸にします。

こんなこと夜に聞くと落ち込んでしまいます。

「努力できるできないというのはイメージの差です。例えば力道山はビンを手刀で割るというパフォーマンスでビンにヒビを入れていましたが、後に続く格闘家は本当に手刀で割っていました。なぜか?人はできるとイメージできてしまったことは大抵のことはできてしまうのです。」

と言われたほうが「明日からイメージを変えてみよう!」と思いますよね。これがある意味優しい嘘というやつです。

一回小突き回されろ

大人というのはこのような嘘を吐きながら、純真無垢な子供から大人へと仮面をつけていくのです。大人だって誰しも仮面を外せば5歳児からそうたいして変わり映えしません。

そもそも仮面は他人を傷つけない、不快にしないためにあります。つまり剥き身の状態のあなたをありのままとして周囲に晒すのは大人のやることではないのです。

私はあるがまま生きるの!と言いながら周囲に理解をしてもらえるのが当然。そう思うことは大人ではありません。床に張り付き駄々をこねるガキと同じです。

そんな人間は小突き回される経験をしたほうが社会で生きる前提条件として良いのではないでしょうか?

自分で立て!それが自立である。

魔法少女になってよ!

私は嘘つきです。あなたのために良いことを言います。その上それらのことを自分で行えるかと言われると7割くらいでしょう。

しかしこれには社会的な意義があります。仮面をつけられるような大人達が増えれば増えるほど議論というのは深くなります。前提条件が揃うからです。

微妙なニュアンス、良い感じがする嘘というのは周囲への気配りです。仮面というのは言い換えると周囲への優しさです。優しさというのはほんとうのことだけではないのです。

今回実は十字路の悪魔は私ということになります。

それでは、僭越ながら。

「僕と契約して優しい仮面をつけてよ!」

それでは、また、日曜日。

あどりでした。

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