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人材不足解消の一手は、どうやらドヤ感と楽そう感らしい。

人が来ない。働き手が集まらない。これは中小企業の喫緊の課題であって、経営者であれば頭を悩ますもの。

給料で働いているわたしやあなたも、経営者ほどでは無いですが、結局のところ人が来なければ自分の仕事量は勝手に増えてしまいます。

この課題(働き手が見つからない)というのは、たしかに経営者の課題です。わたしやあなたのような従業員には手出しができない部分です。

しかしながらこの働き手が見つからないというのは、わたしやあなたの会社にたいする不満と重なっているのです。

なぜなら給料と自分の働きのミスマッチを産むからです。

残業規制が減らしたもの

残業規制により私やあなたは、ライフワークバランスというのを取るように義務付けられています。

それは今までよりも低い給料(残業代を稼げない)で業務量を増やすという、謎の二重苦を生んでいます。

仕事の量というのは現代ではITツールの導入で減少しているように思いますが、実際のところそうでもありません。

仕事というのは無限増殖するものです。勝手に増えていくカビと同じです。

現在の中間管理職はプレイングマネージャーであるのが普通です。つまり部下を育てながら自分も結果を出すのが当たり前なのです。

これはただ単に仕事が増加しているだけです。業務負担が軽減される事はありません。

その上時間は減っているし、部下に任せて帰ることもできない。これが中間管理職の無理ゲー化を加速しています。

これ(残業規制)はある種、リスキリングが叫ばれている中、人の成長機会を奪っている点から考えれば三重苦とも呼べるでしょう。

むかしは残業規制が無い分「時間は24時間ある。いつか終わるだろ(げっそり)」ができてしまっていました。

それはある種時間さえあればできる。という業務負担を軽くする、一種の鎮静剤でもあったのです。

その上、上司というのはみんな一様に応対が多いものです。お客さんであったり取引先であったりさまざまな応対に追われています。

その中で新しい人に知見を話す機会というのは終業後に集約されてしまうのです。なぜなら業務中は部下に教えるという行為はスキマでやらざる負えない仕様になっているからです。

だから終業後「で、最近どうよ?」という話になるのですが、そんなことはもうできなくなってしまっているのです。

ワークライフバランスのカーテン

この世界線では成長意欲が高くとも自分で学ばざるおえません。上司からの教示というのは受けられるものでは無くなってしまったが故の学ぶ機会の減少です。

この三重苦(残業代の減少、業務負担の増加、成長機会の喪失)はワークライフバランスという名の謎の隠れ蓑で隠されています。

しかしながら、ワークライフバランスなどという隠れ蓑ではもう覆いきれなくなってきています。

汚いものには人間フタをしたくなるものです。しかし汚いものは絶対に消えません。手品と同じで魔術では無いので当然です。

それどころか布をかけられて、どんどんとカビを大量発生させながらじっくりと熟成されていくのです。

それが管理職の自殺率の高さ、個人間の格差という醜悪な暗がりを増加させ続けているのです。

2つの格差

管理職および専門職を除くすべての職種で、全死因の年齢調整死亡率およびこれに含まれる4大死因(がん、心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳卒中、不慮の事故)は1980~2005年に漸減していた。一方、専門職および管理職の同死亡率は、1990年後半から2000年にかけてそれぞれ約70%増加していた。
さらに自殺率は1995年以降、職種を問わず上昇傾向が見られ、特に管理職における増加が著しく(1980年から2005年の増加率271%)、専門職での自殺率増加も大きかった。
なお、1995年以前は管理職・専門職の主要な死因別の死亡率比は他の職種に比べ有意に低かった。しかし、2000年以降はこの傾向が逆転していた(表)という。

medical-tribune

例えば格差で言えば下の図がわかりやすい。

ジニ係数というのは0から1の間で1に近づくほど格差が開いている(1は全ての富を1人で持っている状態)ことを示します。

ちなみにジニ係数0.4というのは社会騒乱が多発される警戒ラインでもあります。

この醜悪な暗がりは今もなお、ワークライフバランス、働き方改革の名のもとに暗さを、醜悪さを大きくしていっているのです。

なのに改善の一手と思わしき人材は不足している。これではこの先もっと煙の闇は広がるばかりだと想像を禁じえません。

そしてさらに酷いことに、私たちの生活インフラを支えてくれている人たちのもとに人を集めることもできていないのです。

それは有効求人倍率が差し示しています。

インディード

12.4倍ということは12.4社で1人の従業員を取り合いしているということです。この有効求人倍率が高いところは私やあなたの生活インフラを支えているものです。

その上看護や介護という職種においては地方と都会で差があるものの、有効求人倍率は高いところで、13.5(介護)や17.89(看護)まで上がっています。

生活インフラの担い手が不足しているのです。

ところが、です。

インディード

事務員やデザイナーという職種は人余りの状態になっています。

今回の要点

これはドヤ感と楽そう感が関係しているように思います。

例えば一般事務。これは楽そう感が高そうに思う職種です。もちろん楽な仕事というのはそうそう無いのですが。 

そしてデザイナー。これはドヤ感の高い仕事です。「今?いまはね私デザイナーしてるんだ。」ドヤ感がすごいでしょ?(偏見)

これに対して有効求人倍率が高い職種はぱっと見で3K(危険、きつい、汚い)の職場に思ってしまいます。

つまりは人を集めるには、ぱっと見のドヤ感と楽そう感が必要なのです。他人から見ての。

コンサルタントやマーケが人気の職種なのもこの2つ(楽そう感、ドヤ感)が高いからです。どう考えても建築で働くよりも高そうに感じるのはあなただけではありません。

例えばなんですが、農業を例として「農家さん募集!」と書くよりも「バイオテクノロジスト募集!」と書いた方がドヤ感、楽そう感が上がります。

そんなしょうもないことで…

と思うかもしれませんがこれは事実です。

私が前職で行って実際求人数が爆増したので、手触り感のあるものとなります。それは募集に工場長募集、と書いただけです。

これは嘘と捉えられればそうかもしれませんが、実際よかったら工場長になれるのであながち嘘ではありません。物は言いようですね。

人間は感情で動きます。そして業界の常識は他の業界の非常識でもあります。業界では当たり前の部門、部署だとしても他の人から見れば想像できません。

営業募集と書くよりもマーケター募集と書いた方が人が来るのと同じです。人はドヤ感と楽そう感で職業を決めるのです。

給料が良ければ働く。というのはドヤ感と楽そう感を満たしているからこそです。

そしてそのドヤ感と楽そう感を生むのは相手に想像させる力です。説明が内輪のワードを使ってしまうと人は思い描くことができません。つまりドヤ感と楽そう感を阻害してしまうのです。

つまりは給与が低いから来ない。というのは正解なんだけど及第点といったところなのです。

ドヤ感と楽そう感は全ての職種が求人において考えるべきことです。

旨み=シズル感

「そんなもんでくるやつはやる気なんてないだろ!そんなやつはいらん!」

という声が聞こえてきそうですがなにを勘違いしているのでしょう?美味しいステーキも口に運ばなければ美味しさは伝わりません。ステーキの美味しさはシズル感にあるのです。

シズル感とは、商品の魅力を演出し、購買意欲を刺激する広告表現のことです。食べ物や飲み物に対して使用されることが多い言葉で、英語の「sizzle(揚げ物などがジュージューいう)」を由来としています。

それにやる気というのは後発です。やってみたからやる気が出るのであって、やらないうちからのやる気は嘘です。

人口は減少の一途を辿っています。それは逃れられない事実です。

それは雇われる側の強さを相対的に上げることでもあります。つまり売り手市場ということです。だからといって誰でも転職して成功する訳では無いのですが。

優しい言葉

ワークライフバランスという醜悪なものにつけるカーテンは意味をなし得なくなってきています。

ワークライフバランスの実装が人の格差を生む、人生の攻略の難易度を上げる。これらはもっと酷くなっていくでしょう。

その中でなにを学び、なにを糧として生きるのか?これはシズル感で騙されることなく自分の頭で考えなければなりません。

優しい仮面をつけて「大丈夫。あなたはあなたで価値があるんだから。」という甘言は戯言です。シズル感でしかありません。ドヤ感、楽そう感をあなたに与えるだけです。

これからの人生はシンプルに負荷が上がります。それは難易度アップであり苦しいものでしょう。

しかし福沢諭吉も、天は人の上に人を造らず、ではなにが人を分けるのか?それは学ぶものと学ばないものであると語っています。

人学ばざれば知なし、知なきものは愚人なり

実語録

現状わたしやあなたの生活を良くする、守るものは学びしかありません。簡単な安易なものに安寧をもたらすものはありません。

それこそ簡単、安易はシズル感でしか無いのです。

わたしはあなたに「大丈夫。きっと良くなるよ!」などとは簡単に言いません。常に言い続けていきたいのは「騙されるな!死ぬぞ!」です。

学びは絶対にあなたを良くします。ワークライフバランスというカーテンよりも。

明日も学びましょう。絶対に。

「騙されるな!死ぬぞ!」

それでは、また、日曜日。

あどりでした。

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