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「ワイルド・スピードFIRE BOOST」「クリードIII過去の逆襲」

どうも、安部スナヲです。

最近観た劇場公開映画の感想を述べます。

今回はマッチョな人気シリーズの続編2連発💪💪

【ワイルド・スピード FIRE BOOST】


ワイスピ最新作を観終えてから数日間、ボーっとしてしまった。

というのも最新作を観るにあたり、御多分に洩れず過去作全10タイトル(『スーパーコンボ』含)をイッキ見したのだけど、ザックリ計算でおよそ25時間ほどになるだろうか。集中的にあの超現実世界に浸っていたせいで、スッカリ阿保になってしまった気がする。

何が困るかってドム&ファミリーへの謎の感傷がハンパないのだ。いわゆるワイスピロス?ファミリーロス?ファミロスってか!あはは。

ともあれ最新作「FIRE BOOST」

シリーズ5作目「MEGA MAX」の時にドミニク・トレット(ヴィン・ディーゼル)が莫大な財産を奪ったうえにブッ殺したブラジルの麻薬王・レイエス。

そのレイエスの息子・ダンテ(ジェイソン・モモア)が今作のヴィラン。

ドムへの復讐に躍起になっているダンテは、父の言いつけに従い、ただドムを殺すだけではなく、散々苦しめてから殺すと息巻いてる。

で、ドムの苦しみとは何ぞや?というとそらファミリーを失うことに決まってまんがな!というわけで、この不気味なおねェキャラのサイコパス、ダンテの魔の手がドム&ファミリーに迫る。

だが意外なことに、いちばん初めに標的にされたのは、なんと前作まで敵方のラスボスであったサイファー(シャーリーズ・セロン)

ダンテはサイファーに共謀を持ちかける為、アジトを訪れる。拒んだサイファーは華麗な格闘でヤツに応戦するも深傷を負って敗退。助けを求めてドムとレティ(ミシェル・ロドリゲス)が暮らす家にあらわれる。

まずサイファーよ、他に助けてくれる友達はおらんのか。

何よりも、これはまたいきなりお得意の「昨日の敵は今日のファミリー」パターンか?

ちなみにシャリーズ・セロンがサイファー役をオファーされた時、「彼女がドム側についてバーベキューに参加することはないようにしてほしい」との条件を出したそうだが、この流れは完全にそっちじゃないか?

ともあれサイファーからことの顛末を聞かされ、危機が迫っていることを知るドム。

一方、いろいろあって米国秘密諜報機関から依頼されたあるミッションを担うことになったローマン(タイリース・ギブソン)はこれを遂行すべく、テズ(クリス・ブリッジス)、ラムジー(ナタリー・エマニュエル)、ハン(サン・カン)を伴ってローマへ赴くが、これもダンテが仕掛けた罠だった。

もう一方でドムは息子のリトルBを危険から守るため妹のミアに(ジョーダナ・ブリュースター)に預けるが、今度はドム&ファミリーを指名手配する秘密諜報機関のリーダー、エイムス(アラン・リッチソン)にミアが襲われる。

そこに助太刀にあらわれたのが前作から登場したドムの弟でミアにとっては兄にあたるジェイコブ(ジョン・シナ)

こちらも奮闘の末、なんとかエイムスから逃れるが…

とまぁこんな具合に、ファミリーそれぞれが強敵ダンテ及びエイムス率いる諜報機関と闘うハナシだ。

今作も見せ場見せ場のオンパレード。

街中をピンボールみたいに跳ね転がる中性子爆弾を車で追いかけたり、空から車ごとスカイダイビングしたり、軍用ヘリとのカーチェイスを実写ベースでやるなんてのは、もはやこのシリーズにおいてはあたりまえ。

ファミリーひとりひとりに均しい密度で見せ場を作ってくれているのもファンサービスに溢れている。

ローマン、テズ、ラムジーのドタバタチームワークは危なっかしいながらも仕上がってるし、それを見守るハンのクールさも健在。柿ピーも健在。

レティとサイファーの、世界一贅沢な肉弾キャットファイトにも興奮した。

デッカード・ショウ(ジェイソン・ステイサム)の出番は少なかったけど、ダンテの標的に母のクイニー(ヘレン・ミレン)も含まれると知るや、テキパキと戦闘準備を行い助けに行く、あの身のこなしだけでシビれたさ。

だけど、今回いちばんグッと来たのは、ジェイコブとリトルBの逃亡珍道中。

はじめ、ボロいムスタングに不満そうなリトルBもかわいかったし、絶叫マシンを楽しむようなノリで2人で飛行機から脱出するところも最高だった。

イカついめのオッサンと少年が心を通わせる感じは「菊次郎の夏」を思わせ、あのパートだけで1本の映画を作って欲しいくらいだった。

ストーリーや設定の整合性はというと、いつもながらご都合主義を通り越した豪快な杓子定規でネジ曲げまくりなのだが、そんなの初めから求めてないというか、この映画に限ってはそれを許してるからこそ楽しめるのであって、ワイスピ好きな人って、みんなそうなんじゃないかなぁ。

あと、今作はシリーズ最終章の前編で、2年後公開予定の後編で完結…の筈がまたまたあと出しジャンケン的に3部作にするのしないのというハナシが浮上しているが、そんなのはもう好きにしてくれ。

オレたちはドムに着いて行くだけさ。

【クリードIII 過去の逆襲】


ロッキー・バルボアの好敵手アポロ・クリードの息子、アドニス・クリード(マイケル・B・ジョーダン)はヘビー級チャンピオンの輝かしいキャリアの終焉を迎えようしていて、その引退試合の相手はプロデビュー戦の次に戦い、唯一勝てなかったリッキー・コンラン(アンソニー・べリュー)

あの頃とちがって知略にも長けたアドニスはクレバーな戦法でコンランを撃破、有終の美を飾る。

めでたしめでたしのアドニスのもとに、18年の刑期を終えて出所して来た児童施設時代の兄貴分・デイミアン(ジョナサン・メジャース)があらわれる。

少年時代、アマチュアボクシングで最強だったデイミアンは、今や力あるプロモーターとなったアドニスに、現ヘビー級チャンピオンとタイトルマッチをさせろとムチャな要求をするが、いろいろあってムチャが通り、どーゆーワケか試合に勝利。チャンピオンの座を奪う。

ところが散々拗らせるもんだから、ええ加減コイツをなんとかせなアカンということで、アドニスは現役に復帰し、デイミアンとの対戦を決意。。。  

前作までトレーナーとして二人三脚でアドニスを支えて来たロッキーが今回は不在。

「ロッキーシリーズ」の権利をめぐってスタローンとプロデューサーのアーウィン・ウィンクラーが揉めたらしいが、ロッキーあってのクリードなのでとても残念。

製作面においても、「クリード」3作目となる本作で初めて自ら監督をつとめたマイケル・B・ジョーダンと「ロッキー2」で初監督をつとめたスタローンは同じ轍を踏んでいるし、それはそのまんま映画の中のアドニスとロッキーのこれまでと、どうやっても重なる。それを思うと尚更切ない。

そういう事情で「何か冷めるわぁ」と思っていたわりには、結構泣けた。というかロッキーシリーズでいちばん泣いてしまった。

今や成功者となったアドニスだが、アポロの愛人の子という負い目に加え、施設で虐待されていたこと、兄弟同然の友であるデイミアンを裏切った過去などが明るみになり、それらをやっぱりボクシングで乗り越える様には心を打たれた。

そして今作では特に家族との絆、中でも育ての親であるメアリー・アンが最期に吐露した言葉。あれは悲しみではなかった。これまでの苦悩も後悔もいっぺんにひっくり返った。彼女自身もアドニスもアポロも、何なら妻ビアンカも娘アマーラもみーんな救われた。あんなに美しくて強い親子愛をちょっと見たことがない。

それもこれもすべて凌ぐ勢いでキョーレツだったのがデイミアン役のジョナサン・メジャース。

序盤、出所したばかりのデイムがアドニスの前にあらわれ、気重ながらも成り行き上そうせざるを得ないという感じで、ダイナーで食事をするシーン。

あのストレスフルな空気は忘れられない。

詳細は伏せるがデイムがムショ行きになった要因にアドニスは深く関わっている。

状況的にしょうがなかったともとれるが、施設の中で修羅場をくぐり抜けて来た戦友であるバッドボーイたちの関係を思えば、卑怯な裏切りともとれる。

が、少なくともあの場において、デイムはアドニスへの恨み言を一切口にしない。

だからこそ、あの頃の2人が好んで食べていた筈のファストフードを持て余しながら、テーブル越しに対峙するデイムの存在が尚更恐ろしい。

とにかく、この映画はデイムが牽引していると言っても過言ではない。

良いところはたくさんあったが、同じくらい不満点もあった。

まず出所したばかりのデイムが世界タイトルマッチに出られるというのも、相当むちゃくちゃだし、あの試合でチャンピオン・フェリックスを負かしたデイムの戦法は完全に反則ではないか?

ストーリー的にあそこをクリアしないと先に進まないのはわかるが、もうちょっと納得できるようにプロットを練って欲しかった。

いい映画だけど、そういう中途半端なツメの甘さが悔やまれる。

そしてボクシング描写。

「クリード」の名シーンといえば、1作目のデビュー戦である対ダニー・ウィーラー戦が素晴らしく、印象が強い。あの長回しはホント驚いた。寧ろあれが出来過ぎだったのかも知れないが、今作では試合シーンに妙な劇画調が加わり、そこが個人的に難ありだった。

それはまだ無類の日本アニメファンだという、監督としてのマイケル・B・ジョーダンの作風と捉えて納得することができるが、本編上映後の、日本公開向け特典の短編アニメは完全に「クリード」という映画のトーン&マナーに反する。ダウン判定に近いくらい減点だよ、悪いけど。

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