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節分に思い出す、夕暮れの空

節分とは、「季節の分け目」
年に4回訪れる、立春・立夏・立秋・立冬の前日を指す言葉でした。

いまでは2月の「立春」の前日のみを「節分」と呼び、豆まきをして邪気や厄を払ったり、年の数だけ豆を食べたりして一年の無病息災を願います。
小さな子どもがいれば家で豆まきをするかもしれませんが、最近は恵方巻を食べるというイベントになりつつあるでしょうか?

節分の季節に思い出す光景があります。

5年前、私は長女を保育園に預けて仕事をしていました。いわゆるワーママです。

自宅から自転車で最寄り駅を通り越して、保育園に娘を預け、Uターンして駅に戻り電車に乗って仕事に行く日々。

近くの保育園に入れなかったため、保育園の送迎だけで毎日1時間以上かかり、負担を感じていました。

冬は日没が早いので1時間時短勤務にしても、最寄り駅に降り立つ17時半頃にはあたりは真っ暗。そして寒い。

手袋をしている手先が凍り付くように冷たい。
寒い、しんどい、つらい。

仕事で疲れた体で、自宅とは反対方向にある保育園へ向かって暗い夜道を自転車で走り出す。家に帰ったら休む間もなく夕飯の準備、子どもをお風呂に入れて寝かしつけ。

毎日がくたくたで、何のためにがんばっているのか、わからなくなっていました。

でもある日、今日が何日かも忘れるくらい忙しい日々のなか、ふと気づくのです。

毎日同じ時間に帰宅の電車に乗って、ほぼ同じ時刻に最寄り駅に降り立つけれど

「あれ? 今日は少し空が明るいぞ……?」

完全に日が沈んでいなくて、ほんのり夕暮れ。真っ暗じゃない。

そうか、節分。季節の分け目とはよく言ったものだ。

まだまだ寒くて春は遠く感じるけれど、季節はたしかに進んでいると実感し涙が出るほどうれしかったのを、よく覚えています。

暗くて寒いと、心まできゅっと縮こまってしまうのですね。

ほんの少し外が明るいというだけで、指先も吐く息も冷たいけれど、夕暮れの空を見て、心がほわんと温かくなったのでした。

まだまだ毎日寒いですね。
心の中がポカポカになれる時間を作って、カチカチになった気持ちをゆるめて、春の訪れを待ちましょう。




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