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アテギア9章がめちゃくちゃ面白かった話

みなさん『アーテリーギア-機動戦姫-』知ってますか?
知らないかもしれませんね。
今回はそのメインシナリオの9章がめちゃくちゃ面白かった話をしたいと思いますが、まず長めの前置きからはじめましょう。
以下、若干ネタバレを含みますので、そのへんが気になる方は「9章が面白いらしい」という情報だけ受け取ってはじめてみてね。

プレイのきっかけ

本作は2021年11月18日より配信のはじまったスマホゲーで、私はその初週くらいからプレイを始めました。

理由としては、「荒廃した未来でいろいろなアレと戦うSF」とか好きだから……。
で、本作はその欲求に応えるものだったのか?
正直なところ、最初の方は「ゲームとしてはまあ悪くないけど、シナリオはあんまりだな……」という印象でした。

まずテキストの翻訳がボロボロでした。
たとえば本作では「傀儡」というのは作中用語で、人類の敵のことです。
読みは「くぐつ」のはずなのですが、「か……傀儡」という表記ゆれが随所に見られました(今は直ってるかも)。

単純な誤字脱字や翻訳忘れならまだいいですが、名前欄のミスがひどい。

今ではこのへんは直っているはずです。特に後者はなにか特殊な表現と疑ったくらいですから、ただのミスだと判明して安心しました。

ただ、ゲームとしては福利厚生が行き届いていて快適です。
たとえばオート周回についてはログアウトしていても勝手にやってくれます
「そこまでするならスキップでよくない?」って気もしますが。

また、キャラクター育成のエンドコンテンツである「装備」も、『原神』「聖遺物」めいて馴染みの深いものであり、そんなこんなでダラダラプレイは続けていました。

あと重要なのはシステムSEですね。
SF系のソシャゲが好みなのはビジュアルもそうですがこの点もかなり大きな要因だと思ってます。
「カシャ」とか「シャキーン」みたいなキータイプ音みたいなのとか金属音とか、そのへんが心地よいので、感触は悪くはありません。


シナリオについては完全に舐めていた

とはいえ、やはりシナリオについては「面白くはないな……」という印象が長らく続いていました。スチルはかっこいいんだけど……。
イベントシナリオについても

Q.AG(機械兵器)化して両親と引き離されてしまった女の子。両親にもう一度会いたいけどなぜか会ってくれないの。なんで?
A.なんか怖かったから……

というあまりにもしょーもない話を読まされてこの「ゲームはシナリオに期待するタイプの作品ではないのか……?」という不安を覚えました。
「100万字を超える壮大なシナリオが展開!」みたいにシナリオで売ってたはずなのに……?(今ではその文言はなぜか消えてる)(実装分ではどう考えても100万字まだ超えてないからかな)

さて、9章までのメインシナリオをざっくり解説と感想を書いてみます。
まず前提としてあらすじを要約すると


「傀儡」という人類の敵が現れて人類は19年に渡り「傀儡戦争」を続けていた。これまでの人類同士の争いは「内戦」と呼びなおされている。
傀儡は「糸」によって生物や機械を仲間を増やしていく。いろいろなアレにありがちな同化能力を持つ。
そのうち、「アーテリーギア(AG)」と称される人間を改造した兵士だけが糸に対して強い抵抗力を持ち、唯一の対抗戦力となっていた。
だが、このような状況でも人類は「フロンティア」「オートルナ」に分かれ、一つにはなっていない。

だいたいこんな感じです。

序章:
モブ「うおおお傀儡になりそうです死んでいいですか」

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メインヒロイン「よし、死ね」

1章:

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「ゼロヨン」というキャラの顔見せ回というだけで、特筆すべきことはありません。
なんかアジュールシティという街が傀儡に襲われて大変なので助けてってだけの話です。

2章:
最初読んだときは話が全然理解できなかったので読み直しました。
フロンティア(地上人類が結託した連合国家みたいなの)に裏切り者が潜んでるらしいから探してね、という話でしたが、その裏切り者の描写があまりになさすぎてなんかよくわからないうちに終わります。

より正確には、
「裏切り者と思ってたけど実はただのいい人だったと思いきやそいつが本当の裏切り者(スパイ)だった」

複雑すぎるわ!!
なんでこんな短い話でそこまで詰め込んでんだよなに一つ理解できんかったわ!!

3章:
フロンティア「敵を倒すために味方ごと砲撃するよ」
ユニオン(主人公)「なっそんなのダメだぜ」

要はそれだけの話ですが、話としては「軸」が見えやすくてわかりやすくてよかったです。

4章:
3章からの続き。前回いろいろ無茶した結果、仲間の一人である「メル」が敵にさらわれてしまいました。
このままでは傀儡にされちゃう!
というわけで、初めて「お、なんか面白いな」と思えた章です。

というのも、これまでは皮肉屋で口の悪い人物として描かれてきた「レラ」が取り乱しまくります。そのギャップがいいですね。

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つまり百合です。

一方、我らがメインヒロインであるニオさんはそういうの全然気になさいません……。ノータイムで部下の自爆を許可するような女だから……。

5章:
急に出てきた新キャラの女(ミルヴァス)とそいつに重い感情を持つ急に出てきた新キャラの女(コンドル)がイチャイチャする回。

章ごとに新キャラがわちゃわちゃ出てきて忙しないな!
ソシャゲのシナリオである以上仕方ないのはありますが、キャラ紹介(販促)のためのシナリオという印象が強いです。

さて、どうやらコンドルはミルヴァスになんらかの事情で除隊させられ、そのことをきっかけに強い執着をもって復讐を試みているらしいのですが……その事情も明かされません!
つまり二人がただイチャイチャするのを見せつけられるだけです。

ちなみにシルビアという女も出てきて少しだけ三角関係な百合になります。

6章:
人類はいま地上の「フロンティア」と衛星軌道上の「オートルナ」という二つの勢力に分かれています。
傀儡という人類の敵が存在するにも関わらず両者はいい感じに協力しません。
という説明はされてきていたのですが、いまいちピンときてませんでした。今回はその両者のトップ会談が行われることになります。

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フロンティア代表は「アトラス首脳」
これまでのシナリオでもたびたび登場し、プレイヤーとしては馴染みがあります。
(ところでシミュレーション戦で傀儡に勝ったってなに??)

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オートルナ代表は「リサ・オートルナ女王」
よくわからねえが……得体の知れねえ女だぜ!!

7章:
6章からの続きで前後編みたいな構成です。
トップ会談中に例によって傀儡師(ボス敵)が現れるのですが……

プレイヤーの誰もが思いつきそうななんの捻りもないストレートすぎる決着を迎えます。
うせやろ?? なんでこんなんを「意外な結末」みたいに演出してんの??

リサ女王はやっぱり胡散臭い女でした。ですよね。

8章:

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ゴミカスオートルナニュースの時間だあ!!

いやあ、こういうやりすぎなくらいのフィクション偏向報道、好きですね……。
7章あたりからアテギアのシナリオに対する期待はだいぶ下がってしまいましたが、このあたりから持ち直しました。

8章では地上の凄惨な戦場と、その事情を全然知らないオートルナのギャップが描かれます。
「わいが真実の報道をするんじゃい!」と息巻いてやってきたオートルナ記者フィールが現実を知ってビビり散らすさまはあまりにもお約束すぎ、まあなんやかんや成長はするわけですが登場人物に「成長したな」といわせて成長を表現するのはどうかな?!

しかし、ここまでのアテギアは序章に過ぎなかった……。


めちゃくちゃ面白かった9章

さて、ここまでのアテギアをまとめると、「4章がまあ面白かったかな」くらいで「もしかしてこのゲームダメなのでは……?」と不安の覚えるものでした。

そもそもプレイをはじめた動機は「荒廃した未来でいろいろなアレと戦うSF」が好きだから、というものです。
ただ、シナリオを読んでみると「敵弱くね?」「いうほど人類劣勢じゃなくね?」みたいな印象がつよく、そのへんの期待はどんどん下がっていき、主人公が有能すぎてつまらんな、くらいまでありました。

それが、8章終盤から急展開を見せます。
これまでのなんか生ぬるく感じる展開はぜんぶ布石に過ぎなかったわけです(ほんとぉ?)。
とにかく、状況がめちゃくちゃ悪化します。

9章は6~7章と同じく8章と合わせて前後編みたいな構成です。
8章はクリフハンガーめいて最悪な状況で終わり、9章に続きます。
8章ラストから9章冒頭は時間が前後するのですが、「いやお前……あのラストからこの流れか?!」という心地よい絶望感が得られます。
これだよこれ! これが欲しかった!

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悪役も輝いています。
これまでシナリオ上で描かれてきた敵はどいつもこいつも格が低くてやたら弱い印象でしたが、こいつ!! この女!! エルフィン!!

こいつがめちゃくちゃやばいです。暴れ回ります。
よくある悪役らしい挙動としてとにかくしゃべりまくるんですが、無駄口を叩きながらもなんだかんだ結果は出します。なので体感脅威度は高い。
あああ……もうダメだぁ……おしまいだぁ……。

そんな最悪な状況になってしまったからこそ、過剰なまでにクソ有能な主人公の出番です。
「こいつが出てきたらなんとかなる」という頼もしさ。
いや、お前……いくらなんでも強すぎだろ!!

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そしてクラリス
これまでもちょいちょい姿を見せ、主人公になにか強い執着があるのを匂わせてきましたが、ここにきてかなりおもしれー女であることがわかります。

まだ全貌は明らかになっていませんが、どうにも前作ヒロインみたいな位置づけっぽいですね。
今では主人公を殺すことだけを考えるヤンデレヒロインと化しています。

こいつもまた悪役としていいキャラしてます。
これまでは「なんなんこいつ……」みたいな印象しかなかったのが嘘のように……。
そして、クラリスの参戦でヒロインレースは過熱します。

ニオさん……? メインヒロインっぽいのになんか影薄いけど大丈夫……?
大丈夫です、ちゃんと盛り返します。
ぼくはアトラス首脳が好きです。

また、8章の実質主人公だったオートルナ駆け出し記者のフィールの活躍も見逃せません。
彼女はオートルナに戻り、地上の真実を伝えることで援軍を要請するよう努めますが……。
ガチガチの情報統制の敷かれたオートルナではそうそう上手くいきません。

当初から「フロンティアとオートルナはなんか仲悪いっぽいけど具体的にどういう関係なの?」と疑問に思っていましたが、結論はこうです。

オートルナがカス過ぎる

つまり、オートルナは衛星軌道上の国家ですので、安全圏から地上を傍観してるだけなんです。
そのことを正当化するために自国の報道では「オートルナは援軍を送ろうとしているが、フロンティアが拒否している」などと流しています。

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6~7章でだいぶ胡散臭いな……と感じていたリサ・オートルナですが、胡散臭いどころではありませんでした。

「悪」です。


第一部、完!!

海外ドラマみてーなクリフハンガーしやがって!!
そんなわけで、アテギアは9章で「第一部完」の扱いとなります。

正直シナリオについてはだいぶ舐めてたので9章には持っていかれました。
これからはじめてみようという方も、9章までは「正直おもんないな……」となるかもしれません。
でも9章は面白いんだ……信じてくれ……

しかし、ソシャゲのシナリオってこういうの多くないですか?
どんなお話でも序盤から面白いってのはそうそうないですが、それにしてもソシャゲのシナリオは序盤がつまらなすぎる
FGOもまあ、序盤はそんな面白くなかったし……
メギドも最初の方はなんか全然よくわかんなかったし……
実はいうと昨今話題のブルアカも序盤だけ触って「あんま面白くないな……」と離れたんですよね。悔しい!!(そのうち続きをやるかも)

こういうのがあるので、序盤つまらなくても「耐えてみるか……」「いややっぱり耐えられん!!」になったりしてきたわけですが、本作は耐えてよかったと思いました。

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