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レーザー干渉顕微鏡を活用した電極界面現象の研究

こんにちは。
『表面技術』202年7月号にレーザー干渉顕微鏡の面白い活用方法が載っていたので書き残しておきたいと思います。

タイトルは『レーザー干渉顕微鏡を活用した電極界面現象の研究』で、著者は北海道大学の環境材料研究室の方のようです。

レーザー干渉顕微鏡について

”レーザー干渉顕微鏡”と聞いて、私は白色干渉顕微鏡を思い浮かべてしまいました。(このワードで検索しても白色干渉のほうが出てきます…)

光路差による干渉縞を使って測定するのは同じだと思いますが、光源にレーザーを使っているのがレーザー干渉顕微鏡のようです。
富士フィルムのサイトに基本的な説明が記載されています。

表面技術誌に掲載されている内容はこちらの論文の内容に近いようです。

こちらの論文で使われているレーザー干渉顕微鏡は、(恐らく)スイスのLynceeTec社の製品だと思います。
R1000シリーズの装置を改造して、下図の赤矢印部分にサンプルを設置しているようです。

(LynceeTec社webページ図に記載より)

銅めっき時のワーク/液界面の分析

レーザー干渉顕微鏡は固体の表面を分析するイメージでしたが、この記事では銅めっき液を分析しています。
(分析結果のイメージは上記論文p.3以降を参照)

特に、めっきが析出するワーク界面のイオン濃度が変化する過程を観察することができます。

電解・無電解に関わらず、めっきでは化学反応で液中の金属イオンを固体表面に析出するので、固体表面近傍に金属イオンが薄い層が発生します。
そこに、濃度勾配や電位差で新しいイオンが供給されて、連続的に金属が析出していきます。

この濃度勾配は、会社でも議論になることがあるのですが、簡単に観察する手段を見つけられませんでした。

この記事の著者は、金属イオン濃度が溶液の屈折率を変化させ、通過する光の位相差が変わることに注目しています。位相差が変われば干渉縞も変わるのでレーザー干渉顕微鏡で濃度分析ができるというわけです。

濃度分析するだけなら透過率とか見ておけばいいんですが、空間分解能を求めるとレーザー干渉が必要になるのだろうと思います。

普通のめっきをしている分にはトライ&エラーで何とかすると思いますが、著者の研究では磁場によるイオンへの影響を見ているおり、この測定方法は最適です。

やってみたい。

この記事を読んだ感想は「やってみたい」です。
この前レーザーテックの光干渉顕微鏡の紹介があったので、出来ないか相談してみてもいいかもしれません。

ちなみに、著者に入っている松島准教授は他にもAFMを使ったin situ観察をしていたり、なかなか面白そうな論文を発表しています。
研究室は電気化学系ですが、分析技術についても強そうな印象を持ちました。

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