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あお写真?  シロクマ文芸部

「青写真」という言葉はわたくしの辞書にはない。
わたくしはナポレオンではない。したがってロバでアルプスを越えたりはしないし、コルシカ島に行ったこともない。そういえばシチリア島は風光明媚な素敵なところだった。いかにも少年、ビトー・コルレオーネが遊んでいそうな風が吹いていた。

そういう話ではない。
だいたい今どき、青写真を使う場面はないんじゃないかな。
実物を一度だけ見たことがある。なんだか手が汚れそうな青い紙で、私の美しい潔癖が「触れてはいけない」と忠告するので見るだけに留めた。

もしかしてこれは、「絵に描いた餅」と同義ではないのか。
だとすれば私は日々、餅の絵を描いているではないか。

では餅の絵をひとつご紹介しましょう。

地下鉄   小説

息苦しい部屋にもう何年も暮らしている。
どうしてそうしているのか、私にもわからない。
 
耳をすませば、5分おきに地下鉄の音が聞こえる。
地下鉄が終わる夜半を過ぎなければ床に就けず、そして5時の始発で起こされる。
静かな空気に振動は効果的にリズムを与える。
 
夜はネクタイの捻じ曲がったサラリーマン、朝は目を腫らした人が乗っている。若い連中は寝る間も惜しんで駆け込んでくる。
ここでは日毎に睡眠を削っているようだ。
 
ある日、行商のおばあさんが乗り込んできた。まだ市場の開かないこの時間に、背中の籠いっぱいに詰められた魚は、漁から帰ってきた夫から受け取ったものだ。そして近くの駅まで送ってもらったのだ。
すべて売り切って、どれほどの収入になるのだろう。
 
私は何も生み出さない自分に腹を立てているのかもしれない。
ザラザラとしたコンクリートの床を撫でると、気持ちがゆっくり馴染んでいく。
日の光を見たら、私の視力も聴力も潰えるのだろう。

ここの人々は循環している。循環しながら均衡を保っている。

下書き

なんだかピリッとしない。
某sns用に一週間ほど前に書いたものだが、寝かせている。
読み返しては修正を加える。
それでもピリッとしてこない。

いちおうちゃんとした設定も構成もあるストーリーなのだが、それが文面に表せていない。
青写真はしっかりしているのに・・・
ん?青写真?
そうか。これが例のうわさに聞く「青写真」か!


小牧部長さま
今週もよろしくお願いいたします。

この埋め込みデータは半分マヨネーズのかかった、お好み焼きからこっそりちょうだいいたしました。ありがとうございます。

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