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ボツネタ 優先席の微世界先生

いいかね、私たちはみんな同じ船に乗っている。素粒子は君たちにも私にも、すべての者に共通だ。
だが素粒子の動きは不確定だ。確率的にしかそれを捉えられない。位置を求めれば動きがわからなくなり、動きを捉えれば位置は不明確となる。そういうものだと考えておく必要がある。この微世界の出来事は見方次第で違うということだ。

講義が一段落したところで、卒業生から贈られた微世界先生と書かれた椅子に腰をおろした。ここは私の優先席。

フッと息をつくと、それに呼応するようにドアが勢いよく開いた。
「すみません。遅れました」
私は横目で睨みを利かせた。
遅れるのは構わんが、君のために講義はせんぞ。重要な講義だと言っておったはずだが。
「申し訳ありません。時速10キロで走ってたんですが、自分がいる場所がわからなくなってしまって。で、地図で確かめたんです。すると今度はあらぬ方向に走ってしまって」

優先席の微世界先生としては、彼に及第点を与えるしかあるまい。
       410字

【いいわけ】
冒頭の講義部分は素粒子物理学で定説となっている素粒子の振舞い、現象を説明したものですが、基礎的な知識がないとなんのことやらわからんと思いまして、このネタはボツといたしました。
日頃からわけのわからん記事を投下させていただいている身で、このような選別をするのもおこがましいことではございますが、私なりの線引きです。

たらはかにさんの「毎週ショートショートnote」の先週のお題をお借りいたしました。ありがとうございます。

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