【長編小説】 ヒジュラ -邂逅の街- 7
その日、約束の時刻に私は“闇夜”と広場の端で落ち合った。イマームの大説法の日ということで、街じゅうが公休日となっていた。普段は日干し煉瓦で埋め尽くされている広場は綺麗に片付けられ、栄えある祭典にふさわしいよう、隅々まで掃除された。膨大な数のカーペットが敷かれ、街じゅうの男たちが集まっても誰ひとり欠けることなく席を取れるように、広場からはみ出して、通りの上まで占めているほどだった。
街じゅうが、祝祭日のように何だかソワソワと落ち着かず、浮き足立っているようだった。そのせいか