日航123便墜落 疑惑のはじまり -天空の星たちへ- 青山透子

 最近YouTubeで、昔あった日航ジャンボ機墜落事故が、実は撃墜事件でそれを政府は隠ぺいしている、みたいな動画がたくさんアップロードされているのを見つけた。いくつか見たのだけど、元ネタはだいたい青山透子さんの本ということが分かり、読んでみることにした。

 著者の青山透子さんは元日本航空のCA。事故機に乗務していた乗員と一緒に仕事をした経験を持つことから、当事者に近い人物が自力で情報を集めて自説を述べているから信ぴょう性がある、とされているわけだ。Cabin attendant(客室乗務員)は彼女が現役の昭和時代にはスチュワーデスと呼ばれていて、女の子のあこがれの職業だった。当時は、これは男性の職業、これは女性の仕事、みたいな職業男女差別があった時代で、女性がパイロットになりたいなんて夢見るのはおかしいと思われていた。女性で飛行機が好きならスチュワーデスになるしかない、そんな時代だった。
 彼女の著作を2冊読んだので感想を書いておきたい。数冊出ているようだけどタイトルが似ているし長いし分かりにくい、順番も良くわからない。出版社がなんとかしないものか。

1冊目、日航123便墜落 疑惑のはじまり 天空の星たちへ
2冊目、日航123便墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る

 1冊目は墜落の真相を解明する、というよりは著者のスチュワーデス時代の思い出話と公式の事故調査報告に疑問を抱くまでの話。スチュワーデスの乗務はグループ制になっていて、グループ単位でスケジュールが組まれる、というシステムになっているそう。従って、新人は常に同じグループの先輩と共に行動して、鍛えられて一人前になっていく。この本で知ったのは、当時のスチュワーデス達の仕事に対するプライドとプロ意識の高さ。失礼ながら自分は、スチュワーデスというのは、レストランのウエイトレスや新幹線の物売り(この方達にも失礼であったが)と同じで、ジュースやお酒を注いで食事を運ぶだけの、学生のアルバイトとたいして違わない仕事だと思っていた。彼女達は、接客で最高レベルであることを求められるけど、それと同時に機内における保安要員としての側面もあって、そこでもプロであることを求められるという、高度プロフェッショナルスキル要員なのであった。パイロットは飛行に専念するので、客室内の安全確保は、彼女、彼らの指示に従うより他はない。緊急時に的確な指示ができないと、乗客の命が危険にさらされる、常に緊張を求められる気の抜けない仕事だ。

 著者は新人として国内線でデビューし、後に国際線に異動したが、自分を育ててくれた先輩達が事故機に乗務していたという悲しい現実を抱えている。先輩の一人は墜落の最中に、着陸後に自分がとるべき行動、乗客に指示すべき事項をその場でメモに書きだし、状況に備えていたそう。なんという職業意識の高さ、普通の人にはできない。こういう社員がいたことを日航は誇りに思っていることだろう。

 そして、このような事情が、調査には納得できない、亡くなった方の無念は晴れるはずがない、という、現在の彼女の思い込みと行動の原動力になっているのだと想像される。
「天空の星たちへ」では政府の事故調査への不信感が述べられている。続編?の「目撃証言から真相に迫る」では、事故調のつじつまの合わない点を指摘して、自分の解釈で真実はこうではないか、という推測を述べている。
この辺の話は次の記事にしたいと思う。

興味のある方は本書を読まれるか、YouTubeを検索するとまとめ動画がたくさん見つかります。

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