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好感度獲得デスマッチ

夕食、7時のニュース。

地震、戦争、交通事故、殺人、、
「目を覆いたくなる」ようなニュースを見ながら、あーだこーだ言いながらおかずをつまみ、「可哀想」を酒のツマミにする家族。

なんで我々はこんなものを見ながら美味しくご飯が食べられるんだろう?
と、最近はよく考える。


大谷翔平に嫉妬している。
いや、嫉妬なんておこがましいにも程があるけども。
お茶の間という戦場で「好感度獲得デスマッチ」に悠々と(そう見えてしまう)優勝、当たり前のように殿堂入りしている。
実力はもちろん、謙虚なふるまい、お茶目な一面、日本人に好かれる要素を全て持っている。でもそれをひけらかしたりはしない。
あぁ、こんなに沢山の人から愛されて、死んだら悲しんでくれる人羨ましすぎる。
捻くれ果てた私は、こいつが家で嫁殴ってる確率はゼロじゃないんだからな????
大谷翔平がホームラン打つのも凄いけど、私のようなクソ雑魚が息して吐いて、まして仕事までしてるのも同じくらいすごいんだからな!?
などと思いながらおかずをつまむ。


人間ってけっこう器用だと思う。
すごいって思ってなくてもすごい〜って言えちゃうし
どんなに嫌いな人でも嫌いじゃないみたいに話せちゃうし
もう会う気ないのにまたご飯いこ〜とか平気で言えちゃう。

好感度獲得デスマッチはテレビの世界だけじゃなくて、我々の日常でも粛々と開催されている。
柄悪そうな強面の男は挨拶するだけで「好青年」になれるし
誰が見ても、な美人は ただ微笑んでいるだけで「女神」になれる。羨ましい。

好感度獲得デスマッチへの出場を断念した私は、今にも崩れそうな崖の縁で踏ん張り続ける。
なんで出場を断念したのかといったら、そんなもんで優勝しても本当に助けてほしい時に助けてもらえないと知ったから。「誰かが見ていてくれる」は「見ている」だけだし。
逆境に打ちのめされ続けても何故か性格がずっと良いヒロインじゃないから、都合よくイケメンが現れて手を差し伸べてくれるわけでもない。

よく、崖を用意して損得を考えていた。
その崖は、落ちたら即死するくらいの高さで、今にも崩れそうである。
好感度獲得デスマッチで優勝したら、今にも奈落の底に落ちそうな私を、間一髪のところで助けてくれるはず。と、思いながら愛想をふりまく。
逆に、私を殺してきた奴が崖から落ちそうな時、そいつが奈落の底に落ちるのを笑いながら見殺しにする、妄想をしながら歯を食いしばる。

現実はそうはいかないと知ったのだけど。
あいつらは強かで、生きるのがうまい。
私がどんなに過去の過ちを軌道修正し、もがき苦しみながら真面目に働いても蹴落とされ精神を蝕まれ涙の数だけ打たれ弱くなっている間にも、奴らは楽々と生きている。ように見える。

あなたが好きな人が、あなたの知らないところで何人の人を殺しているのか、考えてみてほしい。
考えたくない人は、大谷翔平が嫁を殴っている、みたいな報道を見ても倒れないでね。



ps.大谷さんまじでごめんなさい。



カバー画像:自作

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