見出し画像

業務用野菜の動向~国産化が期待される品目~

こんにちは。アグリペディアの村山です。

アグリペディア株式会社では、今後日本の農業を担っていく大・中規模農家にフォーカスした支援事業を行っています。
現在は「販売先のマッチング事業」を主に行っており、業務用野菜の生産者様の支援の一環として、本ブログを開設いたしました。

▼アグリペディアについてもっと詳しく知りたい方はこちら▼

今回も引き続き、カット野菜の動向について簡単ではありますが解説していきたいと思います。

▼前回の記事をご覧になっていない方はこちら▼

今回は、業務用野菜の国産化に向けた事業者の意向を説明していきます。

業務用野菜の国産割合

業務用野菜の需要は国内の野菜需要の約6割を占め、今後も増加が見込まれます。家計消費はほぼすべてが国産野菜ですが、業務用野菜は全体の約3割が輸入品となっており、シェア拡大の余地が大きくなっています。

特に原油価格の高騰によるコスト増、コロナ禍による船便の減少などにより輸入が不安定化しているほか、米需要の低下により転作が求められる状況にあり、これらの野菜を国産化する動きが広まっています。

実需者の国産野菜拡大意向

実需者に対するアンケートでは、食品製造業、食品卸売業ではおよそ5割が、食品小売業、外食産業ではおよそ3割が国産野菜の利用を増やしたいと回答しています。

加工・業務用野菜の需要者ニーズに関する意識・意向調査(R4.1 農林水産省)
より弊社作成

それでは、それぞれの事業者がどのような野菜を増やしたいと考えているのかを見ていきましょう。

国産の業務用野菜のうち、今後利用を増やしたい・取り扱いたい品目

加工・業務用野菜の需要者ニーズに関する意識・意向調査(R4.1 農林水産省)
より弊社作成(括弧内は取扱業者の割合)

食品卸売業、食品小売業、外食産業で国産のキャベツ利用を増やしたい、取り扱いたいという業者が多いことが分かります。
また、たまねぎ、にんじん、だいこんについても利用を増やしたい、取り扱いたいという業者が多いことが分かります。

続いて、利用を増やしたい、取り扱いたいという声の多かった野菜の国産の平均割合について見ていきましょう。

業務用野菜使用事業者における国産野菜の平均取扱割合

加工・業務用野菜の需要者ニーズに関する意識・意向調査(R4.1 農林水産省)カット野菜製造の実態(R3.3 野菜流通カット協議会)より弊社作成

キャベツやきゅうりは日持ちしないこともあり、業務用需要のうち約98%を国産で賄っています。
一方、日持ちのするたまねぎやにんじん、ねぎなどの土物類は業務用需要のうち約30%を輸入に依存しています。
また、冷凍野菜・調理冷凍野菜は国内消費量のうち約45%が輸入品であり、冷凍での使用が可能なブロッコリー、ほうれんそうなどの多くは輸入品であると考えられます。

業務用野菜の価格

何故業務用では国産が増えないのでしょうか?
取扱業者への調査によると、国産野菜が輸入野菜と比べて値段が高いことが原因に挙げられています。

では、国産の切り替え意向が強い野菜の国産価格と輸入価格を比較してみましょう。

貿易統計(R3.12 財務省)、業務・加工用野菜をめぐる現状
(R3.4 農林水産省)より弊社作成(単位:円/kg)

輸入野菜の価格は運賃保険料込みの価格ですが、業務用国産野菜の価格よりも安くなっています。

しかし、冒頭でも述べたように原油価格の上昇による物流価格の上昇や、コンテナ不足による運送の遅延により、輸入野菜を取り巻く環境は大きく変化しています。
運送の遅延は品質劣化にも繋がり、安全・安心を求める消費者からは国産を求める声が多く上がるでしょう。
今後さらに輸入価格が上昇し、輸入品の値段が国産品と変わらなくなることも考えられます。

価格を据え置き、収入を増やすには反収を向上させる、省力化によるコストカットを図る必要があります。

次の記事では国産化が期待されている品目について、省力化に向けた取組や業務用野菜に適した品種などを紹介していきますのでお楽しみに!

アグリペディア公式LINEのご紹介

アグリペディアではカット野菜に関する情報の他、生産に役立つ情報を発信しています。無料セミナーなども随時開催していますので、是非公式LINEのご登録をお願いします!

また、業務用野菜のパートナー生産者様を募集しています
他にも、業務用野菜を生産していてJGAPを取得したいという生産者
の皆様を支援しています

既に業務用野菜を生産していて、販路拡大を検討している生産者の方、JGAPの取得を考えている方は公式LINEにて都道府県、作付け品目をご連絡ください。

参考文献

フードシステムの革新と業務・加工用野菜 坂知樹
加工・業務用野菜をめぐる現状(H25.4) 農林水産省
加工・業務用野菜をめぐる現状(R3.4) 農林水産省
令和2年(1~12月)冷凍食品の 生産・消費について(速報)日本冷凍食品協会
加工・業務用野菜の実需者ニーズに関する意識・意向調査結果 農林水産省


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?