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走れメロス(第三回)

太宰治
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青空文庫より、
太宰治の「走れメロス」
を4回に分けて読みました。
その第三回目です。

《ふわっとあらすじ》

メロスは川に飛び込んだ。
濁流に流されつつも、
どうにか向こう岸まで泳ぎ切った。

もう日が傾きだしていた。
メロスは先を急いだ。

峠を登りきったところで
今度は山賊が躍り出た。
山賊は王の差し金で、
メロスの命を狙っていた。

ここで諦めるわけにはいかない。
正義のため、メロスは山賊を殴り倒し、
一気に峠を駆け下りた。

しかしもうメロスには
先に進む力が残っていなかった。
疲労と暑さで立ち上がることさえ
できなくなった。
日没までに間に合うまい。
メロスは泣きながら心の内で懺悔した。
体を横たえるとこれまでのことが巡った。
自分を叱責し、労い、家族を想う。
友を想い、詫び、しまいに開き直った。
そしてそのまま眠り込んでしまった。

水の流れる音でメロスは目覚めた。
起き上がってみると
近くの岩から水が湧き出ていた。
それを一口飲むと、疲れが飛んだ。
歩ける、行こう。
メロスに希望が生まれた。

日没までにはまだ時間がある。
私を待っている人がいる。
命の問題ではない。
信頼に報いなければならない。

走れ、メロス。


《語句解説》

めくらめっぽう:見当をつけないで、やみくもに事をすること。
獅子奮迅:獅子が奮い立って、猛進するような激しい勢い。
憐愍(憐憫)を垂れる:目上の人が目下の人に対してあわれむこと。

山賊:山中に根拠地をかまえ旅人や民家などをおそう盗人。
棍棒:太く長い棒で武器などとして用いる棒
猛然一撃:強烈に一撃を加える。
韋駄天:仏法の守護神。足の速い神とされ、
    足の速い人のたとえにされる。
稀代:世にもまれなこと。
不信:誠実でないこと。不実。
不信の徒:信仰心がない者。
ひとり合点:自分だけで、よくわかったつもりになること。
放免:からだの拘束を解いて自由にすること。
定法:こういう場合にはこうするものと、決まっているやり方。
やんぬる哉:今となっては、どうしようもない。
潺々(せんせん):浅い川などの水がさらさらと流れるさま。
滾々(こんこん):水がさかんに流れるさま。
        また、尽きることなくわくさま。
斜陽: 西に傾いた太陽。また、その光。夕日。

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音声配信アプリstand.fmにて、
「しんいち情報局(仮)」の
「朗読しんいち」を
担当させていただいています。

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