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滝と天狗とふらふら瓢箪

蝉が鳴き始めた
今日、鳴き始めた

雲がもくもくと
空のぱかーん!と青くなって
夏が来たことを体感する

稽古場からでた空気はぬるく
風にはまだ少しだけ涼しさが残る
最近少し稽古で見える世界が減っている
事実のほうが頭に入る
なぜだろう

今日のお稽古で使った水差しの蓋は
葉っぱだった
背が高い人の大きな手ぐらいの大きさ
昔の人はこの葉を短冊の代わりにして
炭で願い事を書いたという
葉の名前は何度も唱えたのに忘れてしまった

器は平茶碗
竹の模様が描かれていた
色はなんと言ったらいいか
薄めの緑青
とにかく涼やかな茶碗に
お湯をとっとっとっとそそぐ
ししおどしの音を頭に浮かばせながら
竹でできた茶筅で茶を点てる
最後に"の"の字をかくのがコツ
茶面の中央がふっくらと丸く高くなり
美味しそうに見える

お軸には"滝"の一文字
下の部分がずーーーっと下に伸び、かすれ
岩や水面に落ちて水飛沫を上げる本物の水がそこにある
その横にはにゅっとどこかふらふらとした瓢箪
ひょうたんという名前からして
なんだかひょうきん
滝を横に、瓢箪を右肩にかけて歩く天狗を想像する

暑い夏がくるなぁ

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