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人の顔で笑いをとるな

「ブス」の定義を教えてほしい。具体的にどんな顔がブスなのか、ご教示いただきたい。
どこをどう改善したらブスだと言われなくなるのか、私たち女性が頷いて納得できるようにわかりやすくお教えいただきたい。どのパーツがどれほど気に食わなくて、あとどれくらい位置がずれて、どの部位の大きさがどれほど変化すれば大衆の納得のいく顔になれるのか、説明してほしいんです。主観じゃなくて、客観的に。
誰か一人の意見でブス認定なんてゴメンなのです。私たちは社会の目を気にしているのです。

…そう思っているはずなのに。
女である私たちは、特定の誰かに言われる「ブス」をとても気にしてしまう。特に好きな男性に、憧れのあの人に、ふざけてでも言われたブスは、一生心に残るのだ。

最近の若者は、挨拶みたいにブスを使い過ぎではなかろうか。特に男性諸君。どこでブスの汎用性を覚えてしまったのか、おい。
例えよ、例えその君が言う「お前ブス!」が本音じゃなかったとしてもよ、それを言われたら女性って男性が思う10倍の威力でなかなか心が打ち砕かれる生き物だと思うんですよ。

大分悟っちゃったのかもしれないけど、わたしはこの世に「ブス」な女性は存在しないと思っている。そう思いたいだけかもしれないけど、もう随分これは確信してきたので書かせていただく。
「可愛い」も「ブス」も、結局見た側の好みじゃなかろうか。ある人がその顔を見て可愛いと思う一方、別の人がその顔を見てブスだと思ったり、なんかもう何も統一感ないと思うのです。

ブスと言われた方は、「わたしってブスなんだ。ブスだと思われてしまうくらい醜いんだ。」とこの世の終わりなのではないかというくらい一度は悩む。毎回じゃなくとも、言われたらな、私たち女はしんどいくらい傷つくのです。可愛く生まれたかったな、なんて叶わないことを思いながら、枕を濡らすのです。

中学生の時に、女子の陰湿な嫌がらせを受けたことがある。ねちっこくてしつこくて、体育でバレーボールで失敗しただけで「ブスの真似しようよ」ってなった。女同士のあの感じは、未だにちょっと怖くて寒気がする。

しかしなによりも、当時好きだった男の子に衝撃的なひとことをいただいた。
「あんなブス、好きになるわけねーだろ」
会心の一撃。その日から、男の人は見た目だけで女性を判断するのだと言う偏見がついた。大人になって幾分マシにはなったが、まだどこかに残っている。
あんなブス、好きになるわけねーだろ。
わたしは、好かれないのだろうか。この顔のせいで。この顔がいけないせいで。中身には何の意味もナッシング。顔が悪いだけで、好きになってもらえない。
思春期の大事な時期にこの経験をしてしまったがために、なんだか男性に対してこじらせた気持ちがある。中学生の悪ふざけだと言うことも分かっている。
だけど、大分やっちまった、好きになる人を間違ってしまった。それはわかっているんですけど。

ブスだと言われてうれしいひとはいないのに、なぜこの言葉がなくならないのか。それは、ブスがこの世に存在するから、とわたしは前まで思っていた。
だけど違う。違うと気づいた。
ブスだと言われたくないと主張する女性が少ないからだ。
言われて嘆く女性が多い。言うなと言う女性があまりいない。自分の顔を馬鹿にされた事後に泣く人が多すぎる。そして、泣く女性がいるということを知らない男性が多すぎる。
このデフレを切りたい、わたしは。
ブスという言葉をこの世から消したい。例え相手の顔が自分の好みじゃなかったとしても、言わなくていいことだ。言わなくて、いいんだ。

飲み会や大衆の場で女性の顔をからかうあの不快な時間。誰かに対してブスだと言う奴も言う奴だが、同調して笑う奴も同罪だ。
人の顔を、笑うな。
人の顔で笑いをとるな。
言わせてもらうが、人の顔で笑ってる君たちの方がよっぽど性格が醜い。あとその笑い顔、鏡で見た方がいい。悪口言ってる時の人の顔って、驚くほど冴えない。

人の顔で笑いをとるな。人の顔を馬鹿にするな。
わたしはいつまでも言い続ける。ブスだと泣く女性が、自信を失い続ける女性が少しでもいなくなればいいと思って、書いた。
わたし自身がコンプレックスがありまくりだったから書けたこと。美人が主張しても、響かない記事だと思うから。
好きな人に可愛いって思ってもらいたい。それだけなのに、なかなか叶わない。
だったらせめて、じぶん自身が自分の顔を可愛いって思ってあげたい。そうありたいだけだ。

これから先も、もしかしたらブスだと笑われる日が来るかもしれない。笑ってうまく流して見せるが、わたしはもう断固として自分の顔を、諦めない。
人の顔で笑いをとるな。馬鹿にするな。
褒めろとは言わないから、そっとしておいてください。
わたしはこれからも、主張を続ける。

#エッセイ #コラム #女性向け #ブス



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