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SF小説やそこに登場するガジェット・思想について投稿していきます。ド文系なので、主に社…

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SF小説やそこに登場するガジェット・思想について投稿していきます。ド文系なので、主に社会科学の視点から色々考察しています。SF好きの1995年生まれの社会人です。

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    SF作品などに登場した用語やガジェットをまとめています。

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    これまでに紹介した小説をまとめています。

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【はじめに】エはSFのエ〜SFの百科全書が欲しい#1

はじめまして、AI42と申します! 1995年生まれのサラリーマンです。 SF小説が好きで、この面白さをみなさんに共有できればと思い、noteを始めました。 コンセプトそもそもSFというのが、あまりメジャーなジャンルではないのかなと思います。。 最近は、SFプロトタイピングのようにビジネスでSFが注目されるなど、昔よりは認知度が広がっているように思いますが、まだまだです。 本noteでは、SF小説の紹介と、そのSF小説の社会科学的な考察を柱に記事を作成していこうと思いま

    • 【SF雑記】崩壊スターレイルのパロディ#18

      最近、崩壊スターレイルというゲームにハマっています。 このゲームはターン性コマンドバトルのRPGで、ストーリーを簡単に説明すると、災厄の元となる星核によって引き起こされる事件を解決するために宇宙を旅する星穹列車の乗組員となり、星々をめぐるといったものです。 舞台が宇宙であり、物語の設定もSFチックなものが多いです。例えば、反物質や虚数エネルギー、光円錐といった名前だけでテンション上がるようなものも沢山あります。 また、制作会社のmiHoyoは上海の会社ですが、創業者は日

      • 【雑記】科学と民主主義が交差するとき

        『テクノクラシー』という言葉をご存知でしょうか? デジタル大辞泉によると以下のように解説されています。 テクノクラートというのは政策決定に関与する技術官僚や専門家のことを指します。 昨今の政治家の裏金問題などの政治不信を考えると、政治家が国会で政策を決めるよりも専門家がエビデンスに基づいて政策決定した方が社会は良くなるのかもしれません。それかMAGIシステムのようなAIによる合理的な決定とか。 イプソス グローバル信頼性指数というものでは、各職業の各国の信頼度を調査を行な

        • SF百科全書をつくる#16

          noteを始めて3ヶ月ほどが経ちました。 これまでSF小説の紹介をメインにやってきましたが、そもそもnoteはSF百科全書をつくるために始めました。 ただ、小説読み返しながら感想も書いて、関連図書も読んで、辞書の中身も集めていくのはなかなか進まないです。 そのため、今後は小説はさらっと触れる程度で雑記中心でnoteは更新しようかと思っています。その裏でしれっと百科全書の作成を進めて行きますので、ある程度まとまったら、noteの方にも書いていこうと思っています。 これまで

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        【はじめに】エはSFのエ〜SFの百科全書が欲しい#1

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        記事

          【雑記】SFは監視社会の夢をみるか?#15

          今回は監視社会について、前回にように普段思っていることを哲学の領域の話も含めてざっと書いていこうと思います。 (監視社会もSF百科全書の中に立項したいと思っています。) ※なお、ちょっと現実の話も交えてしてしまうので、陰謀論めいた話のようにとられるかもしれませんが、そのような意識はなく、あくまでこういうふうに考えると面白いよねという考えで言っているに過ぎないので悪しからず。。  ただ、陰謀論や都市伝説は好きです。信じているかどうかは別としてです。 規律社会・管理社会哲学で

          【雑記】SFは監視社会の夢をみるか?#15

          【雑記】ディストピアの条件#14

          SF小説の中でも、ディストピアものは人気のジャンルです。 コテコテな作品を言えば、『1984年』『すばらしい新世界』『われら』などが挙げられます。 自分もディストピア小説が好きで、伊藤計劃さんの『ハーモニー』を大学時代に読み、そこからSFを読み始めました。 なので、ディストピア小説に対する思い入れはそこそこあるのですが、『侍女の物語』や『誓願』の翻訳者である鴻巣友季子さんの『文学は予言する』という本の中でディストピアのルーツや歴史が振り返られていました。 ディストピア好き

          【雑記】ディストピアの条件#14

          【2023.11月まとめ】SF百科全書への道②#13

          11月に紹介した2冊のSF小説に登場したガジェットや思想などを、この記事で紹介します。 我心匪石 不可轉也  我心匪席 不可卷也 『顔の美醜について』カリーアグノシア(美醜失認処置) 顔の美醜に関する判断だけを失認させる処置。ニューロスタットというプログラム可能な薬剤を注入し、特定の部位のニューロスタットを活性化、非活性化させるプログラムができるヘルメットで、顔の美醜を判断する神経回路を閉鎖させることで、美醜失認を起こさせる。 (参考記事) 『ユートロニカのこちら側

          【2023.11月まとめ】SF百科全書への道②#13

          【小説】プライバシー売ります〜『ユートロニカのこちら側』#12

          「足し算のできるゴリラは朝食のあとにブラックコーヒーを飲むか?」 あなたはこの質問に対してどう反応しますか? これは、「ユートロニカのこちら側」という小説に登場する、実験都市アガスティアリゾートへ移住するための応募HPで問われる質問です。 なんの意味があるかかわからない質問ですが、小説を読み進めていくと、この質問が確かにアガスティアリゾートで住むための適性を図ることができる質問になっていると気づくことができます。 ちなみにChat GPTにこの質問をすると、ノータイム

          【小説】プライバシー売ります〜『ユートロニカのこちら側』#12

          【小説】多様性への寛容は虚栄か?〜『正欲』#11

          ※ネタバレを含む記事です。 『正欲』は朝井リョウさんによる新潮社から2021年に出版された小説です。 2023年11月10日に映画も公開されます。 発売当時にも読んでいたのですが、先日、映画を観に行くにあたって、小説の方を再読しました。 テーマは”多様性”?こちら出版社の方も販促に気合が入っており、特設サイトも開設されています。 特設サイトには、以下の小説のセリフが引用されています。 この小説はメッセージ性がものすごく強いです。 特設サイトのセリフからもわかるよう

          【小説】多様性への寛容は虚栄か?〜『正欲』#11

          【小説】公平という名の未来〜『顔の美醜について』#10

          『顔の美醜について』(原題:Liking What You See : A Documentary)は、短編集『あなたの人生の物語』に収録されているテッド・チャンの短編小説です。表題作の『あなたの人生の物語』は、映画にもなったテッド・チャンの代表作です。 テッド・チャンについてテッド・チャンの短編作家としての力量については、スタージョン(小説よりもスタージョンの法則でよく知られるSF作家)や、ル・グィン(『ゲド戦記』や『闇の左手』で有名なSF・ファンタジー作家)と並び称され

          【小説】公平という名の未来〜『顔の美醜について』#10

          【2023年10月まとめ】SF百科全書への道①#9

          早いもので、10月ももう終わり。2023年もあと2ヶ月少し。 だがしかし、振り返ってみると1月から全く成長していない。 仕事面でも生活面でも何も進歩がなさすぎてタイヘンである。 ただ、唯一、今のところ、今年の自分を評価できるのは、SF百科全書を作ろうと思い立ち、ひとまず、毎週投稿しようという個人的な目標を1ヶ月達成できたことだと思う。 そもそも、このNoteを始めた理由は、SFの百科全書を作りたかったからだ。 本の感想ばかり書いていて、肝心の目的が進んでいなかった。 と

          【2023年10月まとめ】SF百科全書への道①#9

          【小説】イモータリティ イズ ジャスティス〜『ボーダーガード』#8

          『ボーダーガード』(原題:Border Guards)はオーストラリア出身のSF作家グレッグ・イーガンが、1999年に発表した短編小説です。2000年の英語圏のSF・ファンタジーの文学賞であるローカス賞中編部門を受賞しています。本作品は、短編集『しあわせの理由』(早川書房、2003年)に収録されています。 イーガンは現代ハードSFの代表的作家です。ハードSFとは、厳密な科学理論に基づいて描かれたSF小説のことを言います。そのため、ハードSFというジャンルは、人によっては、特

          【小説】イモータリティ イズ ジャスティス〜『ボーダーガード』#8

          【小説】人間の終焉〜『すばらしい新世界』#7

          「すばらしい新世界」(オルダス・ハクスリー/黒原敏行、光文社、2013)は、イギリスの作家オルダス・ハクスリー(1894~1963)が1932年に発表したディストピア小説です。原題「Brave New World」です。 出版から90年以上経った今でも、色褪せないディストピア小説の古典的名作となっています。 世界観この世界はT型フォードが発売された西暦1908年を元年とするフォード紀元(AF)が使われ、フォードが神として崇められています。 AF141年(西暦2049年)の

          【小説】人間の終焉〜『すばらしい新世界』#7

          【小説】隠れたアシモフのベスト短編〜『夜来たる』#6

          『夜来たる』(原題:Nightfall)はアイザック・アシモフが、1941年の21歳の時に発表した短編小説です。 アシモフといえば、ロボット三原則やファウンデーションが有名ですが、アシモフのベスト短編としてよく挙げられるのが、この『夜来たる』です。 (※短編小説の『夜来たる』は、ハヤカワ文庫から出ている同名の短編集『夜来たる』に収録されています。長編小説の方ではありません。。なお、早川書房から出版されている短編集『夜来たる』は、『Nightfall and Other St

          【小説】隠れたアシモフのベスト短編〜『夜来たる』#6

          【小説】これが元祖ユートピア!〜『ユートピア』#5

          「ユートピア」(トマス・モア/平井正穂 訳,岩波文庫,1957年)は、イギリスの法律家、人文学者のトマス・モア(1478~1535)が1516年に、理想の国ユートピアについて描いた小説です。 この小説のタイトルのユートピア(Utopia)は、「どこにもない国」(ギリシア語の「οὐ(not)」と「τόπος(place)」という意味のトマス・モアの造語です。 ユートピアという言葉は、今では一般的にも使われていますし、対義語のディストピアという言葉も生まれ、SFの一ジャンルとな

          【小説】これが元祖ユートピア!〜『ユートピア』#5

          【小説】宇宙スケールの勇気と友情の物語〜『たったひとつの冴えたやりかた』#4

          本書は「The Starry Rift」という原題で1968年に発表されたものを元にして、収録されている作品のうちのひとつからタイトルをとり、邦題を「たったひとつの冴えたやりかた」として、1978年に早川書房から出版されたジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの作品です。 体裁上は、宇宙連邦のデネブ図書館に連邦草創期の人間のファクト・フィクションを探しにきたコメノという種族の宇宙人の学生が、この3編の本を借りるという土台とした長編ですが、中身は、表題作の『たったひとつの冴えたや

          【小説】宇宙スケールの勇気と友情の物語〜『たったひとつの冴えたやりかた』#4