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「今日は遅くなっちゃったから、ヨガするのは明日にしようかぁ?」

3月から始まったステイホーム生活…気づけば半年が過ぎようとしている。4歳の娘は、本当なら幼稚園のプレを楽しんでいるはずだったけど、

「7月には始めます。」
「9月に延期します。」

結局のところ9月スタートも中止、無期限延期となった。その連絡で先生が言った、「10月1日から年中さんの申込が始まります。」が頭から離れない。

今年度はもう通えないのかもしれない。娘に対して “幼稚園行く行く詐欺” を繰り返してしまった私は、罪悪感に苛まれた。

そして何よりも「その年齢で身につけたほうがいいことを、学ぶ機会を失っているのではないか?」という不安と心配でいっぱいだった。

そんなモヤモヤを抱えていた今日この頃、娘のある一言に救われたので、記録しておく。

ある日の夕方、娘と手をつないで歩いていると「ねぇママー、最近ヨガしてないから、今日寝る前にやろうよぉ」と言い出した。私はセルフケアとしてのヨガを続けていて、隣にいる娘はいつも器用に真似ていたのだ。

ただ最近は、夕食から寝かせるまでの時間が慌ただしく、ヨガは娘が寝たあとに、、という流れになっていた。

「そっか!じゃあ今日はヨガできるように、早く帰ろうね。」

そう伝えた瞬間から、夕方以降のスケジュールを考え始めていた。晩ごはんを作って食べさせて、お風呂に入れて、それから、それから…この時間帯はいつだってバタバタだ。

その会話の30分後くらいだろうか。ドドドドドー!と打ちつけるような音…ゲリラ豪雨だ。傘をさしながら幼い娘の手を引いて歩くには危険だった。

「雨がおさまるまで、いろんなお店に行こうか!」
早く帰ろうねと言ったばかりなのに…ちなみに私は、急な予定変更が大の苦手だ。

深いため息が出そうになったけど、そんな暇があるなら次の手を考えたかった。晩ごはん、お風呂、少し休憩して、寝る前にヨガ、、、どうする?

雨雲レーダーとにらめっこしても、雨が止む気配はない。私たちの他にも雨宿りしている人がたくさんいて、「みんな同じだね!」だなんて娘に話しかけていた。

「なかなか止まないねぇ。」
降り始めて1時間が過ぎると、もう同じセリフしか出てこなかった。ついに頭がクラクラし始めたそのとき、娘の柔らかい声が耳に入ってきたのだ。

「今日は遅くなっちゃったから、ヨガするのは明日にしようかぁ?」

あまりに突然の出来事に、目と口を開いたままで動けなくなってしまった。なんとか絞り出した「そうだね、ありがとう」は、娘に聞こえていただろうか。

娘は、自分が思い描いたシナリオ通りに進まないと泣いて怒るタイプだった。台本と少しでも違うと、「もう一回!」とやり直しをせがむのだ。でもそんなときに限って、こちらはどこで間違えたのか分からない。

だから私は間違えないように、いつも先回りして考えていた。一度泣き出したらなかなか止まらないし、その時間がとにかくつらかったのだ。

それがどうだ?

ヨガをするために早く帰ろうとしていたのに、雨によって阻まれた。

今までなら、夜更かしをして実行するか、それが叶わなくて泣いて寝るか、、、の二択だったのに、娘は急な予定変更をスルッと受け入れたのだ。

そんな柔軟性、いつの間に身についたのだろう。

娘が寝たあと、今まで何度もあった説得場面を思い出していた。どんな言い方をすれば前向きに受け止めてもらえるのか、、私はいつもいつも考えていた。

でも今日は、娘が私をなだめてくれたみたいだった。嬉しいような寂しいような。正直なところ、ホッとした気持ちがいちばん大きいのだけど。

コロナで幼稚園に行けない。熱中症が怖くて公園にも行けない。時が止まっているみたいだった。それでも娘はちゃんと大きくなっていた。体だけじゃなくて、心も。

「今日は遅くなっちゃったから、ヨガするのは明日にしようかぁ?」

言葉だけを見れば何気ないセリフだけど、ずっと覚えておきたいし忘れられない出来事だった。

まだしばらく続きそうなステイホーム。娘の些細な変化を見逃さずに過ごしたい。

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