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Billboard 15th Anniversary Premium Live

*公演セットリストは文章下部まで。拙い文章ですがどうか温かい目でご覧ください*

会場が暗くなり、拍手がおこった。
間も無くバンドメンバーがひとりずつ出てこられて、ステージにあるケーキへ火を灯していった。全ての蝋燭に火が灯ると、袖から彼女が出てきた。
普段あまり見ないようなシックなドレスを身に纏い、長い髪はゆるく巻かれていた。彼女は今日で25歳になるのだ、とやっと実感できたような気がした。

そうして上白石萌音とバンドメンバー、それから会場の300人の濃密な時間は始まった。

彼女の美しい英語の発音が会場に響き渡る。Tea for twoから始まった今宵は確実に忘れられない日になるだろう、と確信しながらI'm discounted with homes that are rented・・と素敵な夜はスタートした。伸びのある1本の透明な糸のような歌声と流れるような発音に早速聴き惚れてしまった。

ジェリーフィッシュ。武道館ではルイス・バジェによるトランペット演奏と共に披露された曲だ。今回はジャズ調がより強く反映された演奏だった。サビの力強い歌詞と歌声が詞の深みをより理解させてくれた。いつかは愛を超えて齢をとるのも楽しんでみたい。

懐かしい歌、今年でリリースから3年を迎えるそうで。
スターチス。温かい歌詞と心地よいメロディに初めて聴いた時からずっと恋をしている。いつか生で聴けないものかと思っていたのだが、yattokosaツアーでも聞くことはできず武道館でも聴けなかったため、i noteで聴き納めかな…と思っていた矢先のお披露目だったのでびっくり。きっと彼女がファンの前で生で歌うのは初だ。初めての瞬間に立ち会えて光栄です。

土砂降りとあるけれど、雰囲気は小雨な感じの曲。雨ってどちらかといえばネガティブなイメージであるゆえに静かで寂しげな曲になってしまうものが多いけれど、この曲は朗らかな雰囲気と優しいことばで"明日"への希望を見出すような歌で聴いていてとても心地よい。歌詞とメロディだけでも心が軽やかになるのに、そっと包んでくれるような萌音ちゃんの歌声が加わるともうそれは完璧としか言いようがない。失敗してあまり振り返りたくない過去になったとしてもいつまでもくよくよしていないで失敗を未来の成功に生かしていけるように失敗も恐れず過ごしていきたい。

薄暗い空から滴る雨のような魔法にかけられたみたいだった。みずいろの雨。聴いている時、何を感じたのかあまり覚えていない。武道館ぶりだ、と思ったことくらいだ。。。


Woman "Wの悲劇"より。彼女の表情はがらりと変わった。それと共にまわりの空気もだんだんと遷移していった。初めて生で聴いた。心の震えが止まらなかった。世界に引き込まれて行く中何度も自分を取り戻そうと試みたが無理だった。取り戻せないし取り戻したくなかった。

身体が声を吸収していった。夢かと何度も腕を手を抓ってみたが痛かった。これは夢ではないのだ。
この曲を聴くたび、生で聴くことができた日のことを思いながらどんな感じで歌われるのか想像してきたが実現していた。
全体を通して雰囲気が切ないが、ところどころに強がるような部分もある。そんなこの曲は歌の上手さだけでは表現しきれない心情の描写や歌詞に沿った表情の変化まで含めてひとつの歌だと考えているため、ミュージカルでも活躍する彼女が歌うon my ownはまさに格別だと言えるのだ。だからこそ生で聴きたいと強く願っていたのだ。
歌っている彼女の目の先にはon my ownの世界が広がっているようだった。特に、"In the rain ・・・forever and forever"の部分ではそれが顕著に表れていた。雨音が聞こえそうなほど切ない瞳にやはり心は震えるばかりだった。
"I love him
I love him
I love him
But only on my own"
私は彼が好き、と3度唱える最後の部分。ただ三度とも"彼が好き"と歌うのではなく、一度目のI love himでは彼を好きな気持ちを言葉にして、二度目のI love himでは彼を想う気持ちを言葉にして、三度目のI love himでは現状を理解する。そんなような吟い方で強く刺さった。
ただただ私の心は揺さぶられるばかりで涙は止まらなかった。

Billboardのセトリを考えている最中、ちょうど君の名はが地上波で放送されていたそうでセトリには君の名はのあの曲が。
原曲よりキーを上げて歌われた。
"まだこの世界は僕を飼いならしてたいみたいだ
望み通りいいだろう 美しくもがくよ"
無数の星が黄昏時の空に輝く景色がふと彼女の背景に浮かんだ。彼女はまるで君の名はの世界に飛び込んでいたようだった。美しい以外言葉のかけようがなかった。

またがらりと雰囲気も変わり、人生三度目の生鑑賞である愛すべきブルーを聴いた。
昨年7月にnameがリリースされ収録された9曲を通して聴き、特に気に入ったこの曲。yattokosaで聴けてうるっとしたのに武道館でも聴けてしまい、さらにはBillboardでも聴けてしまうとは思ってもいなかったもので、ブルーが非常によく似合う彼女が何度も歌ってくれて本当に嬉しかった。1番の"自由 それは誰かを信じる時に少し拡げる翼"の自由の部分を"希望"と間違えていたのもまたライブらしくよかった。アーティストとしては悔しい部分なのだろうが、私はライブでは歌詞間違いを期待するほどして欲しいくらいなので満足だった。

お洒落な曲が来た。フィンガースナップをしたかったがあまりいい音が鳴らないので手拍子で参加させてもらった。身体を揺らさずには聴いていられない曲だったのでもちろん揺らした。揺れたと言うのが正解だろう。
Billboardの翌日に妹の萌歌ちゃんがインスタのストーリーにて『これだいすき』と言っていたので勝手に"おそろだね〜〜"と親近感を抱いていた。怪しいものではございません。Billboard限定らしきアレンジが加えられていて、何度か生で聴いたことあったがとても新鮮だった。

誕生日。この世に生を受け、名前をもらった日。そんな大切な日に聴くことができた私は一生幸せ者でいられる自信がある。
『音が萌え出る』
萌音、というお名前がこうしてたくさんの人に呼ばれて本人はすごく幸せだろうし、ご両親もとても幸せだと思う。彼女は本当に素敵な親孝行をしているのだなあと聴きながら感じていた。歌う人になってくれてありがとう。

アンコールを挟み、ラスト1曲。アンコールがなかったらどうしよう!と思っていたそうだが、せずにはいられないのが実情だ。アンコールはできませんと言われてもとりあえず手だけは叩いておきたいほどの時間だったからだ。

2016年10月5日にリリースされたchouchou。現役の女子高校生が歌っているとは到底信じ難いクオリティに初めて聞いた時開いた口が塞がらなかったのはまだ鮮明に憶えている。
あたたかなイントロで始まるsmile。世界屈指のソロヴォーカリストであるナットキングコールにより歌われた曲だ。彼の歌う曲はどれも深みがあり心が落ち着いて幼少期からずっと聴いていたので、smileを上白石萌音が歌っていると知り、それを生で聴けるとは流石の私でも想像できなかったことだったので嬉しくてずっとずっと1番を歌って欲しかった。この時間が終わってほしくなかった。
笑顔って本当に魔法みたいで、辛くても頑張って笑ってみると辛いことでも案外乗り越えられたりしてしまう。[泣くか・笑うか]と選択肢が二つあったら泣きたくても笑うべきだ、そんなマインドで過ごしてきた私の考えに合致する詩に頷きながら、そして微笑みながら聴いていた。そして彼女も微笑んでいた。

次にいつ生で彼女の歌声を鑑賞できるかは分からないが、その日までずっと笑って過ごしていようと思う。悲しいこともなるべくハッピーな思い出に書き変えて残してゆきたい。

素敵なお誕生日を彩る一員となれて本当に光栄です。素晴らしい夜を、時間をありがとうございました。25歳、心も身体も朗らかに☺︎


---2023.1.27Fri---
「Billboard 15th Anniversary Premium Live」
セットリスト
1.Tea for two
2.ジェリーフィッシュ
3.スターチス
4.土砂降り
5.みずいろの雨
6.Woman "Wの悲劇"より
7.On My Own from musical "Les Misérables"
8.スパークル
9.ブラックペッパーのたっぷりきいた私の作ったオニオンスライス
10.君の名前
11.SMILE

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