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長男の話13【初めて息子と別れる日】


むいちゃんが引越し、プレ幼稚園しか人と交流が持てる機会がなくなってしまった私たち。


あっという間にお腹も大きくなり、
夏の暑さが厳しくなってきた。

それでもプレ幼稚園のない日はいつも
近所の公園に連れていく。
どんなに真夏でも家にこもりきりで不安な気持ちになるよりずっと良い。

汗だくになりながらめーくんを追いかけ回して、

ぜーぜーはーはー言いながら大きいお腹で走り回った。


8月の公園、
滑り台も乗れなかっためーくん。
この日は珍しく、滑り台をひとりで何度も滑った。

めーくん「ママ(も)しゅーする?」


私「ううん、ママはいいよ!
めーくん滑って」



めーくん「ママ、しゅーする?」


困った顔でねだるように
滑り台のてっぺんから動かない。

一緒に滑りたいのだ。


出産予定日まで1ヶ月。
無理は良くないと周りから何度も言われていた。


それでもやっぱりいてもたってもいられない。




過去の記事にも書いたように
めーくんは産まれた時からずっと
ママがいなくても平気だった。

抱かれるのも嫌で
添い寝されるのも嫌。
ママという存在が必要のない子で、
笑いたきゃ笑うし、
泣きたければ泣く。


母親という存在の私がめーくんの気持ちをコントロールできることなんて、
なにひとつなかった。


それが今、
私が一緒に滑ることで嬉しそうに笑ってくれる。

3歳目前にして
私が出かけると泣くようにもなり、
ようやく母親になれた気がした。



めーくん、本当は私
なんでもいいんだよ。

めーくんが楽しそうにしていれば
私を母親だと認めて貰えるなら
こんなにうれしいことはない。


私はめーくんに誘われるまま、
何度も滑り台を滑り、
滑ったら追いかけ回して
息切れしながらなんとか家に連れ帰った。


家に帰り、トイレで驚く。

「出血してる…」


自業自得の結果だった。


すぐにパパに連絡をして、
病院に行った。



「切迫早産の危険があります。
もう今すぐに入院してください。
荷物を取りに帰るのも危険です」


私はめーくんとお別れの言葉を言うこともできないまま、
出産予定日まで1ヶ月近くの入院が決まった。



毎日一緒にいたのに、
急に私がいなくなる。


めーくんは大丈夫だろうか?
やっと母親と認めてくれたのに


いや、めーくんの気持ちと言うよりも
私のエゴな考えだ。

1ヶ月も間を開けたら
また私を忘れてしまう




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