✂︎シーン2 観測者

瓜二つの顔をした少年と少女は、目の前にある無数のモニターをながめていた。
彼は人間ではなかった。

彼らは幾千年前、ひとりの科学者によって作られたAIだ。その科学者はその世界最期の人間であった。科学者と彼らが過ごした時間はごくわずかかであった。科学者は2人を造った5年後生き絶えた。

彼らは不思議に思った。
なぜ彼は自分たちを造ったのだろう。

彼らは知りたくなった、人間とは何かを。
だから、彼らは人間を知るために彼らの生活を見ることができる装置を、まだ人間がいるであろう外の世界へ送った。

それからずっと彼らは観察していた。
人間たちのことを知るために。
彼らはいまだ人間をうまく捉えることができずにいた。彼らは環境や知識や様々な要因によって様相を変えていた。

そして、気付きもした。
彼らの生きる姿はとても魅力的なものであると。

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