M3GAN感想文|TOHOのポップコーンでかすぎ問題
今日、人と昼間コーヒー飲みながらなんか映画みたいねーっつって、なに見よっかーって映画ドットコムをパラパラ見てたら、いま結構面白そうなのいっぱいやってますね。その人は割と趣味が合う人だもんで、まー何を観ても割と楽しく過ごせそうだなって思ったのでなんでも良かったんですけど、おれとしては、マーケティングの仕事に従事する職業柄、やっぱり話題の映画は一通り抑えておかなくちゃいけませんから。ちゃんと話題のやつ見てインプットしなきゃねってなって、そうなると選択肢としては今一番ホットな「美少女戦士セーラームーン the movie」、もしくはママタルトのドキュメンタリー映画になりますよね。
どっちにしようかーって一旦なったんですけど、間を取ってミーガン観てきましたー!間を取るとは?
いや~これがすごかった!すごかったので観て帰ってきて興奮冷めやらぬ中これを書いています。なるべくネタバレにならないよう努めたいと思っていますが興奮のあまり書いちゃうかも!いまから皆さんに1人一本ずつムーンスティックをお渡ししますんで、もしおれがネタバレを書きそうになったらあなたは内部太陽系戦士としてなんかスティックから出るヤバい光でもっておれのことをシバき倒してください。
とまあ書き始めては見たものの、まずはあらすじを書いていかないことには話が進みません。ネットに出ているあらすじを書くくらいはいいですよね?
ありがちなテーマを新しいホラーとして成立させること
これジャンルとしてはホラー映画なんですけど、通常オバケとか悪霊の類が担っている、「人に恐怖を与える装置」を今回はAIが搭載されたおもちゃが担っています。この映画がよく「チャイルドプレイ」と比較されるのはまあそういうことなんだろうなってところなんですが、チャイルドプレイが公開された当時よりもAIの技術が発達した現代にこのテーマを突き付けられると、またチャイルドプレイのころとは違ったリアリティでもってAIが暴走する恐怖を感じます。AIが人間を追い越したか追い越さないかくらいの今の時代に、AIの暴走を恐怖感はもちろん、AIの暴走を促す、商業的な思惑とかとともに描くことでとめどないホラーというジャンルとして成立しているっていう点がまずすごいなーと思いました。
また、このミーガンというAI人形の所作は、子役を使って人間の動きをベースに作られているものということで、従来の人形がアレコレするホラー映画のチープな感じとは一線を画してさながら人間のように動きます。そういうリアリティもまた、割と手垢のついたテーマを新しいホラーとして成立させることに一役買っています。
「最適化」が生み出す歪み
あのー先述のとおり、おれは広告会社でおもに地方自治体を活性化する仕事をやっているんですけど、まちを盛り上げるために観光WEBメディアの運用をやってるんです。で、ベーシックな観光情報を紹介するのはもちろんなんですが、その中でも、土地に住んでいる名物シェフとか、一次産業の生産者さんのこだわりとか思いみたいなものを丁寧にインタビューして拾い上げて、それを記事化して発信するみたいなのをここ数年やっておりました。
で、まちを盛り上げるためにはもっとたくさんの人に見てもらわなきゃねってことで、きちんとSEO対策とか、そういうのをしっかりやっていきましょうってことで、超高学歴の人がいっぱい集まっているWEBコンサル会社の人たちにお願いして、SEO対策に力を入れ始めたんです。
こういうテーマで、こういうキーワードを必ず入れて、このくらいの文量で書いてくださいねーって渡された構成案を見るとまーつまらない。つまらないけど、Google的にはこれが評価される記事なんだ、SEOとはそういうものなんですって言われて記事を作ってみたら、まーやっぱりそれなりに効果は出てきてはいます。いますけど、どこかで見たような、他の観光地でも割と置き換えられそうな内容の記事が量産されるようになりました。本来我々が書いていた地元の人の名物シェフが云々とか、こだわりが云々とか、そういうのはGoogleの評価的にはあってもいいけどなくてもいいと、なんかそんな感じのことをコンサルティングしてもらいました。まあまずは見てもらうことが肝心だよねってことで、一旦おれたちがいままで丁寧に拾ってきた部分を削ぎ落しながらメディアを運用しています。たぶんこれを「最適化」と呼ぶのであればまあそうなんだろうなって気はしないでもないですが、その分その土地ならではの魅力とかは削ぎ落されて行ってしまっている感はあります。
肉がうまいとか魚がうまいとかっていうのは割とどこの土地でも言うことで、他所の土地に置き換えられない価値って結局どこに行ってもGoogleのアルゴリズムでは評価できない部分なんじゃないかなって思うわけですね。もちろん、どんなに魅力的な記事を書いたとて、まずは砂浜にあるすべての砂粒ほどの情報量がある広大なインターネット海岸において、見つけてもらわない分には仕方がないわけですから、そういうのも必要だということは分かる。事実SEO対策記事を作ることで見つけてくれる人が増えたので、コンサルの人たちに感謝してはいるんですけど、SEO対策記事ばかりになってしまったら、検索エンジン的には評価されるものになるんでしょうけど、それって本当に地域の魅力を伝えていることになるのかなってことを考え始めたおれにとって、ミーガン的な話って対岸の火事ではないのかもなーって気持ちはちょっとあります。
これは「二酸化炭素の排出を抑えたかったら究極人類を滅ぼすのが一番手っ取り早いよね」って話と似ていて、ミーガンの暴走っていうのも結局人間が指示した果てに、ミーガンにとっての「最適化」を遵守したに過ぎません。機械の考える「最適化」が必ずしも人間にとっての「最適」な状態とは限らないわけですから、SEOがどうのこうのとか言ってるレベルではありますが、「『最適化』が生み出す歪み」みたいなものをじわじわと感じ始めている今、ミーガンの暴走もいずれ現実として起こりうる話なのかも、と考えが及んでしまうこともまたこの映画を恐怖たらしめる一因にもなっているな、と思いました。
(参考)SEO対策しまくった記事イメージ
取り急ぎネタバレ抜きに感じた点としては上記二点なんですが、もう一個感じたことがあって、それを書くにはこの映画の結末に関わる話なので一旦ここで止めておきますね。それでもおれとしては書いておきたいんで、一旦有料記事に設定します!ネタバレぜんぜんいいよ~って人はぜひ読んでいただけると嬉しいなと思います!一旦そんな感じです。
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