見出し画像

日本のサイバーセキュリティの危機的実体(34)

これまでのあらすじ

 かつて、日本国は重大な問題を抱えていた。 #内閣サイバーセキュリティセンター が同盟国からの信用を失いつつあるという危機感があったのだ。この危機に直面し、オリガは一つの決断を下した。彼女は、AI無知倫理学会の武智倫太郎に一大任務を託すことにした。その任務とは、日本国のセキュリティ体制の脆弱性を突き止め、改善への道を模索することであった。

 武智倫太郎はこの大任を引き受け、日本中の国防に関わるセキュリティの網を細かく調査し始めた。しかし、この調査は想像以上に困難を極めた。なぜなら、 #防衛研究所 #NIDS )が今も古い通信プロトコル、http:を使用していることが判明し、これは誰もが予想だにしなかったことだった。

 そこで武智はある発想に至る。それは、かの有名な『 #プロジェクトX 』を模範に、防衛研究所がhttp:からhttps:へとセキュリティプロトコルを更新するまでの試練と挑戦を、ドキュメンタリー風に描き出すことだった。しかしこの企画は、思わぬ障害に直面する。武智はテレビを持っておらず『プロジェクトX』を見たことがなかったのだ。企画は一時、原点に戻ってしまった。

 しかし、そこで諦めなかった武智は、ある画期的なアイデアを思いつく。『プロジェクトXを知らなければ、 #新プロジェクトX を創り出せばいい』と。この斬新な考えに、読者は驚愕した。だが、その矢先、武智のもとに『新プロジェクトX~挑戦者たち~』が2024年4月から放送されるという知らせが届く。まさかの企画重複。しかし、これは新たな物語の始まりに過ぎなかった…。

BAEシステムズとは?

 BAEシステムズは、軍事やサイバーセキュリティに関心がない方にはそれほど知られていないかも知れません。然し、この企業は製造業界において #ロールス・ロイス を上回る、イギリス最大の企業であり、世界第七位の防衛関連企業としても知られています。

 日本人と話をしていると、 #イギリスの製造業 についてあまり知らない方が多いと感じます。1906年に設立されたロールス・ロイスは、航空機用エンジンや乗用自動車を製造していますが、1971年には倒産し国有化されました。現在は、航空機エンジンや船舶・エネルギー関連機械、航空宇宙産業部品を製造・販売する部門がロールス・ロイス・ホールディングスに、自動車部門は1998年にBMWによって設立されたロールス・ロイス・モーター・カーズが担っています。

#航空宇宙産業 に馴染みがない方もいるでしょうが、 #ボーイング #エアバス という世界をリードする航空機メーカーの大型機のエンジン製造を手掛けるのがロールス・ロイスです。大型機に乗る機会があれば、エンジン部分に記されている『RR』を重ねたのロゴを探してみてください。それがロールス・ロイスの航空エンジンを示しています。

ボーイングのロールス・ロイス

 このように #BAEシステムズ はロールス・ロイスを上回る、イギリスの中核企業であることが分かります。この情報を踏まえて、以下の記事を読むと、日本の #サイバーセキュリティ の脆弱性がどれほど世界的に問題視されていて、うまみのある市場と見做されているかが理解できるでしょう。

 日本国内にはイギリスのBAEシステムズの米国子会社が、日本国内では四半世紀にわたって活動してきた実績があり、2016年からはBAEシステムズと富士通がサイバー防衛システムを共同開発してきた経緯があります。

 ところが、イギリスの国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)のリンディ・キャメロン長官が、日本日本の官民にサイバー防衛への投資を強化するよう求めた翌月には、BAEシステムズが日本のサイバー防衛市場参入です。

「サイバー防衛へ投資強化を」 英高官、日本に促す
2024年2月12日 17:46
英国でサイバーセキュリティー政策を統括する国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)のリンディ・キャメロン長官は日本の官民にサイバー防衛への投資を強化するよう求めた。投資によって「安全保障だけでなく(関連産業の)繁栄につながる」と主張した。

日本経済新聞電子版

英BAE、サイバー防衛で日本参入 同盟国との連携を支援
2024年3月28日 15:25
英航空・防衛大手のBAEシステムズはこのほどサイバーセキュリティー事業で日本に進出した。新たな国家安全保障戦略の下で日本政府のサイバー防衛予算が増加する中、日本市場の商機が膨らむと判断した。同盟国との情報共有支援など、安全保障に特化したサービスを展開する考えだ。

BAEシステムズは英米を中心にビジネスを展開し、2023年の売上高は約4兆8千億円だ。

日本経済新聞電子版

BAEシステムズの詳細

 BAEシステムズ(BAE Systems plc)は、イギリスに本社を置く、世界有数の防衛、航空宇宙、およびセキュリティ関連の製品とサービスを提供する多国籍企業です。1999年に英国のBAe(British Aerospace)とマルコーニ・エレクトロニック・システムズ(Marconi Electronic Systems)が合併して設立されました。BAEシステムズは、その広範な製品ラインアップとサービスを通じて、世界中の顧客に対して、地上、海上、空中、およびサイバー空間における防衛能力の強化を支援しています。

主な事業領域
防衛:BAEシステムズは、戦闘機、戦車、潜水艦、艦船、およびその他の防衛用プラットフォームの設計、製造、およびサポートを行っています。また、このセグメントでは、各種の武器システムや弾薬も提供しています。

航空宇宙:商業航空宇宙市場と軍用航空宇宙市場の両方において、航空機の構造部品やアビオニクス(航空電子装備)、さらには整備やトレーニングサービスなども手掛けています。

サイバーセキュリティ:BAEシステムズは、サイバーセキュリティと情報戦の分野でも幅広いサービスを提供しています。これには、サイバー攻撃の監視と防御、情報保護、および脅威分析のサービスが含まれます。

地域的な拠点と市場
 BAEシステムズは、世界中に事業拠点を持ち、特にイギリス、アメリカ合衆国、オーストラリア、サウジアラビア、スウェーデンなどの国々で大きなプレゼンスを持っています。アメリカ合衆国では、BAEシステムズ・インク(BAE Systems Inc.)の名前で事業を展開し、米国の防衛部門向けに特化した製品とサービスを提供しています。

技術とイノベーション
 BAEシステムズは、研究開発に積極的に投資しており、 #人工知能 #AI )、 #量子コンピューティング 、無人システム、先進的なセンサー技術など、次世代の防衛技術の開発に注力しています。

サイバー防衛関連サービス
 BAEシステムズのサイバー防衛関連のサービスは、先進的な技術と専門知識を駆使して、国家、政府機関、民間企業をサイバー脅威から守る幅広いソリューションを提供しています。これらのサービスは、サイバーセキュリティの脅威が常に進化し、複雑化している現代において、重要な役割を果たしています。以下はBAEシステムズが提供する主なサイバー防衛関連のサービスです。

脅威インテリジェンスと分析
サイバー脅威インテリジェンス:最新の脅威情報を収集し、分析することで、クライアントが潜在的なサイバー攻撃を事前に識別し、適切な防御措置を講じることができるよう支援します。

インシデント対応:サイバーセキュリティ侵害が発生した場合、迅速に対応し、影響を最小限に抑えるためのサポートを提供します。これには、侵害の原因と範囲を特定し、復旧のための指導を行うことが含まれます。

セキュリティコンサルティング
セキュリティ評価とリスク管理:クライアントの現在のセキュリティ状態を評価し、リスクを特定して対策を講じます。これには、セキュリティポリシーの策定や、リスク軽減戦略の提案などが含まれます。

コンプライアンスと規制対応:国際的なセキュリティ基準や業界特有の規制要件に準拠するためのアドバイスとサポートを提供します。

サイバーセキュリティ製品
暗号化ソリューション:データの保護とプライバシーの確保を目的とした先進的な暗号化技術を提供します。

ネットワークセキュリティ:不正アクセスやデータ漏洩を防ぐためのファイアウォール、侵入検知システム(IDS)、侵入防止システム(IPS)などのソリューションを提供します。

エンドポイントセキュリティ:個々のデバイスがサイバー攻撃の対象となるのを防ぐためのセキュリティソフトウェアや管理ツールを提供します。

トレーニングと教育
サイバーセキュリティトレーニング:サイバーセキュリティのベストプラクティスと最新の脅威対策に関する知識を提供するトレーニングプログラムを実施しています。このトレーニングは、技術的なスタッフだけでなく、一般の従業員を対象としており、組織全体のセキュリティ意識の向上を図ります。

BAEシステムズの主な競合企業

ロッキード・マーチン(Lockheed Martin)
#ロッキード・マーチン は、主に防衛産業で知られていますが、サイバー防衛にも強い企業です。彼らは政府機関、軍事組織、および民間企業に対して、サイバーセキュリティソリューションとサービスを提供しています。

ノースロップ・グラマン(Northrop Grumman)
#ノースロップ・グラマン は、サイバー脅威の監視、脅威分析、サイバーインシデントの対応、およびサイバーセキュリティソリューションの開発に力を入れています。彼らは国家安全保障にとって重要なサイバー防衛能力を提供しています。

レイセオン・テクノロジーズ(Raytheon Technologies)
#レイセオン は、高度なサイバーソリューションとサービスを提供することで知られています。彼らはサイバー脅威の識別、保護、検出、対応、および回復のための総合的な製品とサービスを政府および民間セクターに提供しています。

パロアルトネットワークス(Palo Alto Networks)
#パロアルトネットワークス は、ファイアウォール技術の革新で知られる企業であり、幅広いサイバーセキュリティ製品とサービスを提供しています。彼らはエンタープライズセキュリティのニーズに特化しており、サイバー攻撃からの保護に重点を置いています。

チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ(Check Point Software Technologies)
#CPST は、セキュリティ管理、エンドポイント保護、モバイルセキュリティ、クラウドセキュリティなど、幅広いサイバーセキュリティ製品とサービスを提供することで知られています。彼らは企業のサイバー防衛を強化するための革新的なソリューションを提供しています。

ファイア・アイ(FireEye, 現在はMandiant Solutionsの一部)
#ファイア・アイ (現在は #Mandiant Solutionsとして知られる)は、高度なサイバー脅威に対するインテリジェンス主導型のセキュリティサービスで知られています。彼らはサイバー攻撃の検出、分析、および対処において、先進的な専門知識を提供しています。

 これらの企業は、サイバー防衛の重要な側面をカバーする広範な製品とサービスを提供しており、政府機関、軍事組織、および民間企業が直面するサイバー脅威に対抗するための総合的なソリューションを提供しています。各企業は、特定の技術や専門分野において独自の強みを持っており、競争の激しいサイバーセキュリティ市場で活動しています。

#武智倫太郎

この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?