見出し画像

近未来麻雀小説(21)過去からの刺客

これまでになかった唐突なあらすじ

 199X年、世界は核の炎に包まれた! 海は枯れ、地は裂け、全ての生物が死滅したかのように見えた。だが、人類は死滅していなかった! #北斗の拳

 20世紀末戦争に生き残った21世紀初頭の人類の世界は、YouTube麻雀観戦と、アニメの銅鑼右衛門シリーズと、麻邪羅(マージャラ)が世界を支配していた。

 麻邪羅は前世紀初頭の9枚の牌で争うゲームであり、2023年の麻邪羅の世界タイトル保持者は、役満和了太であった。二位は三元静香、三位は暗刻武士、四位は流満貫夫で、この四名が麻邪羅四天王と呼ばれていた。

 麻邪羅は22世紀から過去の歴史を改変する為に、銅鑼右衛門が未来から持ち込んだ新中華麻将を簡素化した子供でも打てるゲームで、麻邪羅の優勝者は秘密結社によって、密かに未来の新中華雀士候補としてマークされていた。

 何時ものように勉強も働きもせずに、麻邪羅荘で遊んでいた役満和了太のところに、MAJAN GAME事務局という謎の組織から黒い封筒に金色の文字の招待状が届いたところから、彼の運命の歯車が狂い始めた。

『ねぇ、銅鑼右衛門! MAJAN GAMEって何なの?』と役満和了太は、何時ものように何の努力もせずに銅鑼右衛門に頼った。

『和了太くん、MAJAN GAMEっていうのは、ボクが来た未来で、国の覇権を賭けて争っていた麻邪羅みたいなゲームだよ。でも、和了太くんじゃ絶対に勝てないからやめておきなよ』と諭したが、役満和了太は何時ものように『銅鑼右衛門はMAJAN GAME必勝マシン持ってるんでしょう? それボクに貸してよ!』と、銅鑼右衛門に新中華麻将必勝装置を強請った。

『もう、和了太くんは仕方ないな。ジャジャァ~ン! 立直一発自摸装置!』と、旧日式麻雀で立直を掛けると、無条件で立直・一発・自摸・断么九・平和・ドラ四で満貫上がりできるイカサマ装置を和了太に貸してしまった。

 貸してしまってから、MAJAN GAME事務局からの招待状を見せられた銅鑼右衛門の顔は瞬時に青ざめて『ダメだよ。和了太くん。そのゲームには、タイムマシンで参加できるけど、新中華麻将は旧日式麻雀の勝負とは限らないんだ。それに、ボクが来た未来の世界には、マチルダっていうツンデレ猫型アンドロイドがいて、キミじゃ彼女に勝てないよ!』

 麻邪羅四天王は何れも、未来に発生する21世紀末麻雀戦争の士官候補であり、ホリエホン元伍長以上の新中華雀士としての潜在力を秘めていた。ところが、未来から来た銅鑼右衛門は、マチルダの桁外れの新中華麻将能力のことを熟知していたので、和了太では勝ち目がないことなど解りきっていた。

 人類によってタイムトラベルマシンが初めて生産されたのは、猫型ロボットの銅鑼右衛門が製造された2112年である。ツンデレ猫耳アンドロイドのマチルダが製造された2110年には、まだ、タイムマシンも銅鑼右衛門も製造されていなかった。ところが、マチルダの後継機種の猫型ロボットでも、二年旧式のツンデレ猫耳アンドロイドに勝ち目がないことは、銅鑼右衛門には明白だった。

未来の世界の猫型ロボット銅鑼右衛門

 なぜなら、銅鑼右衛門は、マチルダが開発した超高性能麻雀チップは、24世紀まで無敗であることが証明されており、24世紀には人類が死滅した歴史を、知っていたからだ。

 24世紀の #人類滅亡 を回避するためには、現在の歴史線を変えて #ダイバージェンス 1%の向こう側へ辿り着かなければ、 #シュタインズ・ゲート と同じで、銅鑼右衛門のミッションは失敗してしまう。もはや、麻雀小説の要素が、一体どこにあるのかさえ分からない展開になってしまった。

 銅鑼右衛門が新中華麻将でマチルダに勝てる唯一の可能性は、マチルダが開発した超高性能麻雀チップを四枚奪い取り、銅鑼右衛門の拡張スロットに実装して超銅鑼右衛門ゴッドとして、マチルダと勝負する以外に道は無かった。しかも、一対一の勝負での勝ち目はなかったので、役満和了太からの差し込み(コンビ打ちのパートナーがワザと降り込むこと)が必要条件だった。

『分かったよ。和了太くん。そのMAJAN GAMEの事務局にボクが代打ちで入る条件で参加しよう』と、過去から役満和了太と銅鑼右衛門が新中華麻将テーマパーク・トーナメントに参加することになった。

つづく…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?