aiko_shin

ソウル在住の35歳。ちょっと天然な韓国人の旦那さんとの韓国生活や、学生時代、出版社で働…

aiko_shin

ソウル在住の35歳。ちょっと天然な韓国人の旦那さんとの韓国生活や、学生時代、出版社で働いていたころなどに起きた出来事などを中心に、エッセイを書いていこうと思います。クスッと笑えたり、ほっこりしてもらえたら嬉しいです。

最近の記事

黒木さんがモテる理由

出版社で働いていた頃のはなし。 各ファッションブランドが、 次のシーズンに発表するアイテムのお披露目会で「展示会」というのが、年に2回あった。 どのブランドも同じようなタイミングで開催されるので、一日にいくつも回るのだが、 その日も仲良しの先輩と二人で、 朝から展示会周りをしていたときのことだ。 お昼を過ぎたころ、2件目と3件目までに 時間があったので、駅前にあったスタバで 時間を潰すことにした。 見晴らしのいい1階のカウンター席に陣取り、 ぼんやり外を眺めながら、温

    • 富士山に登る、前の話。

      高校時代の女友達、大ちゃんとやっこ、そして私の3人で、出会って10周年目となる26歳の夏に、富士山に登りに行った。 ある日、“そろそろ出会って10周年を迎えるから、何かでかいことをしよう”という話になったのだ。 そこで挙がったのが富士山に登ろう案。 そのときには、男子メンバーも一緒にいたのだが、「大変そう。辛いの嫌」「富士山かぁ〜、ボーリングだったらな〜」「富士山。なんか惹かれないなぁ」「今じゃない気がする」などと御託をダラダラと述べる情けない塊と化していたので、女子だ

      • あのころ〜31歳、親友〜

        朝まで男の子たちと渋谷のカラオケで散々騒いで、ガラガラになった喉とタプタプの胃に、明け方になるとなぜだか食べたくなる富士そばを無理やり流し込む。 これは、決して学生時代の話ではなくて、30歳をすぎて彼氏なしの年増女子2人のよくある週末の風景だった。 いつだって疲れてた。 この日も始発が動き出す渋谷の街には、ゴミのように女の子が転がっていて、それを持ち帰ろうとするゴミみたいな男の子がいて、それを横目でチラリと見ては、汚いところだなと思ってた。 自分も大して変わらないのに

        • 手かざし

          子供のころ、「手かざし」という体験をしたことがある。未だに、“はて、あれは一体何であったのか?”と思い出すたびに謎は深まるばかりである。 それは、商店街で開かれていた夏祭りに友達と訪れたときのこと。 お母さんから“夏祭り用に”ともらった1,000円を握りしめて、当時、小学校で流行っていたぷくぷくしたシールや、もこもことふくらむペンを行きつけの文房具屋で買ったあと、すぐ隣にある和菓子屋さんでは大好きなみたらし団子を、焼き鳥屋さんでは、ねぎ間を買って食べ歩き。 相変わらず、

        黒木さんがモテる理由

          地獄のテニス旅行

          高校時代からの友達男女6人で、軽井沢に2泊3日のテニス旅行に行ったのは、大学1年生の夏だった。 集合場所は、新宿西口のバス乗り場。私は、新調したばかりのお気に入りのバックパックを背負い、大好きなパン屋で購入したきなこパンと、大量のスナックお菓子、お茶を入れたビニール袋を片手に登場すると、男子から「相変わらずだな」と一言つぶやかれ「これが旅の醍醐味ってもんよ!」と、妙に古めかしいセリフを吐き視線を送った瞬間、その間には冷たい風が吹いた。 “あ、言わなきゃよかった”という軽い

          地獄のテニス旅行

          どうなってるの?

          旦那さんは辛いものを食べると、しゃっくりが出る。さらに、ぶつけたりして“痛い!”と感じると気絶するという、なんとも不思議な臓器システムの持ち主だ。 先日は、ストリートフードのキムチ肉まんを頬張った瞬間、 「辛いッッ!! ヒッ、、、ヒッ、、、」。 始まった。 ただし、対処法は簡単。水を飲むことだ。これですぐ収まるから、まぁいい。 問題なのは、痛いと気絶すること。 以前は、電話中に突然「ヒャッ!」と短い叫び声が聞こえたと思ったら、電話が切れて繋がらなくなった。心配して

          どうなってるの?

          地震!?

          映画が観たい!そう思ったときはあっこに連絡する。 あっこは、私の大学時代の友人で、かけがえのない親友のひとり。 大学のころはそこまで頻繁に遊ぶ間柄ではなかったのだが、社会人になって、ひょんなことから、再会をして、毎週のように会っては、恋バナをしてお互いの傷をなめあったり、仕事の悩みを相談したりしていた。つまりは、やたらと馬が合うのだ。 当時は、お互いに彼もいなくて、映画が大好きだが一人では観に行けない小心者の私たちは、幸い観たい映画の趣味も驚くほど合ったため、新作が公開

          地震!?

          パンツと恥

          “うん? お腹あたりが気持ち悪い? いや、痛い? 痛い、痛い。痛い!!やだ、すんごい痛いんだけど!!!”。 そう思って、目が覚めた。お腹あたりの違和感が意識が覚醒するとともに、徐々に徐々に痛みを伴ってきて、ついには、まぶたあたりが痙攣するくらいに痛くなった。 痛みは生理痛のようなずーんという鈍痛(男性はよくわからないか)から、腸のあたりをぎゅーーーーーんっとつかまれているような激痛に変わっていた。 「お腹が痛い → トイレ」という単純な思考しか持ち合わせていなかったので

          パンツと恥

          手巻き寿司事件

          誕生日近くになると、高校からの親友・やっこが主催となって誕生日会を開いてくれるのが通例だ。非常にありがたい。 この日は、17時に西新宿にあるやっこの実家集合だったので、伊勢丹でいつもの「ハムのセット」を購入して、「はぁ、今年はどんなごちそうが食べられるのだろうか、うひひひ」と、ワクワクしながら向かった。友達に会うことよりもまず食べ物のことを考えてしまうなんて、私のこの卑しい食い意地を呪いたくなる。それに、つい出てしまう「うひひひ」という奇妙な笑い方、一体誰に似たのであろうか

          手巻き寿司事件

          マッサージでも観ようかな

          旦那さんは最近、寝る前にYouTubeでマッサージ動画を観るのにハマっている。 マッサージ動画と言っても、別に卑猥なものではなくて、カイロプラクティックを施術する海外のドクターと、それを受けては「ワォ〜、ヒュ〜」とか「オォ、Fuck〜!!」とか、なんとも伝わるリアクションをしている外国人の動画だ。 特に、Dr.●●の動画は何度も観まくっている。 ドクターが「大丈夫、リラックスして」と優しい声をかけると、アメリカ人と思しき強面の男性が目を瞑る。ドクターが彼の顔に手をかけ、

          マッサージでも観ようかな

          令和とアリヤ

          アリヤ! アリヤ!! アリヤーーー!!! アリヤ、、、。 旦那さんがスマートスピーカーの前にかがみ込んで、呼びかけたり、叫んだり、落ち込んだりして、何やら忙しそうだ。 日本の主要なAIはアレクサだと思うが、韓国ではアリヤ。 旦那「アリヤ。雰囲気のいいポップソングかけて」 AI「それは、私にはできないことのようです」 旦那「アリヤ!○○の曲かけて」 AI「アリヤです。御用件は、なんですか?」 旦那「アリヤ!!ポップソングかけて」 (韓国の演歌が、流れる)

          令和とアリヤ

          シンクンしちゃうよね

          日曜日の昼下がり。 外は雲ひとつない晴天が広がっていて、出たがりな私はうずうずしていたのだが、今日は寒いから家で映画でも観よう!ということに落ち着いた。 ソファーに座って、なんとなく旦那さんにもたれ掛かった。 そのとき、ふと、“私と結婚してくれてありがとう”と、心の中でそっとつぶやいた。 すると旦那さんが私をぎゅっとしながら、「僕のために韓国に来てくれてありがとう」と、言った。 旦那さんとは、出会ったときからこういう、なんていうか、不思議な感覚の一致がある。 シン

          シンクンしちゃうよね