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現代日本における女性の生きづらさ

大学生の時、日本に男女差別が残っていると聞いてもピンと来なかった。痴漢に遭うとか嫌なことを言ってくる奴がいても、それはその特定の個人が悪いのであって社会的に女性である自分が不利な立場に置かれているとは、それまでの人生で感じたことがなかったからだ。

あれから20年近く経った今・・・

世界経済フォーラムが7月13日に公表した今年度の『ジェンダーギャップ指数報告書』によれば、日本のジェンダーギャップは146カ国中116位という圧倒的下位である。

私自身はといえば、30代半ばを過ぎ、ようやく結婚や出産のライフステージに立つ今になって、日本社会における女性に生きづらさを思い絶望的な気持ちに苛まれている。

一方、勤務先の専門学校で日本社会のジェンダー格差について話すと学生は皆きょとんとする。「日本に男女差別が残ってるなんて知らなかった」という感想をもらう。20年前の私と同じリアクションである。男子生徒も女子生徒も、学校という空間では(一部の心無い例外はあろうが)おおむね平等に対等に扱われて育ってきたのだろう。これは素直に喜びたい。

でも、だから、社会に出た時に女は戸惑う。

多くの良心的な最近の男性たちは、男女平等のもと育ってきた。だから自分が女性を差別しているなんて思わない。生理を始め、女性特有の辛さに寄り添うのは自然だと思ってくれる。それでいて、相手が女性だからではなく、男も女も関係なくただ人として接してくれる。確かに、実感としてもそういう男性はかなり増えてきた。恋愛しても結婚しても、共に人生を歩む対等なパートナーとして私たち女を扱ってくれる。

・・・彼らは少なくとも、意識の上ではそう思っている。

だからこそちょっと厄介なのだ。

「非正規雇用で働く女性が多いことが男女の賃金格差の要因の一つである」
「管理職に占める女性の割合が圧倒的に少ないことが男女の賃金格差の要因になっている」

こんなことを言うと、このような返事が返ってくる。

「柔軟に働ける方がいいって思ってる人もいっぱいいるでしょ?」
「責任のある仕事につきたくないっていう女性も多いんでしょ?」

彼らはわからないのだ。

なぜ多くの女性が、柔軟に働ける道を選ぼうとするのか。なぜ能力もキャリアもある多くの女性が、責任のある仕事を避けなければならないのか。

そして、なぜ多くの女性が妊娠する前から妊娠後や出産後の将来を考えて不安になっているか。

「考え過ぎじゃない」「今から考えたって仕方ないよ」「たらればで話さないでよ」と彼らは思うのだ。

「君があまりにネガティブ思考だから、僕がポジティブな声がけしなきゃ」と思っている節さえある。


安倍元総理の女性の活躍政策で、確かに外に出て働く女性は増えたであろう。アベノミクスの三本の矢の効果で、確かに日本の雇用は増えたであろう。だがその内実は?非正規雇用の半分が女性である。そして、少子化はかつてないほど悪化している。

結婚・妊活・妊娠・出産のライフステージに立つ今の私は、日本にはもう未来が残っていないようにしか感じない。

どこに希望を見出せばいいのか。私が弱いだけなのか。いっそ子どもを持たないほうが楽なんじゃないか。社会を衰退させる歯車の1つになってしまうけど、少なくとも自分の精神衛生は守られそうだ。

他の女性たちはどう感じているのだろうか。男性はどう感じているのだろうか。自分はこれから、どう生きていけばいいのだろうか。


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