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ことばのちから

「地球大進化」という2004年のNHKの番組をご存知でしょうか?

そこで、地球46億年の歴史の中で、人類ホモ・サピエンスだけが生き残り、限りなく近いネアンデルタール人が絶滅した謎についての仮説が唱えられています。
Dr. Jeffrey Laitman という、NYにある、Mount Sinai School of Medicineの教授の説です。

http://www.mountsinai.org/profiles/jeffrey-t-laitman

ネアンデルタール人とホモサピエンスは脳の重さなどはほぼ同じですが、頭蓋基底(底の部分)の骨が異なるというのです。

ネアンデルタール人は平らで、ホモサピエンスは湾曲しています。

現在も生きる霊長類は、みなネアンデルタール人と同じ基底が平らとのこと。
また、ネアンデルタール人はのど仏の位置が高く、そのため気道が短くなっていました。つまり、声帯で発し気道で共鳴させる音が限られていたようで、特に母音が発音しにくい構造。
多様な音を発して、仲間とコミュニケーションできなかったことが、ネアンデルタール人の絶滅につながったという説です。

リチャードドーキンス博士:「言葉は第2の遺伝子のような存在だと私は考えています。私たちは40億年間、遺伝子によって進化してきました。その進化の末に私たちは言葉を使い始めたのです。言葉はまるで遺伝子のように世代を超えて知識を伝えていきます。ところがそのスピードは遺伝子と全く違います。言葉は進化を飛躍的に早めたのです。それこそ第2の進化、つまり文化の進化です。
言葉は人類が生み出した新たな進化のシステムなのです。」

地球上の生命は、46億年の時間をかけて、遺伝子によって情報を伝え子孫につなぎながら、環境に適応するため遺伝子を変化させて、進化を遂げてきました。
人類の言葉の力が、遺伝子にかわり、進化のスピードを飛躍的に早めたというのです。

ホモサピエンスがもつイメージを形にしていく力が、文化をつくり、想像する能力は、社会や思想、宗教、貨幣経済をつくり、数万年で人類を70億以上の数に増やしました。
言葉を使って考え、情報を伝え、想像し、協力して、未知の地へ進んでいく行動力。
そして、言語から文字の発明が文化を習慣を創っていく。

ことばの力で世界を望む方に変えていけることを、もう一度、思い出してみませんか?
2015-08-01:Ameba blog


日本語の起源
大野晋著

大野氏は1919年東京下町深川の生まれ。中学生のときに、遊びびにいった山の手の友達の家では言葉も習慣が違うことに愕然とします。
『山の手では、バター、チーズ、シチューというものを食べ、「お早いお出ましで」などと挨拶し、ライカの写真機というものをたやすく使うのだった。西洋の言語を操り、日本の進路を決める仕事をする人々の住む山の手。
一方、下町の生活は、「二月の初午の稲荷さまの祭り、春の海苔採り、藤の花見、夏祭りの神輿、朝顔の花数えと、四季の移ろいに適応し、味わうことを軸にめぐっているように思えた。」下町の生活は、現在の世界を生きていくのに何か足りないと感じる、かといって、いくら外国語を学んでも、遠く離れたヨーロッパの言葉と生活と感情が、たやすく自分のものになるはずはない。』

この「はじめに」に書かれた、「日本語とは何なのか」と大野氏が疑問を持つに至った経緯にハッとしました。
日常的に使う言葉で、東京の中でさえ、これほどの生活の違いを作る。戦前はヨーロッパ語が豊かさを象徴し、終戦後は、英米語の文化が憧れとなり、洋服が主流になり、様々な国の料理が食べられるようになる。

大野氏は、日本の精神は万葉集にあると読み、古代日本語の音韻の研究を始めます。
この本では、文法や語彙が対応しているだけでなく、文化的歴史的民俗学的影響も詳しく検証されて、南インドのドラヴィダ語族の中のタミル語と、日本語の共通点を熱く語られています。
日本語の「カミ、アハレ、サビ」に対応するタミル語があり、五七五七七調の歌の作り方など、農耕文化と共に伝わったという説は興味深いです。
2015-05-03:Ameba blog.

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