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7月16日、浮上した


 何のことかと言えば代々木公園に浮かぶ謎の顔の事である。オリパラを記念した現代アートで作品名"まさゆめ"。製作者の夢を現実に再現したものらしい。

これを直に観た人は圧倒しただろう。それが羨ましいような、その、なんというか、子どもはトラウマにならないだろうか。と心配というか。はい。

 灰色の無表情の顔がぼんやりとどこか虚な様が、その、怖い。
製作者の意図が見えないので、怖いと言って良いのか分からないがごめんなさい。私は怖かった。
 割と近くで見たら可愛らしいというか、愛着が湧くのは、実在する方のお顔を借りているからか。
遠目だとにゅっと生えてる感じが怖い。

そしてポンっ!と頭に浮かぶものがある。謎に既視感。
これに似た、もっと怖いもの見たことあるぞ。

あ、"首吊り気球"だ。


"首吊り気球"とは伊藤潤二先生の短編ホラー。
 自分と同じ顔をした風船のようなものが街に現れ、それに首を吊られ殺される。というパニックを描いた展開だ。何だそれ…。

 先生の作品は、絵が美しい!美男美女!はちゃめちゃな展開!なぜそうなった!緻密描写やめろ!クセになる!というのがチャーミングで素晴らしいので、
「何だそれ…。」という私の感想は褒め言葉だと理解いただきたい。てか、みんなそう思ってんだろ。

 この展開のシュールさとヤバい素晴らしい絵は、色んな方を虜にし、実写化された作品も多い。富江は私のトラウマです。
 テレビバラエティ"怒り新党"で取り上げられた際は、膝から崩れ落ち腹を抱え爆笑した。感動した。
  "首吊り気球"も実写化されている。先生の描写の方が恐ろしくて好きです。

 代々木公園に突如浮かび上がった現代アートに、先生を彷彿とした方は多かった。ネットで話題になった。
その日から3日間、先生の"首吊り気球"は無料公開された。ファンは歓喜した。
"首吊り気球,1994年発表"まさかの再浮上であった。

 ホラー執筆以外にもさまざまな活動をされており、最近では映画"ライトハウス"のあらすじを描いている。
このあらすじ漫画もまた国内外のファンに高く評価された。


 ファンの1人として今回の一連のながれ、非常に嬉しい。おいしい。
だがしかし伊藤潤二先生は現実でも展開が読めない事をなさる。 


7月24日(日本時間)
米漫画賞、アイズナー賞 2部門同時受賞。
本当に本当に!
おめでとうございます!!!


 元々評価の高い漫画家のお一人なので、受賞も当然。
そして2度めの受賞である。

とはいえ、
混沌としたこの時期にこのタイミングで、良いニュースを知ることができて、私はとても、嬉しかったです。
 先生、おめでとうございます。
いつも怖い、心に残る作品をありがとうございます。
陰ながら応援しています!
本当におめでとうございました!



 ちなみに、1番好きな作品は"阿彌殻断層の怪"です。
 何だそれ…って思いました。

この記事を見てくださった方で、先生の作品を読んだ事ない方へ。心臓弱い方は検索しないでね。夢に見るくらい怖いので用法容量お守りください。 

画像一点お借りしました。


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