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Short Story【恋の神様】

こんにちは、愛音です


しとしと、しとしとと、雨が舞っている
雨粒の形がとても細かい霧雨


霧雨は降る意味ある?

なんでそう思うの?

だって雨なのに小さすぎるじゃん
いくら待っても水溜りは出来ないし
植物だって降るなら大きい雨が嬉しいはずだ

霧雨は確かに水溜りを作る力はない
植物も大きな雨粒の方が嬉しいかもね
ただ霧雨には霧雨だけが出来ることがある

ふぅん…何が出来るの?
こんな小さくて、雨じゃない雨に

こうして君と私が話すきっかけをくれる
雨に形があることや雨の役割
それをこうして話せる
だからこの小さすぎる雨に感謝したいよ

なにそれ…変なの

ふふふ、変かもね私は

あのさ…ココアいる?

ココア?

別に君のこと考えないよ、
君、結構喋って喉が乾いたかもなんて思ってない!
霧雨のせいで、なんかちょっと寒いし、
温かいココア、飲みたくなっただけ!
そ、そう!僕が飲みたいだけ!

まだコーヒーよりもココアが好き
キッチンで用意してるけど
ここからピンクのマグカップも見えてるよ?
あと数年したら背も伸びて、落ち着いちゃって、
立派な男の子になるんだろうなあ

はい、いる?

わあ、私の分も作ってくれたんだ

間違って沢山作っちゃっただけ!

はいはい、ありがとう

……
………
…………

おい、コーヒー冷める、いらないのか?

あ、れ?寝てた…私…?

よだれ垂らしてな

可愛くないこというなぁ
あ、コーヒーありがとう

なんか夢見てた?
ニヤけてたけど

……夢?
ん、忘れちゃった…

ふぅん
それにしても、雨止まないな

梅雨だからね、止まないよ
でも霧雨になったからそのうち晴れる

俺さ昔、霧雨のことお前に聞いた
なんか変な答えだったから覚えてないけど

ね、知ってる?
霧雨はね、恋の神様なんだよ
2人の距離を縮める神様
雨音に邪魔されないで、
雨について語れるじゃない?
だから霧雨は恋の神様、て呼ぶの

へー、相変わらず変なこと知ってるよな

でも君といるときは霧雨も必要ないね

そんなんに頼らなくても
お前は俺に惚れてるし
俺も、意外と惚れてるし

ははは、大人になったねえ

いくつだよ、お前は

少し年上の最高にいいオンナです

自分で言うなよ
…てか、知ってるし


梅雨時期には霧雨を見ながら
いつまでも、止むまでそばにいさせて
それで霧雨がやんだら手を繋いで歩こうね

恋の神様【END】

*愛音*

2023/06/22
大切な人と
静かに語りたい

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