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【育児日記】「何度も着替え直す」ことで身につく大切なこと。

「あれっ、まま、雨が降ってるよ」
黄色い幼稚園バッグを背負って、ぼうしを深くかぶった5歳の次男が、驚きとともに玄関を開けた。

「天気予報は、昨日と同じって言っていたのにね」
昨日は春らしいぽかぽか陽気で、幼稚園では半袖のTシャツに着替えたほどだった。

天気予報を見て、半袖のTシャツを選んだ、慎重な性格の次男。
その細い腕に、春の雨つぶがポツポツと当たっている。
「ぼく、ちょっと寒いから長袖に着替えてくる」

玄関では、1歳の次女がパンダがついたお気に入りの靴を履くところだった。
これから着替えをしていたら、10分はロスしてしまう。
早く保育園と幼稚園に行きたかったのに。

「もう、出発するところだったよ。幼稚園で着替えてちょうだい!」
つい、大きな声を出してしまった。

「ヤダ。今がいい」

靴を脱いで、リビングを走り、大きな音を立てて階段を昇る。
タンスから長袖のTシャツを引っぱり出す。
朝起きてから、出発するまでの1時間しか着ていない半袖Tシャツを、洗濯かごにポイと放り込む。
また、大きな音を立てて、階段を降りてくる。

玄関で、長袖のTシャツをかぶって、頭を出した。
Tシャツの襟ぐりから出てきた次男の顔には、満面の笑み。

「まま、これで、雨が降っても寒くないよね」

次男の笑顔が満足気でキラキラで、怒鳴った自分が恥ずかしくなった。

天気予報を見て半袖Tシャツを着たけれど、実際に外に出てみたら少し肌寒くて、長袖Tシャツに着替える。
私だったら、「ちょっとの時間だから」と寒くても半袖で我慢したかもしれない。でも次男は、我慢をせずに、自分の感覚と心地よさを優先できた。

大人は色々な事情や状況を判断をして、「自分の感覚を大切にする」を諦めてしまうことが多い。
「自分さえが我慢すれば、丸く収まる」と自分の感覚に蓋をしてしまうこともある。

でも、それを続けてしまうと、「我慢することが当たり前」になってしまう。「自分を大切にする」ことが、大人になるほど下手な気がする。

半袖から長袖に着替えるまで、5分もかからなかった。
でも、長袖に着替えたことによって叶えられた心地よさは、一日中、次男を包み込んでくれるだろう。

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助産師hana【子育てを、安心であたためる】

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