では一首、 　速単の暗記シートできみの顔かざして消えたlipstick

では一首、 　久我山と明大前で降りていたふたり一緒に誓う祭壇

では一首、 　十一時五十九分提出のレポート延びた分だけ堕落

では一首、 　授業用ノート引かれた２Ｈの補助線だけがわたしには濃い

では一首、 　速やかにCanvaで作るパソコン部女バスに渡す募集ポスター

では一首、 　カワイイと騒ぐ登校してるだけ六年生の側になりたい

では一首、 　茶ばんでるサークルノートかわいい字綴る先輩五月でいない

では一首、 　走ってくピアノ空いてる教室でaikoメドレー増える合唱

では一首、 　夕暮れに無口が集う駅前の幟乱立新歓コンパ

では一首、 　ローファーが隣に座る旧版の仏和辞典は姉のお下がり

では一首、 　白百合の汁をまぶたに塗ろうとも振り向かないで戻ってゆく人

では一首、 　ヘッドフォン宇宙の風に乗りながら読唇オハヨ藤吉夏鈴