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【博士課程】どうやって論文を探して、どう読むか。社会人ドクターが激務の中、300以上の論文を読めた方法。

国際論文の執筆は、博士課程取得に向けて必須になることが多いです。そのために、自分の研究の意義を明確にする必要があります。しかし、これを達成するには、関連する研究文献を広範囲にわたって理解し、適切に引用することが不可欠です。

例えば、私の経験だと、1つの国際論文執筆につき100文献近くを読み、博士論文の場合200〜300文献近くにもなりました。研究を進める一方で、これらの多数の文献調査を行わなければならないので、論文を読むスキルを身につけることは、研究者にとって非常に重要です。

私は、会社に通いながら社会人ドクターとして研究に励み、入学してから三年間で博士号を取得することができました。今回は、私が実践していた論文の探し方・読み方の方法を紹介します。

論文の探し方

効率的な文献調査は、時間を節約し、研究の質を高めるために重要です。以下の方法で関連する研究を見つけましょう。

1. まずはレビュー論文を調べる

まず、自分の興味のある分野の全体像を把握したいときは、レビュー論文を読むことをお勧めします。レビュー論文は、多数の研究を引用しているため、研究動向を大まかに把握できます。 私は、Google ScholarやWeb of Scienceを使用して、研究領域に関するレビュー論文を探しました。特に検索でレビュー論文だけを表示させる機能を活用すると便利です。

2. 研究の基準となる論文を見つける

自分の研究と最も関連があり、研究の基準となる論文を見つけると、自分の研究の立ち位置が明確になります。研究の基準となる論文は、『起源となる論文』と『最新論文』の二種類あると考えています。

『起源となる論文』は、自分の研究テーマの背景となる論文です。世の中の研究は、先人の天才の方々のとんでもない発見や発明を起源としています。そんな起源を基に、色々な研究が派生していきます。国際論文を執筆するには、『起源となる論文』を理解する必要があります。気になった論文が多数引用している参考文献をチェックして、『起源となる論文』を探しましょう。専門書にも、重要な参考文献を引用している場合があるので、合わせてチェックしてみましょう。

『最新論文』は、自分の研究テーマの課題設定となる論文です。例えば、私の論文では、「今まででは、ここまでわかっていたが、ここが明確になっていないので、本研究では、⚫︎⚫︎の解明を目的とする。」というような言い回しを良く使っています。自分の研究の立ち位置が明確になるためです。そのため、世の中の現状を示すために、『最新論文』をチェックする必要があります。『起源となる論文』を引用している論文を検索すると、見つかりやすいです

3. 気になる研究者の論文を調べる

いくつか論文を読んでいると、自分と似た研究をしている研究者を発見することがあります。似た領域で研究をしている研究者の論文を追うことで、新たな視点や重要な成果に出会うことができます。研究者のHPで論文リストを入手するのが確実です。最近は研究者が自分の研究内容についてSNSで発信していることが多くなってきていますので、フォローして、彼らの最新の論文や研究進捗をキャッチすることが効果的です。

4. 人からオススメの論文を教えてもらう

意外と皆さんやっていないのが、人からオススメの論文を教えてもらうことです。共同研究者に聞くのは、もちろんです。さらに、関連分野に詳しい人に話を聞きに行って、参考にしている論文を聞くとあっさり教えてくれることが多いです。学会などを活用して、積極的にコミニケーションを取り、人脈を広げておきましょう。

論文読みのプロセス

読む論文が決まったら、効率的に読破していきましょう。論文の構成は、アブストラクト、イントロダクション、研究方法、本文、コンクリュージョンが一般的です。ただし、全てを読む必要はありません。以下のステップを適宜実践して、時間を節約しながらも重要な情報を把握することができます。

① アブストラクトとコンクリュージョンで全体感を掴む:研究の目的、方法、主な結果をざっくりと素早く理解します。この時点で、自分の研究と関連性が低そうであれば、この先のステップに進む必要はありません。

② 全ての図を流し読みする:図は研究結果を視覚的に理解するのに役立ちます。①のステップで理解した内容を深めます。どんな指標で研究を進めているかに着目すると理解しやすいです。

③ イントロダクションで「従来研究の課題」と「本論文での工夫と得られた結果」を把握する:研究の新規性が明確になります。自分の研究とどこが類似しているか立ち位置を明確にすることが大切です(背景、課題設定、実験・解析方法など)。興味が湧けば次のステップに進んで、自分の研究との類似性が低ければ読むのをストップしてOKです。

④ 本文を精読する:研究の妥当性を確認し、詳細な方法論やデータ解析を理解します。この際、得られた結果と考察、実験方法、解析方法の新しさや進化を特に注意深く見極めることが大切です。

⑤ 研究方法を読む:再現性や解析の価値を評価します。伝統的な手法を用いている場合は省略しても良いですが、引用がない場合は新規の研究方法の可能性があるため、特に注意して読むことをお勧めします。

論文の質や研究との関連度に応じて適応してください。論文を読む際は、目的を明確にし、どの文献が自分の研究にとって重要かを理解することが効果的な読み方の鍵です。また、論文の新しさや工夫を見極めることは、良質な論文を見分ける能力を養う上で非常に重要です。

まとめ

効率的な論文調査は、研究の質を高める上で不可欠です。特に、社会人ドクターの方は、仕事もしながらになるので、毎日限られた時間の中で、論文を読む必要があります。今回紹介した方法が、少しでも参考になれば幸いです。

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