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吉澤嘉代子さんは魔法使いになることを諦めていない

普段から、スマホやタブレットで「dマガジン」を購読していて、好きな雑誌をいくつもお気に入り登録して読んでいます。その中のひとつに「Pen」というカルチャー雑誌があり、4年前の2016年5月15日号「いとしの歌謡曲」特集のインタビュー記事にて、吉澤嘉代子さんというアーティストを初めて知りました。

吉澤さんの楽曲の中でも、特に歌詞が素晴らしい曲を選ぶならば、一番にお薦めするのが「ストッキング」という曲です。

金曜ロードショウ なんとなく観てしまう
魔女の宅急便に泣いた 十三歳の夏には
もどれないことを知る

このフレーズが心に刺さる人もきっと多いと思います。子供の頃は、本当に心臓がバクバクしながらキキとトンボの無事を固唾を呑んで見守り、そして自分も、いつか不思議な魔法で大切な人を守りたいと夢見てしまうんです。

吉澤さんは、学校に馴染めなかった少女時代、ご実家の金型工場の屋上でひとり魔女修行に励む女の子だったそうで、零れる想いをノートに綴っては、革のトランクに大切に保管していたそうです。「ストッキング」のMVにも、実際にそのトランクが登場します。

自分の力を 信じきれなくなるとき
いびつに歪んだ心は
たった一つの魔法を 忘れかけていたんだ

MVでは、魔法使いになりたい少女と、大人の女性になった現在の自分とがシンクロし合い、歌詞の世界観さながらに、お互いが呼応するようにシーンが切り替わって、少しずつ距離が縮まってゆく様子が描かれています。

もうわかってるよ 私は特別じゃない
少女の頃 窓辺に腰掛け唱えた
信じる魔法を 思い出せたら

おとぎ話を信じ、魔法使いになれることを夢見ていた少女はやがて、社会で生きる為の処世術を身に付けた大人の女性へと成長します。それは必ずしも悲しいことばかりではありませんが、もしもあの頃の夢を失わずに居られる方法があるするならば、実はその手段こそ「歌」ではないかと思うのです。

ストッキングを この手で裂いて
窓の外へ 飛び出したら
夜空に伝線した ほうき星かかって
綺麗でしょう

これは私の勝手な想像なのですが、歌を生業とする吉澤さんは今でもきっと、魔法使いになる夢を諦めていないと思っています。また、誰もが子供の頃の純粋な気持ちを大人になってもずっと忘れないで欲しい、そんな切なるメッセージが、この「ストッキング」という曲に込められている気がしてなりません。

最後に今回の参考にさせてもらった、吉澤嘉代子さんのインタビュー記事を紹介させて頂きます。吉澤さんの生い立ちや少女の頃のエピソードが「ストッキング」の歌詞やMVと密接に繋がっていることが感じられて、とても内容の濃いテキストになっていますので、お時間がありましたらぜひ読んでみて下さい。

こちらです↓↓↓
『鏡よ鏡、滑稽なのはだあれ?』吉澤嘉代子インタビュー : CINRA.NET

とても長くなりましたが、最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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