CEO白坂が弁理士を目指し、起業するまで ~人工知能と特許の二刀流~

 新型コロナの影響で、今年5月予定の弁理士試験も延期となりましたが、9月20日に行うことが正式にきまりました(特許庁実施日程について)!受験生の皆様、是非、頑張ってください。私は1998年から勉強をはじめ2010年合格なので、約12年間も弁理士受験の勉強をして合格しました。12年もの歳月で、将来、知的財産の世界でこんなことをするぞ!あんなことをするぞ!と空想を膨らませる素敵な時間だったと振り返ると思います。当時は必死でしたが・・・・( *´艸`)

 今日は、2020年3月に航空自衛隊連合幹部会事務局の機関誌「翼」に、掲載させていただいた記事を一部、編集の上、掲載させて頂きます。「翼」は自衛隊関係の方しか読む機会が無いかと思いまして('◇')ゞ、また、自衛隊の話がたっぷり出てくるあたりは、そのような経緯があったと御理解下さい。

 それでは、私が自衛官を目指し、新たな目標として弁理士を目指してから、起業するまでの軌跡を記します。

阪神淡路大震災と父の失業

 私は大阪で育ち、阪神淡路大震災を高校2年生のときに経験したことで、災害支援をしている自衛隊をみて、興味をもちました。当時、父親が事業に失敗し、無職だったこともあり、お金のかかる大学にはいくことができないこともあって、防衛大学校を受験し、入学しました。温室育ちであった私には、防衛大学校の1年生の生活は、大変厳しく、辛かったのですが、我慢したおかげで、体力と、「日本の国を守る」という信念を育むことができました。

テポドンとビジネスモデル特許

 航空要員として学んだ、防衛大3年生時に、北朝鮮のミサイルが、日本を超え、太平洋に落下するというニュースをみて、衝撃を受けました。さらに、当時、防衛庁が防衛省になることについて、頓挫したことも、ショックだった記憶があります。
 そんな時、大学の売店にあった、ヘンリー幸田氏の著作「ビジネスモデル特許」に目が留まりました。アマゾンのワンクリック特許など、IT分野で特許を取得し、大きな訴訟が行われている特許の世界を知ったのです。
 その本には、特許というのは技術からなる発明を権利として保護し、侵害する者を攻撃することができるというものでした。軍事戦略と、特許戦略はすごく似ている!特許は、将棋の駒のようだと思いました。

防衛大

防衛大学校3年生 硫黄島での訓練

教育の重要性:二人の師匠

 防衛大学校の卒業前ごろから、特許の専門家である弁理士の試験に興味を持ちました。ただ、一般の予備校は費用が高くて払えなかったので、私ゼミに参加しました。石川ゼミといって、何千人も弁理士合格者を世に排出している石川泰男弁理士が運営されていました。石川泰男先生は、偶然にも防衛大OBであり、教育に熱い方でしたが、当時の私が現役の防大生ということもあってか、将来の進路に変な影響を与えないために、意図的に距離を置いて指導をしてくださっていたような気がします。ただ、特許の世界でがんばりたいという私の想いから、最新のIT技術を学ぶべく、横浜国立大学の修士課程に進学しました。卒研でご指導頂いた佐藤平八教授(防衛大OB)から、

「人間にとって一番尊い仕事は何だと思う?教育だよ。君は自衛隊に行かないと聞いたが、民間にいっても教育ができるような人物になりなさい」

といわれたのが印象的でした。

3.11~

 富士フイルム(株)の知的財産本部に勤務。防衛大のころから興味を持って勉強をしていた弁理士受験も12年が経って、なんとか合格することができました。12年の受験期間は妻の協力もあり合格までたどり着くことができました。特許の知識が深まっていたので、国家試験「知的財産管理技能検定」の試験委員として、試験問題を作る職務に付けたことは二人の師匠に少し近づけたような気がしてうれしかったです。
 そんな中、東日本大震災。防衛大の先輩や同期が被災地で命がけの救援をおこなっている話をきいて頑張っている姿を想い、「早く日本の復興に貢献しないと!」と思い、特許事務所を設立しました。現在の特許業務法人白坂です。また、防衛大の先輩が経営する米国訴訟支援会社の子会社の社長にさせて頂き、日本企業が米国で特許で攻撃を受ける世界を目の当たりにしました。また、会社の米国進出に伴い、2013年に米国NASDAQ上場を果たすという素晴らしい舞台を体験させてもらいました。その少し前から、米国では人工知能(AI)を用いた企業が登場してきたのを知り、私も日本独自のAI特許評価システムを作りたいと考えるようになりました。

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NASDAQ上場セレモニーにて

いま

 一昨年からスタートアップの起業家として、人工知能を用いた特許審査のシュミレーションシステム“AI Samurai”の開発を行い、ついに今月より日米中同時対応のAI Samurai DELTAをリリースすることができました。日本の特許出願件数は減少傾向にあり、中国は日本の約5倍以上、米国は2倍以上と、特許出願件数は世界の主要国から離されています。私は、AIを利活用することで、日本の特許を分析し、増やすことができると信じ、新しい挑戦をしています。知的財産の分野で「日本の国を守りたい」、少しでも自衛隊の方々と気持ちを一緒に歩んでいけるように。


執筆者プロフィール

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白坂一
防衛大学校理工学部卒業。横浜国立大学院環境情報学府修了。富士フイルムを経て、特許業務法人白坂を設立。2015年、(株)AI Samuraiを創業し、代表取締役社長に就任。弁理士、国家試験 知的財産管理技能検定 技能検定委員、北陸先端科学技術大学院 先端科学技術研究科・博士課程在学中。

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