さらば、クズ男たち
サナダくんと2月末に衝撃的な別れを果たしてから気づけば3カ月が経った。
彼のクズぶりがあまりに胃にきたので、しばらく何も書けなかったが、またそろりそろりと書きはじめたいと思う。
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ちなみにサナダくんとの最後は、婚約者がいる身でわたしとグダグダになったあげく避妊を失敗し、わたしに緊急避妊薬を飲ませた後にも「ひかりちゃんを尊重していきたい」と迷言を重ね、じゃあ一体どうするのかなと眺めていたら「彼女とは必ず結婚するけどひかりちゃんも大好き」とどこかの国の王様的な一言を放つのでお別れを申し上げたところ、「僕を殴ってくれ」とJR上野駅の改札で言い出し「嫌だよ、自分で殴りなよ」と返したら本当にゲンコツで自分の頭をゴッゴッと殴り出したのだった。
あれはなかなか狂気的な光景だった。
「物理的に殴ってどうするのよ。そうじゃない。贖罪のために痛みを受けるって言うなら、あなたが一番大事にしてるあなた自身の一部だと思うものをその拳で殴ってみなさいよ。ご家族と彼女。彼ら彼女らに事の顛末をすべて報告して謝って。そして許して貰いなさい」
それを聞いた瞬間、彼の目から光が消え、表情筋が固まった。
乾いた唇がやたらと目立つ。真の無表情を浮かべたサナダくんは、もうあの駄目かわいいサナダくんと同じ人物には思えなかった。
その後30分ぐらいフリーズしてたし、いい加減面倒で眠いのでその場を去ろうとしたところ、後ろから追いかけてきて「言う!言うよ!彼女に、絶対。ひかりちゃんのこと。そんで謝る!」と、誓いの言葉を浴びせてきた。
「許してもらえるといいね!おやすみ」
と、言い残して帰ったが、サナダくん、それはそうそう許されないと思うぞと心の中で舌を出した。仮に結婚しても、今まで通りの信頼関係が戻るなんて考えは甘い。女の人を舐めているよ、まったく。
日本の最高学府と最高研究機関は、なぜあんな阿呆を生み出してしまったのだろう? 未来が暗いな、と、思ってサナダ事件は終わりということにした。
以来、彼からも連絡はない。たぶん彼女には何も報告していないだろう。
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ずいぶん冷たい書き方をしたけれど、ほとほと目が覚めたというのが正直なところだった。
馬鹿にしている。
どんなに仕事ができようと、頭が良かろうと、愛嬌があろうと、目の前のたった一人の人間の尊厳も大事にできない、周囲への想像力も働かない人間をこれ以上愛することはできない。
お前らみんな甘えすぎなんだよ!
少ない労力でロマンチックに遊んで気持ちよくなって充電しようなんて、そもそもコストに対する見積もりが甘い。頭が悪い!
と、初春のわたしは咆哮を上げた。
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そう、「お前ら」と複数にくくれるぐらいに、わたしにはクズ男の経験が豊富だ。そんな経験積みたくないのに、笑えるぐらい酷い。
それはきっと、わたし自身にも隙があるからだし、クズ性を刺激する何かがあるからだろうし、倫理観や道徳観に欠落したところがあるせいだと思う。
そしていつも学習しない、大変な頭の悪さなのだ、自分も。
わたしがクズをひとり、ふたりと愛し許してきたことによって、クズが生き延び、クズが自信と実績を持ち、世界の女性に対してクズ被害を広げているのかもしれないと思うと責任すら感じる。
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もう、やめた。
わたしは、すべての女性は、あんなオモチャのオマケみたいな薄い愛情欲しさに、承認欲求埋めたさに、彼らにぞんざいに扱われる必要なんてないのだ。
もうクズには屈しないし、クズに悩む女性がいたら一緒に立ち上がりたい。
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