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NEUTRAL COLORS “NEW COVER”の店番をします

横浜・関内にあるNEUTRAL COLORSの印刷製本所内にひらかれたコンセプトブックショップ“NEW COVER”。
今月から店番をさせていただくことになった。

“NEW COVER”は、月替わりで、出版社、書店、個人が選書した本が並ぶ。

現在開催されているのは、第3回 《オフショア》。
セレクトされているのは「やすい」や「おいしい」ではない、「ほんとうのアジア」を知るための17冊。
セレクターは、『オフショア』編集長・山本佳奈子さん。

「アジアという響きをあまり身近に感じない。マリノスが出場してるAFCチャンピオンズリーグくらいしか思い浮かばない。どこから読んだらよいかわからない…。」と思った私は、最初に17冊分の選書エッセイを読むことに。

選書エッセイとは、セレクターが1冊1冊に対して書き下ろした“NEW COVER”オリジナルの解説書。
購入者特典として、セレクトされた本を購入すると、その本の選書エッセイもいただける。
選書エッセイだけを纏めて購入することもできる。

私は、この選書エッセイに深く感動した。

「こういう本です」と解説がされているのではなく、セレクター山本さんの「視点・経験」と「本が持つある側面」とが編まれた、非常に読み応えのある内容になっている。

 これまで約20名の書き手と向き合い、初稿から校了までの時間を共にしてきた。編集者という役割を担っている私は、書き手としての修練も受けている。書き手の個性が埋もれてしまった原稿があったとしたら、その個性は一体どんなノイズに掻き消されているのか、見極められるようになった。また、書き手が本当に書きたいことを書いているかどうが、見抜くことができるようになった。「書く」という行為がなんたるか、この約20名のみなさんに学ばせていただいている。

選書エッセイ・オフショア第三号 より

読めば読むほど、山本さんへの憧れとも信頼とも呼べるような感覚が増す。

山本さんの選択のひとつひとつには背景があり、意図が込められている。
そういった選択の先でオフショアが編まれ、“NEW COVER”の選書がされている。
「山本さんの選書で読書体験をしたい!」と思わずにはいられない。

読書体験への意欲だけでなく、「カルチャーの消費」「文化の交流」など、これまであまり考えたことのなかったテーマへの興味関心も呼び起こされた。

また、言葉での表現を磨きたいと思っている私には、山本さんの文章は非常に勉強になった。

インパクトのある言葉をはじめに置くことで引きこまれる構成になる、締めくくりの一文の有無で文章全体の印象が変わる、ストレートな感情表現の後には感情の解像度が上がるようなたとえを添えることで奥行きが増す、のようなことを選書エッセイを読みながら感じた。

「よい本です」という一言を、どのように色彩豊かに表現するか。
感性で得た感覚を伝わる形にするためには、やはり知性で表現する必要がある。

山本さんが編んだ文章にもっと触れたいと思い、『オフショア』第1,2,3号を購入し、ブログ等も読み始めた。

“NEW COVER”は今年7月からスタートしている。
私は7月から10月まで、動画コンテンツの制作やサッカー関連のお仕事へ邁進していたことで、言葉を楽しむことから少し離れてしまい、悔しいことに第1回 《Temporary Press》第2回《誠光社》に触れることができなかった。
第3回以降は、読み落としたくない。

これからもNEUTRAL COLORSと“NEW COVER”は、魅力的な本や文章や人との出会いを運んでくれると思う。
そんな出会いの場を、店番として少しでもお手伝いさせていただけることが、うれしい。

第3回 《オフショア》は11/30まで

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