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#175 すごい,カイコ

蚕(カイコ),実はすごい生き物だというお話.

その1,「家畜化された昆虫」

 「家畜」と聞けば,鶏・豚・牛などが浮かびます.まさか,昆虫が家畜化されていたとは知りませんでした.カイコ(幼虫)の成虫(カイコガ)は羽があっても自分で飛び去る事が出来ないそうです.ましてやカイコも数10センチ以上の移動ができず,自分でえさ(桑の葉)を食べれないとは!すべて,人間が数千年の長い歴史をかけて飼い慣らした(家畜化した)結果だそうです.

 さなぎの繭(まゆ)から絹糸(シルク)を紡ぐ(つむぐ)ことで,人間が「カイコを育てている」と思っていましたが,実は「人間がカイコを育てさせられている」とも言えそうです.

その2,「朱が色褪せない」

 2021年4月08日放送の『日本人のおなまえ』(NHK)で「赤祖父」さんについての放送がとても秀逸でした.平安時代に織物を鮮やかに染める技術を持っていた集団の名前だという説が紹介されていました.麻糸などの食物繊維を草木染めした場合,染料が時間の経過とともに色褪(いろあ)せてしまってその華やかさが失われて困っていたとのこと.大陸から運び込まれた「お蚕(カイコ)さま」の絹糸は動物繊維のため,今でも平安時代の朱が鮮やかに光を放つという驚きのエピソード.(どうやら絹も保管状態で退色するようですが,貴族の儀式用の衣装など特別に保管されたものは今でも色鮮やかなようです.)

 おそらく平安時代の貴族にとって,権威の象徴である衣装が「色褪せない」という事はとても貴重なものだっただろうと想像します.他人と違うもの,見たことがないもの,というのはそれだけで「目を瞠る(みはる)」ものです.現代の私たちでも,それが衣装でなくて他のものでも同様です.平安時代の鮮やかな朱色,その魅力は今でも色褪(いろあ)せません(笑).

その3,「遺伝子組み換え実験に最適」

 「遺伝子組み換えカイコ」は,カイコの特性を生かした利用の一つと言えます.羽があっても飛ばない「家畜化された昆虫」であるカイコは,実験室外に誤って拡散する確率が低いので,大変有利です.サイエンスゼロ(NHK)で紹介されていたのは,クラゲの遺伝子を組み入れることで光シルクがありました.

 身の回りのシルク製品,ネクタイぐらいしか私は持っていませんが,数千年(5000年?)の長い歴史をかけてカイコと人類の”かかわり”を振り返りました.そう,カイコの歴史を回顧(かいこ)しました(笑笑).,,,お後がよろしいようで.