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#222 ”まちがい さがし”

「どこから、なにを、どう、みる?」
 ここ2ヶ月間、モーションキャプチャ実験をして、ヒトの動作をさまざまな視点(view point)から眺めています。音楽を聴きながら、ふと歌詞の中の”視点”に思いを巡らせたお話。

歌の世界での視点@「まちがいさがし」

菅田将暉が歌う「まちがいさがし」(作詞・作曲:米津玄師)も好きな曲の一つ。作り手と歌い手のどちらも、若いのに凄いなと思います。

さて、この歌詞は誰が誰を見た視点で描かれているのでしょうか?

”正解”が詩の解釈にあるのかは議論が分かれるかも知れませんが、”多数派”がいわゆる”正統派”だと思います。一般的に、ドラマの主題歌になった曲で、若手が情感たっぷりに唄えば、ほぼ恋の歌だと思います。当然、自分から恋人を見た歌詞と考えるのが順当だと思います。

”まちがいさがしの間違いの方に
生まれてきたような気でいたけど
まちがいさがしの正解の方じゃ
きっと出会えなかったと思う”
(途中略)
”君の目が貫いた 僕の胸を真っ直ぐ
その日から何もかも 変わり果てた気がした”
(以下略)
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=7940nuwCEYA

さてさて、もしも違う視点でこの歌詞を眺めたら?

鏡の前に立つ自分自身への独り語りでは?

”君の目が貫いた 僕の胸を真っ直ぐ
その日から何もかも 変わり果てた気がした”

「僕」の目が貫いた 僕の胸を真っ直ぐ?

こう考えた途端に、この歌詞が僕の胸を真っ直ぐ貫きます。言葉のマジックです。「君」は「鏡に映る僕」の視点だと仮定すると、

”まちがいさがしの間違いの方に
生まれてきたような気でいたけど
まちがいさがしの正解の方じゃ
きっと出会えなかったと思う”

という最初の胸を掴むフレーズが、卑屈だった自分に対する強い自己肯定感を高らかに歌い上げる宣言と解釈でき、目から鱗、鳥肌が立つ感覚に包まれます。ウーン、視点を変えるだけで世界は大きく目の前にその別の姿を表します。一度こう考えてから、菅田さんが唄う”まちがいさがし”は鏡の前の自分に語りかける声にならない魂の叫びにしか聴こえません。

 ”正解探し” ではなく ”まちがいさがし” というタイトルをつけたあたり、米津さんの”作戦勝ち”と思えます。視点が面白い。但し、この歌詞の解釈も、私個人の勝手なものなので、聴き手一人一人がそれぞれの感性アンテナで違う解釈をするのだと思います。

「どこから、なにを、どう、みる?」 

これは人間一人一人に与えられた自由と愉しみの大きな一つだと思います。さて、いろいろな視点で、自分と周りをもう一度眺め直してみようかな。

<写真> モーションキャプチャで被験者(自分)の骨格(赤色)と人体(白色)の推定結果。マウス操作で3次元空間で好きな視点で動作を眺めることができる。

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