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今日は、何の日?(今朝は、ホットチョコレート)

11/11。

5:30起床。

天気は晴れ。


――今日は何の日でしょう?

今朝のアルネは、妙にそわそわしている。


ぼくにしか見えない、ぼくだけの女の子。

――ベースの日。

――間違ってないけど……他にあるでしょ。

むっとしているアルネがかわいくて、ぼくはわざととぼけたフリをする。

――ポッキーの日!

しびれを切らしたアルネが、勢いよく手を上げた。

――プリッツの日でもあるね。

――あと、トッポとか……。何よ、わかってるじゃない。

――……。

――……。

――ごめんね、全部用意してないんだ。

用意してあるものだと思っていたのか、アルネはしょんぼりとうなだれた。そんなに楽しみにしていたんだ。さすがに、申し訳なくなってくる。

――本当にごめん。すっかり忘れてたんだよ。

――……。

――そうだ。今朝は、ホットチョコレートにしよう。

――それ、11月11日に何も関係ないじゃない。

――でも、ポッキーもトッポもチョコ菓子だからさ。

なんとか言いくるめて、ぼくはミルクパンに牛乳を注いだ。そして、細かく刻んだチョコレートをじっくり溶かしていく。じっくり、じっくり……。これが、ホットチョコレートのコツだ。

――はい、どうぞ。

――……。

――いらない?

――いる。

カップを受け取ったアルネは、念入りにふーふーと息を吹きかけた。この子、そんなに猫舌だったかな。それから、慎重に口を付けてすすると、ようやく表情がやわらいだ。

――おいしい。

――それは、よかった。

――来年。

――ん?

――来年は、用意してよね。

まだふてくされているみたいだけど、とりあえず今年は許してもらったらしい。

――ごめんね、本当に。

――別に。

――来年は、一日前に言ってもらえると助かるな。

――そんなの、覚えときなさいよ。今からでも、手帳に書いといてよ。

――手帳、まだ新調してないんだよ。

アルネは、こちらをじっと睨みつけるように見たかと思えば、突然くすくす笑い出した。

――君はきっと、来年も忘れるんでしょうね。

――……信用ないなあ。

――まあ、それでもいいわよ。

――いいの?

――だって、これおいしいから。

そして、アルネは空になったカップを掲げた。ぼくにしか見えない、ぼくだけの女の子は、やっぱりかわいい。

――おかわりする? お嬢さん。

――うん。

――11月11日にちなんで、11杯おかわりする?

――バカじゃないの。

――あはは。

今日が何の日か忘れても、アルネとのお茶会だけは、絶対に忘れないなと思った。





「僕だけが、鳴いている」


これは、
ぼくと、ドッペルゲンガーのドッペルさんの話。


連載中。


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