見出し画像

母性ドーピング

胎動が激しい。

意図せずに腹が動くのは面白いけど、どことなく心外であると感じる。
当然なのだ、独立した別人格が動いているのだからこちらの都合などお構いなしだろう。親の都合に合わせてたまたま動けることが“いい子”の基準だとはあまり思いたくはないが、まぁそう言いたくなる気持ちもわからんではない。喜ばしいけど体力の回復が追いつかない。バフ付きの胎動でこちらのライフの削られ方が尋常じゃない。ちょっと早めに妊婦及び育児中の両親の体力調整入れてもろて…

真夜中の膀胱ミット打ち、寝入りのタイミングでの大運動会、今はやめてくれというタイミングでこそゴキゲンだったりする。
育児雑誌などに載っているキックゲームなんて本当に反応することあるんか。触ると止まるぞ。「母性の育成に一役買うのは勘弁被りたい」という強い意志を感じるぞ。
産む時痛いのも育児キツいのも心外だし、眠れないことも自分の欲求が満たされないこともまた納得がいくことではない。

しかし面白い。
一定期間腹に入れていると元は自分の細胞だったのが自分とは別の人間となって出てくるのどう考えてもSF。簡単には出来ない上に産むとなるとかなり大きなリスクを背負うことになるうえ、コストも甚大でまっっったく思い通りにいかない。なのに面白い。不思議な高揚感、これもホルモンの成せるわざなのだろうか。人間ってうまいこと作られている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?