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パッタイのこと

2021/02/24


 ロサンゼルスに外出自粛令が出て、もうすぐ1年が経とうとしています。こちらの規制は日本よりもずっと厳しく、途中の数週間を除いて、飲食店はテイクアウトのみの営業となりました。となると、ふだん外で食べていたものを家で作るようになりました。



 この1年で挑戦して、だいぶ上達したのが、エスニック料理です。特に、タイのパッタイとグリーンカレー、ベトナムのフォー、韓国のチャプチェ、中東のチキンシャワルマなどです。チキンシャワルマは、何度も作るうちに、参考にしていたオリジナルレシピから離れてだいぶ自分のものになったので、クックパッドに掲載しました。



フォーはこちらを、

https://www.simplyrecipes.com/recipes/quick_chicken_pho/



チャプチェはこちらを↓



参考にさせていただいてます。



 パッタイに関しては、こちらを参考にさせていただいてるのですが↓




 実は私、25年前に、タイ人のルームメイトからパッタイを習ったことがあるのです。それから2、3回作ったことがあるのですが、タイ料理屋さんはわりとどこにでもあるので、家で作ることはほとんどありませんでした。しかしコロナ禍の外出自粛中に無性に食べたくなり、クックパッドのレシピを参考にしながら、記憶をもとにアレンジを加えて作るようになりました。



 ルームメイトから習ったパッタイに外せないポイントは、次の4点です。

1.エビは必ず入れること。

 ルームメイトが使っていたのは、肉厚で丸っこい小さな干し海老でしたが、桜エビでも何でもいいので、ニンニクを炒める時に一緒に炒めると、香りがグッとエスニックになります。海老の殻を取っておいて炒めて取り出すのでも良いと思います。

2.お砂糖はびっくりするぐらいたくさん入れること。

ルームメイトが作るところを見ていて、味を見ながら、これでもかこれでもかと砂糖を足していたので仰天しました。自分で作る時の目安は、甘酢ぐらいの塩梅です。

3.ケチャップを入れる。

本場では何を入れてるのか知りませんが、ルームメイトはちょっと考えて、思いついたようにケチャップを入れていました。酸味と色のためでしょうか。

4.砕いたピーナッツを入れる。

これがないとパッタイではない、というぐらい要です。



 ただ、ルームメイトのパッタイに関して、いまだにちょっと解せないことがあるのです。私が、「パッタイの作り方を教えて」と言ったら、その場にいた別のタイ人と顔を見合わせてちょっと変な顔をして、「パッタイは家で作るものではない」と笑ったのです。それでも、「初めて作るわ」といった風情で作ってくれたのでした。以後、タイ料理が好きという以外にタイとは特別な接点もなく、教えてもらったコツを踏襲したらとりあえず美味しいパッタイができるので、25年間、その真偽を確かめることもありませんでした。



 ここ数年、タイで国王が逝去したり、政治の混乱が続いています。当時は、初めて出会ったタイ人のルームメイトやその郷友を、典型的なタイ人の例としてとらえていましたが、今になって考えると、ジュエリーデザインを勉強するためにアメリカに留学していたということ自体、かなりの富裕層だったのではないかと思うのです。部屋に国王の写真を飾っていたのも、もしかしたら富裕層に見られる政治的な傾向であったのではないかと。パッタイを自分で作ったことがなかったのも、もしかしたらそういう社会的背景があってのことだったかもしれません。



 若い頃、先生や親から言われて新聞を読んでもちんぷんかんぷんでちっとも面白くないと思っていましたが、今になって、そりゃそうだよなと思うのです。政治や経済、時事問題は、連続ドラマと同じで、途中から見ても分からないのです。何十年もかかって、点と点がつながることがあるなぁとしみじみ思う今日この頃です。

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