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産休・育休を経て、10年目の仕事

 

※インタビューは2022年当時のものです

■自己紹介


 障害者ヘルパーステーション・マイライフ西所属の、岩瀬瑛梨奈です。
現在、2人の男の子の育児をしながら、仕事をしています。そして夏に3人目出産予定。

ーーそうでしたね。確かもうすぐ産休に入られるとお伺いしました。
 さっそく岩瀬さんのこれまでのAJU歴と、これからの事をお伺いできればと思います。

岩瀬:
 大学1年の夏頃からマイライフの登録ヘルパーとして活動していました。
「履歴書にも書ける資格がとれるよ!」と友達に誘われたことがきっかけで何となく一緒に資格を取得し、そのままヘルパー活動を始めることに。
他にも、焼き肉屋・和食屋のキッチン・歯医者の受付など色々なバイトを経験し、掛け持ちもしていました。当時は、自宅から2時間弱かかる大学に通っていて、他のバイトも忙しかったのもあり、ヘルパー活動に積極的な方ではなかったかな…と思います。

ーーヘルパーのバイトと掛け持ちでバイトをされていたとは。ちなみに大学の学部は福祉に関係する学部だったのですか?

岩瀬:
   大学は子ども発達学部で保育士を目指して勉強をしていました。

岩瀬さんのご家族の写真

ーーバイトを掛け持ちしている忙しさもあり、あまりヘルパー活動に積極的ではなかった学生時代を経て、どういった経緯でAJUに就職することになったのでしょう?

■ AJU自立の家に就職を決めた

岩瀬:
 色々学び、実習を経験し子どもたちは可愛いなと思っていましたが、可愛いと思うだけで自分にこの仕事ができるのか…?実習を進める中で自分には向いていないのではないかと悩みました。
そして進路を決める際、『自分に何ができて、何をしたいのか?』将来像を描くことができなかった時...ふと今まで関わってきた障害のある人・ご家族、職員さんなどAJUに関わる人たちが思い浮かび、漠然と「今後も関わっていきたい」という気持ちが芽生えていることに気付き就職を決めました。

ーーそうなんですね。進路を決める際に思い浮かぶということは、介助を通して人との繋がりや関わりの中で、何か自分の中に感じるものがあったのかもしれませんね。
たしか岩瀬さんは現在10年目とお伺いしました。
数えきれない苦悩があったかと思うのですが、その中でも印象的な出来事を教えてもらえますか?

岩瀬:
  就職後、最初の1年は利用者さん一人ひとりの介助方法を覚えることに必死でした。
登録ヘルパー時代に関わった人以外にも、ヘルパー制度を利用して生活をしている沢山の方のお宅に行くことになりました。当たり前ですが、利用者さん一人ひとりに、その人の生活や介助方法があります。例えば服を着ることも「この人は右手から着るけど、この人は左から」などその人に合った介助方法があり、洗濯や調理などやり方も違う。
 人の生活を支えるということは、その人に合った方法をきちんと提供するという責任感が必要だと強く感じました。

 また、自分の中でやりがいに感じながらも、苦しいこともたくさんありました。
結婚や出産など環境の変化をきっかけに、今まで部署異動を4回経験しました。
人と関わるこの仕事は、1から信頼関係を築き生活を支えていくため、人とのコミュニケーションが得意ではない当時の私にとっては辛い出来事の一つでした。
利用者一人ひとりのことが分かってきて慣れてきた頃
「これからこの人達と一緒に何をやろうか?」
「がんばるぞ!」
と思っている時に異動することになってしまい、コミュニケーションが苦手とは言っていられないけれど、私にとっての『部署異動』はそう簡単には越えられない大きな壁に感じられたのでした。
 〝コミュニケーションをとらなければ!”と重圧に感じていた時は何度も仕事を辞めたいと思うこともありました。でもやめる勇気のない自分と、やめて違う仕事をしたところで何が変わるのか。同じことを繰り返すだけだと悩んでいた時期もありました。

休日には家族の時間を十分に楽しむ

ーー自身のコミュニケーションが苦手という部分と、信頼関係は一から築くもの。という部分でやはり異動は辛い出来事という事でしたが、コミュニケーションが苦手と言ってはいられないと思い自分を変えるまでには多くの苦悩があったと思うのですが、悩みながらも変わっていけた今に至るには何か印象的な出来事があったのですか? 

■先輩との出会いと、OJT

岩瀬:
 私にとって「人の目を気にして自分の言いたいこともうまく言えなかった」というこの考え方が仕事に大きく影響していました。
 4度目の異動のあと、AJU法人内の教育プログラムの基礎となる『OJT研修』のトレーニーとして研修を受ける機会がありました。一般的にはOJTは、トレーニーの階層に合わせて実務を経験しながらトレーナーから指導を受けると思うのですが、私の場合は、『自分の性格や感情と向き合う』ことから始まりました。
 今までは感情のコントロールもうまくできず、相手はきっとこう思っていると決めつける癖がありました。また、あらゆることをネガティブに考えやすい性格から「どうせ私なんか」と勝手に落ち込むことも多かったです。
なぜその時にネガティブに考えてしまったのか?相手はその時どう思っていたのか?などトレーナーと一緒に、私自身の感情に向き合うことと、アドバイスをもらって違う価値観に触れた経験で、相手を自分の物差しではかり決めつけるのではなく、視野を広げることができ、自分自身成長したと感じられるようになりました。
以前に比べて、だいぶ感情のコントロールもできるようになりました(笑)

 私はずっと、自分の性格が嫌いで、変えたい・変わりたいと思っていました。
人間、根本の性格は変えることはむずかしいかもしれません、でも考え方ひとつで+にも-にもなる、私はこの変化を実感しています。
トレーナーに出会い考え方を変えることができたことは、大げさかもしれませんが、私の人生にとって大きな出来事でした。
そしてそれは、仕事にも私生活にも大きく結び付いていて、今まで続けてきてよかったと思えた瞬間でした。

OJTをきっかけに自分自身の性格と向き合った岩瀬さん

ーーありがとうございます。法人全体で始めたOJT、あれ本当に良かったですよね。自分もOJTは成長の機会になったと感じています。
最後にこれからの岩瀬さんについて聞かせてください。

岩瀬:
 私は職場で出会った同僚と結婚、そして2人の子を出産しました。
パートナーは同じ仕事ということもあり、色々わかってくれる私の一番の理解者です。また家事や育児にも協力的なので助かっています。
仕事と育児の両立は毎日が一瞬で過ぎ去りますが、休みの日は思いっきり楽しんだり、ゆっくり過ごしたり、自分のペースで楽しく過ごしています。
 そしてこうして第三子を妊娠しながら働けること、共働きで子育てをしながら仕事ができるのも、パートナーの協力や職場の理解・一緒に働く仲間の協力があり、そして働きやすい環境があるからこそできていることだと思います。
この日常を当たり前に思わず感謝していきたいと思っています。

■これからの私

岩瀬:
 あの時、自分自身と向き合えたことで困ったことがあった時、どう解決をしていけばよいか、考えることができるようになりました。
今でもたくさん躓くことはありますが、私が教えてもらったことを次にくる後輩たちに教え、繋げていけるような先輩になれればいいなと思っています。

 どんな仕事についても、困難に感じることは必ずあると思います。
けれど、一人ひとりが少しずつでも成長していけるよう一人の人として見てくれる人がいる職場は、みんなが成長ができて素敵なところだと私は思います。
部署異動は「辛くて大変なこと」ばかりだと思っていましたが、いろんな部署を経験し、いろんな人との関わりが持てたことはとてもよかったと思っています。
人は色んな価値観を持っている。出会いの分、人は成長できるとも私は思います。

知らない世界だったAJUに飛び込んだことでたくさんの出会い・障害当事者との関わりを持つことができたことで、私の今があると思っています。
また、誘ってくれた友人、「なんでも経験」「資格は色々持っているといいよ」と育ててくれた母にも感謝しています。
これからも、仕事を頑張りながらプライベートも大切にして日々楽しく過ごしていけたらと思っています。

ーー今回岩瀬さんは産休前で時間に限りがあるという事で、お体も大変な中、業務の引継ぎにもお忙しい時期にインタビューに答えて頂きました。
 ありがとうございました。
母子ともに健康を心より本当に願っています。