見出し画像

経営者になるということ

はじめに

社会にはたくさんの職業があります。その中でも、経営者という職業は法務局に言って登記さえすれば誰でもなれるという、極めてハードルの低い職業です。
しかし実際に経営者になっている人って非常に少ないですよね。それはなぜなのでしょうか。

今回の記事は、これから経営者になりたい方、またはすでに会社を設立して経営者になっているけれども採用をまだ行っていない方に向けて、経営者とは何かを書いていきたいと思います。

経営とはなにか

そもそも経営とは何でしょうか。

経営の語源を調べてみると、どうやら「経之営之=これを経しこれを営す」(これをけいしこれをえいす)ということから来ているようです。

中国最古の詩集である『詩経』に次のような詩があります。

経始霊台、経之営之。庶民攻之、不日成之。経始勿亟、庶民子来。

<簡約>
霊台を経始し、これを経しこれを営む。庶民をこれを攻(おさ)めて日ならずしてこれを成す。経始亟(し)うる勿(な)く、庶民子来たれり。

詩経・大雅・霊台

簡単な日本語訳は
霊台を作りはじめ、これを運営することとした。すると人民どもは建築に従事して、あっという間にお造り申し上げた。造りはじめるからといって強制もしていないのに、人民どもは働きにやってきたのだ。
といったところでしょう。

祭壇を作るためのプロセスとして、まず「経」という作業をこない、次に「営」という作業をし、そうしたら皆が集まりすぐに完成した、というわけです。

「経」という漢字には「統治する」という意味の他に「織物の縦糸」、「ものごとの道理、法則」といった意味があります。
「営」には、「いとなむ」の他に、「とりで、とどまるところ」「計画する、用意する」という意味があります。

こうした背景を踏まえて再度「経営」という言葉の意味を考えてみましょう。

私なりに考えると、経営とは「やるべきことを決め、それを実行すること」なのだろうと思います。

そして世界の殆どの国の法体系において、このように「やるべきことを決め、それを実行する」ためには法人という格が用意されており、それを利用するために会社を設立するわけです。そして結果として経営者になります。

さて、あなたがこれから会社を作るのだとしたら、もう一度考えてみてください。

自分自身にシンプルにこう問いかけます。
「やるべきことはなにか?」
「それを実行するために必要なものはなにか?」

経営者になるために一番必要なものは覚悟

答えは出ましたか?
あなたがやりたいことは何ですか?
そしてそのために必要なものは何ですか?

ほぼ100%、自分がやりたいことを実現するには周りの協力が必要です。
その協力は、例えばビジネスパートナーとしての仕入先や得意先も含みます。

そして何よりも一緒に働く社員が必要になる、という答えにたどり着いた人も多いのではないでしょうか。

社員が必要なら採用をします。いわゆる雇用契約というものです。
雇用契約という無機質なものに私の関心があるわけではありません。

経営者として大事なのは、一緒に働いてくれる仲間の人生を預かる覚悟です。

あなたにとっては一人の社員かもしれませんが、その人の人生においては大きな選択なのです。

自分の人生を振り返るとき、きっと今まで自分が働いた会社を思い浮かべるでしょう。もしあなたの会社が成功したら、あなたにとっての社員は数が多いがゆえにone of them かもしれませんが、社員から自分が働いた会社を見ると、one of threeとか、one of fiveなのです。

働く会社というのはそれほど多くないのが一般的で、転職を繰り返したとしても多くて10社とかでしょう。そうなると、普通はその10社を覚えているものですし、人生に与えるインパクトも相当なものです。

経営者は常に、相手の立場で物事を考えて事業を推進しなければなりませんが、まず第一に社員の立場で考えることをする必要があります。

たとえあなたにとってのone of themであっても、彼・彼女にとっては、もしかしたら one of one かもしれないのです。

そうなると家族以上にその人の人生を抱え込んでいることになります。
もちろん仕事を提供してもらってその対価を払うという関係ではあり、その評価はシビアにする必要はありますが、どのような評価をするにしてもその人の人生に大きな影響を与えるのです。

だから私は経営者に一番必要なものは覚悟だと思っています。
とりわけ人を採用するのであれば、その人の人生に責任を持つ覚悟が必要です。

まとめ

経営者になるのは簡単ではありますが、大きな覚悟が必要であることを、経営という言葉の語源も照らして見ていきました。

ストロングスタイル経営的には、その語感から社員との関係も実力一辺倒の評価でサバサバしたものを想像されるかもしれませんが、そうではありません。

まず経営者は自分の厳しくなければなりません。それがストロングスタイルです。

皆様のお役に立てるよう日々邁進してまいります!