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「山手線を美術館に」〜ART LOOP構想 働く人にエールを〜

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実はJR山手線の新橋駅にも、大きな絵を描かせていただいたことがあって。

以前、東日本旅客鉄道さんの方とあるイベントで出会って、僕が「アートの会社をやってます」と伝えたら、駅にアートを描くということを少し考えてらっしゃるという話が出てきたので、そこから堰を切ったように僕がしゃべり続けてしまって(笑)。

僕は「楽しんだって、いい」という企業理念を掲げている中で、駅という場所は非常に大切な場所だと思っていて。

というのも、「通勤」って決して楽なものではないですよね。例えば満員電車の日も多いし、月曜日朝の仕事への憂鬱さとか、いろんなものを乗せて電車は走っている。だからこそ、その発着地点である駅は行くだけで楽しい場所になって欲しいなと思っていて。

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そこで僕がイメージしたのは、駅中に壁画や彫刻などのアート作品が溢れかえっている空間。そんな、ものすごくハッピーな空間が実現したら、日本における「駅」というものの役割が変わるんじゃないかなと。

それをJRさんとお話しさせていただいているうちに、ふと思ったのが山手線って世界的にも珍しいループラインですよね。そのループラインが全駅アートだらけになったらめちゃめちゃ面白いじゃんと。

イギリスの地下鉄は「チューブ」というあだ名で呼ばれてますけど、日本の山手線が「アートループ」って呼ばれたらすごい楽しいなって。

人口減少やリモートワークで乗客数が減っても、駅の1つひとつが美術館のようになっていたら、海外のお客様がアートを観ることを目的に山手線に乗るというムーブメントも起きたりして、面白いんじゃないかなって。それをJRの方にお話ししたら「すごく良いね!」って反応してくださったんですよね。

とはいえ、駅はパブリックの中のパブリックで、保安上の基準も厳しいということで、まずは東京駅と上野駅で仮設の壁を建ててアートを描くということをやらせていただいて。

▼東京駅

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▼上野駅

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たくさんの方にご覧いただいて、さらには好評で。この間、ある打ち合わせで「あれ?昔、東京駅で見ましたよ!」という方が未だに現れるぐらいインパクトのあるイベントをやらせていただいたんですね。

そして今回、JRさんの方から改めて「新橋駅で絵を描きませんか」というお話をいただきまして。

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どんなアートを描こうかと考えていたときに、最初は駅の歴史を描こうという話も出ていたんですが、新橋駅ってやっぱり「サラリーマンの聖地」じゃないですか。僕も元々サラリーマンだったので、新橋駅に歴史が描かれていても、あまり心にグッと来なくて違うんじゃないかと。

そこで、働く人たちに向けてのエールを描いてはどうかとお話させていただいたんですが、駅で描く以上はもう少し駅の要素をという話ももちろん出てきて。

けれど、打ち合わせを進めていくうちにJRさんともやっぱり意気投合してきたんですね。

普段から新橋駅を利用している働く人たちへのエールを描こう、それがやっぱり絵を見る人たちに響くはずだという話でまとまって描かせていただいたのが新橋駅のアートでした。

(※2021年10月14日時点で作品は撤去しております)

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この絵のストーリーは、一番端っこの電車の運転手をやっているパパの制服を着て”運転手さんごっこ”をしている子供の絵から始まっています。

その絵に続いて、お母さんが職場でお化粧直しをしていたり。おそらく今から大事なプレゼンとかですかね。

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この絵のコンセプトである「HOME(ホーム)」は「駅のホーム」にもかかっていて。

『HOME』
幼い頃のヒーローは
お家にいるパパとママ
ブカブカのパパの革靴
ピカピカのママの口紅僕らはみんな
昔なりたかったヒーローになれている
新橋駅のホームは
今日もヒーローで溢れている

家の「ホーム」では、ママの化粧品を持ち出して、誰もが一度はやったことがあるんじゃないかな、イタズラで顔中を口紅だらけにしてしまってる女の子とか。

なぜこのようなアートにしたかというと、お子さん達にとってのヒーローは決してアイドルでもスポーツ選手でもなく一番身近なママやパパだったりするんだよっていうメッセージも含めたくて。

その他にも、お父さんの大きな革靴を履くというのも僕たちが小さい頃に絶対一回はやってますしね。あとは、お絵描きをしながら寝ている子供とか、パソコンを開きながら仮眠をとっているお父さんとか。

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最後に、目線を変えると奥には立派な電車の運転手さんがいて。

ここに実は少し仕掛けがあって。一番最初に見ていただいたお子さんの口元にホクロがあるんですけど、この運転手さんの口元にもホクロがある。

「あれ、これは果たして親子なのかな。それともこの子が将来大きくなって運転手さんになったのかな」みたいに思いを馳せながら、ちょっと一杯飲んでスッキリして帰ってもらえたらっていう働く人へのエールを込めたんですね。

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このアートによって「サラリーマンの聖地」である新橋駅というものが、電車の発着場所としての機能だけでなく、飲食や買い物をするだけの場所でもなく、仕事を頑張るビジネスパーソンの英気を養い、「僕も、私も頑張ってるよな」って確認ができて、気持ち良くなって帰宅してもらう場所という、なにかほっと熱いものが胸に宿って帰れる場所に進化してくれたらいいなと思って、この新橋駅のアートを描かせていただきました。(了)


東京の壁画アートカンパニーOVER ALLsの代表・赤澤(@overalls_aka)が「日本とアートとビジネスとその他諸々」を語る「AKA Channel」シリーズ

※本文は、動画の音おこしを行い、読みやすく一部編集したものです。

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▼ART ROOP TOKYOについて詳しくはこちらの記事もご覧ください


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