月の見えない夜だった
朗読用ミニ小説
読了目安時間 5〜10分
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月の見えない夜だった
昼間の暑さを感じさせる生暖かい風が吹いているのを今でも覚えている
それは何でもない日常の一コマのはずだった
あの場所に迷い込むまでは
あの日、私は初めて地元から離れた都会に遊びに着ていた
まぁ都会と言っても東京程の大都市では無い訳だが、あの頃の私には都会と言っても良いだろう
自分の目に映る何もかもが輝いて見えて、ろくに地図も見ないで歩き回ったのを今でも覚えている
大小様々な建物に入る雑多