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映画レビュー

「エンドロールのつづき」(☆☆)
 インド版のニューシネマパラダイス的な映画を作ろうとして、映写技師に主題を矮小化させているため、作品として小ぶりになっているというよりも破綻をきたしている。

「トリとロキタ」(☆☆)
 ダルデンヌ監督のものらしい技巧は見いだせず、作品としてうまくいっていない。

「ケイコ 目を澄ませて」(☆☆☆)
 主演の名演が光り☆4寄りとすべきだろう。作品としては結末部に不安定さがあるか。

「そばかす」(☆☆☆☆)
 主演女優の名演が、やや詰め込み過ぎのストーリーを手際よく調理してくれている。非常に魅力的な新しい時代の映画であり、それがさらりとしたこういう形式で出来ているのは喜ばしい。☆5寄りといってもいいのではないだろうか。

「オマージュ」(☆☆☆)
 ジェンダーの問題に絡めたのはやや牽強付会であっただろう。むしろ中年期の停滞を描き、独特の詩情を垣間見せてくれる。

「スラムダンク」(☆☆☆☆)
 非の打ち所がないところが非の打ち所なのだろうか――ひねくれたことを言うつもりはないのだが。物足りなさとスレスレの、抑揚といおうか奥行きのなさが不安には、なるが、それも結果論であり、観劇の間は満足をして安心をして観ていられる。

「すずめの戸締まり」(☆☆☆☆)
 まったく期待をせずに映画館に行ったが、非常によく健闘をしていた。地震を防ぐという目的をもった序盤部は楽しく、以降のドラマ展開も退屈をさせず、ユーモアも成功している。震災を描くことの不可能性にどうあれ向き合うという、表現者としての誠実さのある作品であると感じる。

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(☆☆☆☆☆)
 今年、現状ベストの映画である。マルチバースの設定はメタフィクション=自己言及の形式に堕しておらず、さまざまな映像的効果へと昇華され、人間ドラマに果てしのない重層性を与えることに成功をしている。破格のユーモアはやりたい放題に、どこまでも突き抜けている。紛れもない傑作である。

「RRR」(☆☆☆☆☆)
 ☆五つをつけざるを得ない熱量を有しており、物語はシンプルな力強さをもっている。

「ノートルダム 炎の大聖堂」(☆☆☆)
 安定した実力を有した監督であり、「ノートルダムで火災があった」という普通に映画にしてくれれば楽しくないわけがない題材を、楽しくないわけないだろう、というそのままのかたちで表現をしてくれる。こんなに楽しめていいのか、というエンターテイメント性ある映画である。

「FALL」(☆☆)
 設定に凭れ過ぎており、ストーリーは次第に単調になってゆく。映画としての作りもチープである。

「モリコーネ 映画が愛した音楽家」(☆☆☆☆☆)
 現代音楽家として身を立てるのではなく、映画音楽に身を売った旺盛な活動と、裏腹のやましさがよく表現されていると同時に、その音楽のしごとの多作振りを振り返ると同時に長大な映画の歴史を、回顧させられる。

「行き止まりの世界に生まれて」(☆☆☆☆)
 若々しい感性が美しい映像に昇華されている。

「ワーカーズ・カップ Wカップの裏側」(☆☆☆)
 行き場のなさと労働者たちの素朴さとに胸がふたがれる。行き止まりの世界とともにアマゾンプライムで視聴。

静かに本を読みたいとおもっており、家にネット環境はありません。が、このnoteについては今後も更新していく予定です。どうぞ宜しくお願いいたします。