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青春ってやつはよぉ

平成が始まるほんの少し前、ずいぶん昔の話だよ。
1年浪人して、なんとか手にしたキャンパス・ライフ。
結局のところ、そこにあったのは
自分だけのために使っても、なんだか許されちゃう
たぶん人生で唯一の、贅沢な時間が横たわっていたんだ。

そんじゃあってんで
持て余すほど長いけど、
なにかを成し遂げるには短そうな
この時間のすべてに
いろんな色を塗ってやろうと決めたんだ。

いろいろやったアルバイトは、さながら「キッザニア」。

あこがれと、消耗が混ざりあった恋愛もしたよ。

軽薄さを演じれば、社交性は開花していったけど、
それを攻める誠実さで、ときに自尊心は萎んじまった。

いつだってこころのメトロノームは二者択一
悩んだ時間もムダじゃないはず。
だから、
その時そのとき、こころのままの行動は、
「すべてが正解だったんだ」と今となっては思ってる。

知らない場所へも行こうと思った
金がないから、限界もあるけどね。
それでも日本地図のあちらこちらに
知っている場所を広げたかった。

外泊したって叱られるわけじゃない
思いついたら自転車にまたがって
国道まで出ちまえば、
そっから "旅” が始まる。

はじめての道、はじめての山
はじめての町、そしてはじめて言葉を交わす人たち。
待っていたのは、すべて
出逢い、出会い、出合い。
つま先に体重を乗せて、ペダルを踏みこむたんびに
閉ざされいた大きな扉が、すこしずつ開いた気がしたね。

何かを探していたんじゃない
何かに追われていたのでもない
たぶん、なにかをブレーク・スルーしたかった。

だって、あのまんまの自分じゃ
将来や未来なんか語る権利も、資格もないし
結局のところ、何者でもなかったんだよ。
いろんな「はじめて」をたくさん集めて絵の具にしてさ
地図の上に塗りまくったら、
手っ取り早く、何者かになれる気がしてたんだ。

なれたかどうか、なんて関係ない。
気が付けば、次のなにかを探してたんだ。

そして、本屋で見つけたんだ
「地球の歩き方」ってヤツ。
さあ次は世界だって感じ。

こんなふうに
せっかちに過ぎてった大学生活は、
人生の宝物になったんだ。

どうだい、新入生
ちょっとは、参考になったかい?





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