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竹原ピストルが歌う        「今宵もかろうじて歌い切る」 が、なぜ沁みるんだろうか

仕事を終えての帰り道
いつの頃からか、覚えていないけど
人通りの少ない場所に立ち止まって
空を見上げることが習慣になっていました。

実のところ、夜空を見ているわけじゃない
ただ、目線を真上にあげているだけなんです。
きっと
ある程度、年季のはいったオヤジがやっていると
なんとなく、サマになっているかもしれません。

時に、
若かった頃、見上げた空を思い出すことがあります。

ただまっすぐに続いていたくはずの憧憬の地には
未だ至ってはいません。
流れのはやい川もありました。
登りきれそうもない、崖もありました。
けものの咆哮が聞こえる森は避けてきました。
そうして遠回りしていたら
道に迷うことも、しばしばありました。

それでも、投げ出さずにいます
へたりこんだりしていません。
なんとか歩みを止めず、前に・・・。

どんより曇った夜空
見上げた先には消えそうな下弦の月
そして
沁み込んでくる、しゃがれた竹原の歌声

かろうじて・・・。
ギリギリ、セーフ!

さあ、家に帰ろう。


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