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「美しい」の研究報告(2月)

見たり、触れたり、味わったり。日常の中で感じた「美しい」を掬い上げ、それについて研究した内容を綴る、日記に近い研究報告です。「美しい」ってなんだろう?そんな曖昧な感覚について深く考えてゆきます。


Taste

偶然の、美味しい副産物

私は曜日を一日間違える、というのをやりがちで、先日も行きたいお店に行くもしっかり一日間違えて定休日に訪れてしまった。「あ〜またやっちまった〜」と何度間違えても学ばない自分。それでもせっかく来たのだから、とすぐ近くのいつもは行かないパン屋さんに行き、パンをふたつ購入。右手に美味しい香りをぶら下げて、家に帰って食べると、とびきり美味しい。いちごとクリームチーズのパンはもちもちふわふわで、栗のクイニーアマンはパリパリあまじょっぱい。その美味しさが終わるのが惜しくて、しばらく胃の中で余韻に浸っていた。

でも、もし私が曜日を間違えなくて、行きたいお店に行けてて、買いたいものを買えていたら。きっと満足をして、パン屋さんなんて見向きもせず帰宅していただろうし、ここのパン屋さんのパンが美味しいなんて知らぬまま生きていただろうし、美味しさに感動もできなかっただろう。

日々の惜しい経験の片隅にころっと転がる、偶然の副産物が実はとっても魅力的でドラマチックだったりする。


☑美味しかったパン屋さん(ブーランジェリー ル シエル)

https://www.instagram.com/boulangerie_le_ciel/



Place

職人の手仕事が集う場所

凛とした雰囲気に並ぶ、様々な表情を持つアーティストたちの作品。まるで美術館のような空間に何度も心が躍っていた。

2月の週末、滋賀県・信楽にあるnota shopへ行った。信楽焼を始めとした様々なプロダクトを扱うこのショップでは、定期的に企画展も開催されているらしい。温かみのある元製陶所の建物の中を一歩入ると、まるで美術館のような心躍る空間。訪れたのが午後4時ということもあり、力強い西日が店内に降り注ぎプロダクトたちの魅力がさらに光って見えた。


店名の「nota」陶器を作る際に粘土同士をくっつけるのり状の接着剤の事を指しているらしく、様々なアーティストの丁寧な手仕事で繋がれた空間は「今」の信楽の魅力が凝縮されていて沢山のエネルギーを感じた。信楽といえばたぬきの置物というイメージが強かったのだが、(nota shopまでの道のりでも沢山のたぬきに遭遇したが)この場所では「こんな信楽の一面もあるんだよ」と新しい魅力を教えてもらえた気がした。

最近、高い建物などない田舎に訪れることが増えてきた。田舎への解像度が増しそこの魅力に触れるたびに、どの地にも宝物のように光る魅力が眠っているのだと感じる。東京や大阪に住んでいるといつでも工事風景が目に入り、古いものが新しいものに塗り替えられる様子を何度もみてきた。新旧どちらも良さはあるものの、いつだってどこにいたってその場所が持つ潜在的な魅力を享受していきたいと感じた。


☑nota shop

https://www.instagram.com/nota_shop/



Time

「反応」を静かに観察する時間

観察し続けること、それが坐禅。
一年前、両足院で坐禅を体験してからその魅力に惹かれ半年に一度坐禅に来るようになった。2回目は友人と、今回はパートナーを連れて。

坐禅、と聞いてどんなイメージを持つだろうか?
私は十年ほど前、課外学習で坐禅を組んだ時は「足を組み、雑念を取り払いじっとすること」だと言われたような気がする。しかし両足院の坐禅は少し違って、雑念の存在に気付き観察することに意味があるそうだ。

例えば、心を落ち着かせ周りの音に集中しようとする。すると、いろんな音が聞こえてくる。風の音、鳥のさえずり、人の吐息。そしてだんだん「あ、そういやメール返信してない」と雑念がよぎる。その雑念を掻き消すのではなく、「今私はこんなこと考えているのかあ。」と俯瞰し確かめること。それが坐禅。

私たちは、日々様々なことに反応し反射的に生きている。何かに焦って仕事をしてみたり、騒音を感じたらイヤホンをする。しかし、反射的に行動する前に一度観察してみたらどうだろう。「あ〜今凄く焦って仕事してるなあ、もしかしたら、不安なのかもなあ」とか。

日常の中でほんの数分だけ、立ち止まり自分の反応を観察するだけでも坐禅なのだと気付き、一気に身近な存在になった。

両足院からの帰り道、いつもより静かな朝の京都の町をゆっくり歩いた。風の音、車の音、誰かの会話、笑い声。今まで騒音と感じていたものがなんだか愛おしく感じられた。


☑両足院の坐禅体験



Book

創造性を育てる本

2月は3冊本を読んだ。その中でも一番印象的だった本が「ずっとやりたかったことを、やりなさい。」

「やりたかったことをやるにはこうするべきだ!」とただ論じるのではなく、いくつかのワークを通じて、内側に秘められた「創造的性」をどんどん見出し、育て「ずっとやりたかったこと」をやって創造的に生きるための具体的方法を身につけていく、そんな内容になっている。

実は、少し前に購入したのだがタイトルをみて「あーわかったわかった」と思ってしまいしばらく読めてなかった。しかし改めてちゃんとじっくり読み進めるとページを送るごとに心がすっと軽く、そして熱くなる感覚になり、ずっと積ん読していたことに後悔したのであった。

幼い頃に好きだったこと、夢中になっていたこと。私達は年齢を重ねると少しづつ無邪気な好奇心を忘れてしまう。最近忙しくて自分を大事にできていないな、やりたいこと迷子だな、パッションを持って生きれてないな、、そう感じている人こそ是非読んでみてほしい一冊。

☑「ずっとやりたかったことを、やりなさい。」-ジュリア・キャメロン (著), 菅 靖彦 (翻訳)



Other

背伸びの趣味

お友達に撮ってもらった私

昨年、sony α7ⅲを買った。決して安くはない金額のカメラ。プロカメラマンになりたいわけでもないのに投資していいのかな〜と買う前にかなり悩み、気がつけば2年ほど悩んでしまっていた。(悩みすぎ)
やっとの思いで購入したのが去年。以来、せっかく買ったのだからと出掛けるたびにカメラを持ち歩いては撮っている。とはいえ素人の私はInstagramで見るプロのような写真を撮るのは難しく、いつも試行錯誤しながらファインダーを覗く日々。完璧主義な私にとって、なかなか完璧になれない趣味を持つことはもどかしく、同時にとても楽しいと感じる。何事もうまくやろうとしてしまう人ほどチャレンジするのを億劫になってしまいがち。そんなときこそ、初学者になって子供心に無邪気に挑戦することを大切にしたい。



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